新型車がSUVばかりの時代にワゴンは絶滅してしまうのか?
ここのところ、街を、高速道路を、行楽地を走るクルマの多くがSUVだ。実際、国内外の自動車メーカーから発売される新型車のほとんどがSUVである。2026年の国産新型車もSUVのホンダCR-V、トヨタRAV4、マツダCX-5たちが続々登場している。
一方で、ステーションワゴンの新型車は影を潜めている。国産車で純粋なステーションワゴンはスバル・レヴォーグ、トヨタ・カローラツーリングぐらいのものだ。「あれっ、復活したクラウン・エステートがあるじゃないか・・・」と思うかもしれないが、トヨタのHPを見ても分かるように、現在のクラウン・エステートは、そのホイールアーチモールディングの存在が示すように、今やSUVに分類されているクロスオーバーモデルなのである。
欧州ではステーションワゴンが一定の支持を得ているが・・・
ただし、欧州車ではステーションワゴンが健在のように見える。フォルクスワーゲンのパサートはセダンを廃止し、ステーションワゴンのヴァリアントのみの展開となり、ゴルフもワゴンのヴァリアントが健在だ。BMWにも2/3/5シリーズにツーリングと呼ばれるワゴンが存在し、アウディにもA5にアバントと称するステーションワゴンがある。もちろん、メルセデスベンツもCLAシューティングブレーク、Cクラスステーションワゴン、Eクラスステーションワゴンを用意。ボルボにもV60がある(V90はすでに生産終了)。が、各自動車メーカーのラインナップの中でステーションワゴンはもはや、勢いを増すSUVの陰に隠れた少数派と言っていいのも事実だ。
それを象徴するのが、かつてはワゴンの製造台数で圧倒し、240、940、850、740、960、V50などの多くのエステート=ステーションワゴンをヒットさせたボルボも、今ではステーションワゴンはV60のみとなり、そのV60でさえ行く末は不透明。現在のラインナップはXC60、XC40を始めとするSUVと、ステーションワゴンを持たないBEVが主流になっている。
その理由として、全高に余裕あるSUVとは違い、全高の低いステーションワゴンは、パッケージ的に床下にバッテリーを敷き詰める電気自動車=BEVにしにくい事情があるかも知れない。逆にボディに厚みを持つSUVは電気自動車に向いているパッケージという見方もでき、メルセデスベンツを始めとする欧州SUVに電気自動車が多いのも頷けるというものだ。
やはりステーションワゴンは絶滅の危機に直面している
そう、世界的に、かつてのアメリカ映画によく出てきたワゴンが消滅したアメリカ車がそうであるように、ステーションワゴンは絶滅の危機に直面していることは間違いなく、ドイツ車でさえ、この先はそうした傾向になっていく気配がある。その理由は、世界的にワゴンが売れないから。ワゴンならではのラゲッジルームも、ワゴンの背を高くしたようなSUVがその役割を担っていることも大きいだろう。SUVなら視界も高く、見晴らし感覚の爽快なドライブが楽しめ、最低地上高の余裕から走破性にも優れるメリットを持ち合わせているわけだ。
筆者は90年代から現在まで4台のステーションワゴンを所有
じつは、筆者はこれまでの車歴の中で、4台のステーションワゴンを所有しているワゴン派だ。今乗っているのもコンパクトな全高1485mmのドイツ製ステーションワゴン(ガソリンターボ)である。理由は低重心な走り、SUVに比べて軽量で優れた燃費性能(ふんわりアクセルによって市街地で15km/L、高速走行で19km/Lを記録することも)、ラゲッジルームのフロア地上高の低さ(SUVに対して)による重い荷物の出し入れのしやすさ、犬の乗降のしやすさ(30年以上、大型犬、小型犬と暮らしている)、後席格納で拡大したラゲッジスペースを利用した車中泊対応、そしてごくたまに利用する立体駐車場への入庫容易性である。
が、「立体駐車場への入庫容易性」については日本特有の事情とも言えて、広大な敷地を持つ国では駐車場は平置きが常識。全高1550mm以下だと立体駐車場に止められる・・・なんていう話は、他国、そして日本でも郊外ではまず関係ないのである。自身の出先の駐車事情について振り返れば、かつては立体駐車場の利用が多く、昨年、公共交通機関の便があまりよくないコンサート会場に出向いたとき、会場により近い、あてにしていた平置き駐車場はすでにSUVやミニバンで溢れ、満車。そこでやっと止められたのが、コンサート会場から少し離れた立体駐車場だったのである。SUV全盛時代だからこそ、全高1550mm制限の立体駐車場に空があり、無事、コンサート開演前に駐車できたとも言える。ただ、ここ数年で立体駐車場に止めたのは3回ぐらいだったと記憶している。確率としては95%が平置き駐車場の利用ではある・・・。
全高1550mm以下の立体駐車場に入庫容易なSUVも存在する
日本でも、今ではワゴンを持たないホンダのコンパクトSUV、ヴェゼルが全高1545mmとして、都市部での立体駐車場を含む使い勝手をアピールしているが、それも日本固有のメリットというわけだ。全高1550mm以下のSUVがあれば、ますますステーションワゴンの需要、必要性が薄まると言っていいかも知れない。しかも、クルマの進化によって全高が高く、最低地上高に余裕があるSUVでもカーブ、山道、高速道路で重心高を感じさせない地に足のついた、ステーションワゴンに遜色のない安定感たっぷりの走りを見せてくれるSUVもあるのだから、なおさらである。
ちなみに今買える全高1550mm以下の国産SUVとしてレクサスLBX、レクサスUX、トヨタ・クラウンエステート、マツダCX-30、スズキ・フロンクス、そして上記のホンダ・ヴェゼルRSがある。
ワゴン派にとっては、新車でステーションワゴンを買うなら早めに決断すべきだろうが、例えばスバル・レヴォーグの場合、現在はガソリンターボのみで、スバルの新世代パワーユニットのストロングハイブリッドがないこともあって販売面で苦戦。しかし、マイナーチェンジなどでフォレスターに採用された2.5L水平対向エンジン+モーターのストロングハイブリッドが搭載される可能性があることも念頭に置いておくべきだろう。クロストレックや2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞のフォレスターの完成度をストロングハイブリッドが押し上げてもいるわけで、愛犬家に愛されてきたレガシイツーリングワゴンの事実上の後継モデルと言えるレヴォーグのストロングハイブリッドモデルに、ワゴン派としては大いに期待したいところだ。
犬と暮らし、長年ステーションワゴンを愛用している筆者の次期愛車について考えたとき、微力ながらステーションワゴンを絶滅させないために!?ドッグフレンドリーカーでもあるステーションワゴンに、この先、選択肢はますます限られるかも知れないけれど、乗り続けたいと思っていたりする・・・(どうしても乗りたいステーションワゴン以外のクルマがあれば別だが)。
文/青山尚暉
ラグジュアリーなクルマのある暮らしを愉しむWEBマガジン「AQ」
現在、日本国内の自動車市場において、超高級車といわれるカテゴリーは右肩上がりで成長を続けています。ラグジュアリーなクルマを購入する人が増えている理由のひとつとし…







DIME MAGAZINE





































