春は、進学や就職、引っ越しに伴うスマートフォンの買い替えや片付けが活発になる季節だ。中古スマートフォンの売買を手掛けるゲオホールディングスは、2025年に新たに自宅へ滞留(埋蔵)した携帯電話=「埋蔵携帯」の価値を試算して発表した。調査は、2026年1月5日時点のデータに基づき、2025年の1年間で新たに埋蔵された携帯電話の総価値を算出している。経済効果に詳しい関西大学の宮本勝浩名誉教授の協力の下、従来の推計手法を全面的に見直して遺品数や買い替え実態を個別に積み上げた実態に即した新基準を採用したという。なお、この調査では「中古市場への売却」および「廃棄・下取り回収」以外の項目(自宅保管、自身での再利用、家族・知人への譲渡など)を最終的に家庭内に滞留する可能性が高い「広義の埋蔵状態」と定義しており、公表されている類似の調査とは定義および数値が異なる場合がある。
ちなみに2025年単年の「埋蔵携帯」の総価値額は約7263億3156万円で、経済波及効果は約1兆6051億9275万円と推計。この試算は、埋蔵携帯をそのままにせず、中古市場や金属市場へ供出することの重要性を示す結果といえる。
2025年の「埋蔵携帯」の推定価値額は約7263億円
スマートフォンの性能向上に伴い販売価格の上昇が続いているが、買い替え時に旧端末を中古市場へ売りに出さず、自宅に保管したままにするケースも少なくないという。中古端末には市場価値があるため、埋蔵状態は、国内の中古市場活性化を阻害する非常に「もったいない」損失だ。2025年の1年間で新たに自宅へ保管(埋蔵)された携帯電話の数は約2735.3万台と推計されるが、これは4年前の出荷台数の約3654.2万台をベースに、リサイクル・下取りに出さない層(69.3%)や逝去による埋蔵数などを積み上げた数値。環境省「令和6年度 リユース市場規模調査 報告書」の携帯電話・スマートフォンの平均購入単価である2万6554円を掛け合わせた総価値額は約7263億3156万円になる。算出方法の再検証の結果、修正後の2022年版と比較して、2025年の総価値額と経済波及効果は約1.34倍、経済波及効果は約1.35倍に拡大していたが、主な要因は端末価格およびレアメタル価格の上昇だと思われる。
「埋蔵携帯」の経済波及効果は約1兆6051億9275万円と推計
「埋蔵携帯」が中古市場へ還流することで生まれる経済波及効果の推計は、約1兆6051億9275万円になったが、これは総務省が2025年8月に発表した「令和2年産業連関表」を用いて算出している。「埋蔵携帯」に含まれる金、銀、パラジウム、銅などの有用金属の価値額は、合計で約326億6194万円。2022年版調査では1台あたりの金属価値は約370.68円だったが、約1194.09円と約3.2倍も高騰している。国内の金価格は2025年末に1gあたり2万5000円(税込み)の市場最高値を突破した後も2026年3月現在にかけて上昇基調だったが、そのために「都市鉱山」としての携帯電話の資産価値も上昇していたようだ。
「埋蔵携帯」から『iPhone 17』約2700万台分の金が回収可能
2025年の1年間で新たに埋蔵された約2735.3万台に含まれる金:約711kgは、最新スマートフォン『iPhone17』の約2735万台分の製造に必要な金に相当するという。日本国内で1年間に眠ってしまう端末を回収するだけで、翌年に生産される最新デバイスに必要な資源を国内で「自給自足」できるポテンシャルを秘めているといえる。(一般的なスマートフォン1台あたりの金含有量を約0.026gとして『iPhone 17』の想定製造台数規模に換算して算出)
この結果に宮本教授は、次のようなコメントをしている。「調査では、埋蔵される携帯電話は非常に価値があることがわかります。従って、使用されなくなった携帯電話は中古市場でもニーズがあること、レアメタルの利用源としての価値もあることを考えても、埋蔵されている携帯電話をより一層中古市場や金属市場に供出するべきです。それにより、日本の経済社会のリサイクルがより進展することになると推察されます」
高性能・高価格の機種を求めない人にとって、中古スマホは買い替え時の魅力ある選択肢のひとつといえる。循環型社会を目指す上でも「埋蔵携帯」の有効活用は積極的に行っていく必要はりそうだ。
・宮本勝浩名誉教授
プロフィール
現職は関西大学 名誉教授(専門:理論経済学)。プロ野球や観光地、歴史的イベントの経済効果算出における第一人者。
構成/KUMU







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