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ふるさと納税は改悪ではなかった!?制度改正の本当の理由を探る

2026.05.07

好きな自治体に寄付を行い、実質自己負担額2,000円でお礼品までもらえる「ふるさと納税」。消費者にとってうれしい制度であるが、今“転換期”を迎えている。

2025年9月末、ふるさと納税の寄付に伴うポイント付与が廃止され、そして令和8年度税制改正の大綱では2026年10月の制度改正も発表されている。消費者のお財布にとって喜ばしくはない改正ではあるが、これは制度開始から18年が経過した今、ふるさと納税の本来の目的から外れてしまっている現状が背景にある。本来の目的とは何か――ふるさと納税サイト「さとふる」広報担当の谷口明香さんに伺った。

ふるさと納税は、「本来の目的」を果すための第2フェーズに突入

さとふる 経営戦略室・広報の谷口明香さん。

ふるさと納税の制度開始は2008年。当時はほとんどの人がその存在すら知らなかったが、「ワンストップ特例制度」がはじまった2015年頃から認知が拡大。さまざまなふるさと納税サイトも開設され、「さとふる」は2014年にスタートしている。

谷口さん「ふるさと納税の理念は総務省のHPにも記載されている通り、『第一に、納税者が寄付先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること』、『第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること』、『第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと』の3つです。制度の開始当初は、出身地などゆかりのある地域を応援することを目的として、創設されたというのが背景にあります」

そしてこの10年間でふるさと納税事情は大きく変化し、ふるさと納税を利用する人は増加した。しかし、寄付の動機は圧倒的に「税控除」という人が多く、ふるさと納税の理念として設定されている「地域を応援したい」という意識は相対的に低いと、谷口さんは話す。

谷口さん「2025年9月に『ポイント付与が禁止される2025年10月以降もふるさと納税を続ける予定ですか?』というアンケートを実施したところ、『続ける』と答えた人は約7割でした。その理由として多かったのは、『税の控除・還付を受けられるから(86.9%)』と『お礼品を受け取ることができて魅力的だから(69.1%)』。『地域を応援できるから』と答えたのは29.4%で、税控除やお礼品の方が先行してしまっている印象でした」

つまり、「ふるさと納税の認知」が第1フェーズと考えると、今は「本来の目的」に向けた第2フェーズに突入。2025年10月のポイント付与廃止も、本来の目的よりもポータルサイトによるポイント付与の競争が加熱してしまったことなどが背景にある。この点を理解していないと、消費者としては単純に「改悪した」と感じてしまうかもしれないが、今は第1フェーズから第2フェーズに向けた転換期なのだ。

2025年12月に「令和8年度税制改正の大綱」で発表された「6割ルール」も、「本来の目的」に向けたもの。「都道府県等が指定対象期間において受領する寄付金の合計額から当該指定対象期間における募集に要する費用を控除して得た額が当該寄付金の合計額の100分の60に相当する金額以上であること」と記載されており、2030年(令和12年)10月1日までに段階的に実施される。

谷口さん「現在は募集に要する費用が最大100分の50(5割)となっていますが、2030年までに段階的に6割に引き揚げられ、2026年10月1日には募集に要する費用が最大100分の52.5となります。募集に要する費用とは、お礼品調達費・送料・ポータルサイトの手数料・事務手数料などが含まれます」

要約すると、自治体は2030年10月には、募集に要する費用は「4割以下」におさえなくてはいけない、ということだ。これは自治体が地域のために使用できる寄付金を確保するためのルールで、例えば10,000円のお礼品であれば、募集に要する費用は4,000円以下におさえることで、各支援に回せる金額は6,000円以上となる。

一方、消費者側の視点で考えてみる。もし募集に要する費用が5,000円だった場合、現在の5割ルールでは寄付額は10,000円でOKだが、6割ルールになると寄付額は12,500円に設定する必要がある。つまり、同じお礼品でも消費者の寄付額は上がるイメージとなる。これも、「なぜこの改正が行われるのか」という背景を理解していないと、消費者としては単純に損した気分になるだろう。

「寄付金の使い道」をきちんと選んで、「税控除」と「地域の応援」の両方を意識

さとふるで公開されている「ふるさと納税『寄付の使い道』特集」一例

2026年のふるさと納税では、「より、地域を応援することを意識してもらえたら」と谷口さん。そのためのヒントとして、まずは「寄付の使い道」から寄付先を選ぶのがおすすめだという。

谷口さん「寄付の際に『寄付金の使い道』を選ぶことができますが、意識して選べていない方も中にはいらっしゃるかもしれません。しかし『寄付金の使い道』を意識することで、その地域の課題を知り、共感し、さらに応援したいという想いも生まれると思います。寄付後はそのお金がどのように活用されたのか、というところまでに意識を向けていただければ、より地域活性化に繋がります」

寄付金の使い道から調べてみると、北海道札幌市の「円山動物園への支援(動物園応援基金)」や、新潟県佐渡市「世界文化遺産『佐渡島の金山』応援コース」など、使い道が具体的でわかりやすいものも。毎年同じ自治体に寄付し、その変化を感じるのも、谷口さんのおすすめだ。

「全国へ届け!ふるさと特産品PRコンテスト」結果発表に参加した受賞者たち

寄付したくとも、情報がない自治体には、なかなか寄付しずらいもの。そういった状況も踏まえ、さとふるでは各地域の魅力をアピールするさまざまな取り組みも行っている。さとふる主催の「全国へ届け!ふるさと特産品PRコンテスト」では、全国各地から、キャッチコピー付きで自慢の特産品を募集。地元でしか知られていないような特産品が、さとふるのサイトを通じて全国に知られるきっかけとなった。

湯六庵「くるみようかん」寄付額6,000円(福島県下郷町)

例えば高校生部門の優秀賞に選ばれた福島県下郷町のお礼品・湯六庵「くるみようかん」は、震災の影響があったものの復活し、地元で愛され続けている和菓子だ。福島県下郷町は、応募者の母のふるさと。誰かのふるさとを応援するのも、ふるさと納税だからこそできることだろう。

「障がい者就労支援 トイレットペーパー シングル100ロール 福祉施設 再生紙 ふじくすの木」寄付額17,000円(静岡県富士市)

とはいえ物価高の今、ふるさと納税は生活必需品を手に入れる上で重宝する。「ふるさと納税はトイレットペーパーを頼んでいる」という人にチェックしてほしいのが、静岡県富士市のお礼品「障がい者就労支援 トイレットペーパー シングル100ロール 福祉施設 再生紙 ふじくすの木」だ。ふるさと納税として地域を応援できる上に、さらに障がい者就労支援も行える。ちなみに静岡県富士市の寄付の使い道は「富士山を『守る』~富士山麓ブナ林創造事業~」や「富士のまちで『涼む』~富士まつり花火大会事業~」など。富士まつり花火大会事業を選び、花火大会を現地で見たら、自分の寄付の使い道を実感できそうだ。

転換期に入り、消費者の意識改革も求められている「ふるさと納税」。本来の目的のためにさまざまな制度の変更はあるものの、実質自己負担額2,000円でお礼品がもらえるのは変わらない。今年は「税控除」と「地域の応援」の両方を意識しながら、納税先を選んでみてほしい。

・さとふる
HP:https://www.satofull.jp/

取材・文/小浜みゆ

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明治大学 経営学部を上位成績で卒業後、IT企業で営業・企画を経験。その後フリーのライター・フォトグラファーとなり、「旅」と「美容」を軸に執筆を行う。毎週のように国内外を飛び回り、自分自身でトレンドを体感し、記事を書くのがモットー。趣味は道の駅巡りで、関東道の駅全制覇。地方創生を応援したい。

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