投資は難しいもの、我慢するもの――そんなイメージをまだ抱いているあなたへ。週3000円から、好きな企業を〝推す〟感覚で始める「ゆる投資術」を、旅する投資家・藤川里絵さんが紹介。最新トレンドをいち早くキャッチして〝推し株〟を見つけるヒントをお届けする。
目次
■旅する投資家・藤川里絵の「推し株で始めるゆる投資」
インターネットの発達で、本当に便利な世の中になった。しかし一方で、サイバー攻撃でオンラインストアが利用できなくなったり流通がストップしたりすると、途端に困ってしまう。
記憶に新しいのは、法人向け通販『アスクル』と、『アサヒビール』こと『アサヒグループホールディングス』が受けたサイバー攻撃だろう。『アスクル』は、2025年10月に外部からの不正アクセスによりランサムウェアに感染。約2か月間サービスが停止するだけでなく、個人情報の流出もあり、約120億円規模の損失があった。
『アサヒビール』は、2025年9月にランサムウェア攻撃を受け、基幹システムが停止。全30の工場や受注・出荷業務に影響が出たうえに、個人情報の流出も確認され、約30億円以上の損失を負ったという。
どちらも大火傷じゃないか!しかし、ファイナンシャルプランナーであり「旅する投資家」の藤川里絵さんによると、この2社には大きなちがいがあるという。そしてそれは、株価にも影響がある、とも。
100万円を目標に、個別株投資をはじめた筆者が詳しく聞いた。
解説するのは、旅する投資家・藤川里絵さん

2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。新著『知識ゼロでも週3000円の投資で100万円を貯める本』(小学館)が発売中!
「アサヒビール」がサイバー攻撃に屈しなかった理由

ーー『アスクル』の株価を見ると、1500〜1600円台から1100円台と(2026年4月取材時)、この1年で25%くらい下がっています。明らかに下がり始めたのはサイバー攻撃を受けたあと。『アスクル』の株を保有していた人は、どうすればよかったのでしょう?
藤川里絵さん:何かトラブルが起こった時に、持っている株を保有し続けるべきかどうか迷う場合は、とりあえず売るのが鉄則です。とくに『アスクル』が受けたサイバー攻撃は、どれぐらい長引くかもわからなかったですよね。
『アスクル』の株を保有していた人の中には、『アスクル』を応援したいとか、サイバー攻撃の被害が軽微で済むとか、かえってチャンスと思った人もいるかもしれません。でも蓋を開けてみると、約2か月間もサービスが停止するだけでなく、個人情報の流出もあったり、関連する企業のネットストアも止まったり、サービスが停止している間に別のネットストアに移ってしまう利用者も多かったりと、ダメージはかなり大きかったです。

ーーそれでいえば『アサヒビール』も大変でした。サイバー攻撃を受けた2025年9月ごろは1800円くらいだった株価が、いまは1600円台(2026年4月取材時)。システム障害の影響で、2026年1〜3月期決算の発表も5月上旬に延期していますよね。
藤川里絵さん:『アサヒビール』も物流と出荷が止まり、共同配送している『サッポロビール』や『キリンビール』など、他社製品の配送にも影響が出たと聞いています。でも『アサヒビール』の場合は、復旧するまで飲食店で他のメーカーのビールを提供したことで、ビール業界全体の製造が追いつかないほどビールが売れたそうです。そのぶん『アサヒビール』は2025年10月と11月の売り上げが9割減と苦しい状況でしたが、『アスクル』とちがって顧客が完全に離れなかった理由があります。
一つは、全てがインターネット頼みではないことです。サイバー攻撃で打撃を受けた部分はたくさんありましたが、DX化以前からいるベテラン営業担当者が紙の伝票を書いて対応したことで、街の酒屋さんへの流通は止まらなかったそうです。『アスクル』の場合はネット通販なので、今回のことでユーザーにリスクを分散しようと思われてしまい、今後も100%は回復しないかもしれません。
もう一つは、『アサヒビール』には『アサヒビール』のビールじゃなきゃ!というファンがいることです。『アスクル』は卸し販売がメインなので、同じ文具を他社でも頼めます。『アスクル』の強みは〝明日来る〟ですから、それが来ない可能性もあるのではだめですよね。
ーーなるほど〜。とくに前回教えていただいた、〝君じゃなきゃだめ〟という、キラッと光るものがあるって大事ですね。
藤川里絵さん:そうですね。窮地に立ったとしても、揺らがない商品力やブランド力がある企業は強いですよ。
ーー揺らがない商品力やブランド力があるかどうかは、どう見極めればよいのでしょう?
藤川里絵さん:たとえば、その業界の一丁目一番地であること。自分の好きなモノやサービスを一度チェックしてみてください。
問題が発生したらどうする?株を手放すタイミング
ーー今回のように、何か保有銘柄の打撃になるようなことが起こった場合。株を手放すタイミングは、ニュースが流れた瞬間ですか?それとも様子を見たほうがいいですか?すぐには下がらない場合もあると思うのですが……。
藤川里絵さん:内容によりますね。そもそも個別株を買う特に、損切りラインを決めるでしょう。でもそれは検討材料が出る前に決めたものですから、よくないニュースが出て業績が変わるようなら、再検討すればOK。
ーーそれは買った理由が崩れるからですか?
藤川里絵さん:そう。業績が落ちるだろうなと感じるのなら、それは買った理由が崩れているのだから、迷わず手放せば大丈夫です。
ーー思い入れのある推し株だとしても、一度は手放すほうがいいですか?
藤川里絵さん:わたしだったら推し株でも手放しますね。下がる未来しか見えない推し株に投じたお金が、全てなくなってもいいと許せるならいいけれど、そうじゃないのなら潔くお別れすべきです。わたしなら、また株価が回復し出した時に買い直します。そのほうが精神的にも穏やかにいられると思いますよ。
ネガティブなニュースから復活劇を遂げた企業もある!?

ーー里絵さんの保有していた株で、ネガティブな事案はあったものの、その後回復した会社はありますか?
藤川里絵さん:たとえばReFa(リファ)やSIXPADで知られる『MTG』。2024年12月に広告子会社で会計不正があり、株価が下がったんです。当時わたしは100株持っていましたが、ニュースを聞いてすぐに売りました。でもその後、株主総会で社長が真摯に応えて問題に向き合ったら、株価がすごく上がって。わたしはそこで買い戻して、しっかり利益が出ましたよ。
あとは、『フジテレビ』でおなじみの『フジ・メディア・ホールディングス』。2024年12月の出来事で、1800円から1600円まで株価を下げました。でもその後、経営陣が一斉にやめてガバナンス改善が期待されたり、「Netflix」で昔のドラマを放映したりと、良い方向に変わってきたんじゃないか?と期待されて、株価は3900円台と(2026年4月の取材時)倍以上も上がっています。
不正っていろいろありますし、気持ちいいものではありません。だからいったん売って、見えてくる情報を確認して、OKと思えるのなら、また買い戻せばいい。具体的なアクションを見せて、企業が変わるんじゃないかっていう期待が持たれると、株が買い戻されて株価も上がる傾向にありますね。
ーーそういう意味では、経営陣の影響ってめっちゃありますね。
藤川里絵さん:とくに不祥事のあとはね。『フジ・メディア・ホールディングス』のように経営陣が入れ替わると、分かりやすく株価にも動きが見られますよ。
ーー買い戻すベストタイミングも教えてください。
藤川里絵さん:まだ株価が下げている時に、上がるんだろうという期待で買うと、ズルズル下がる場合もあります。自分の中でストーリーを描いて、経営陣も変わって、株価が上がってきて、状況が好転してから早めに買うのが効率がいいと思います。ポイントは、チャートが上がり始めたタイミングを見逃さないこと!
もし推し株に不祥事があったらショックかもしれませんが、個別株投資はいつだって冷静に。〝恋は盲目〟は、じっさいの恋愛だけに留めておきましょう。
取材・文/ニイミユカ
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発行:小学館







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