ぬいぐるみ顔負けの可愛さを持つモフモフのアブがいます!アブと言うと、昆虫が苦手な方にとってはあまりよくないイメージがあるかもしれませんが、この種類はいい意味でギャップがあるはずです。今回は、そんなモフモフのアブとはどんな種類なのか?モフモフな体を持つ理由、さらには野外で見つける方法について解説いたします。
ぬいぐるみのようなアブ・ビロウドツリアブとは!?
ハエ目ツリアブ科に属する1cmほどのアブ・ビロウドツリアブはクマのぬいぐるみのような茶色いフサフサの毛を持っており、虫好きの間ではモフモフで可愛いと人気が高い種類です。
アブというと、吸血するような怖いイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、ビロウドツリアブは人を刺すことはなく、長い口を使ってお花の蜜を吸う、まるでチョウのような華麗な暮らしをしています(すべてのアブのうち、危険なアブはごくごく一部です)。
国内では北海道から九州の平地から山地までの広い範囲に生息しており、世界でもアジア、ヨーロッパ、北アメリカととても広い範囲に分布しており、世界中の虫好きを楽しませてくれている種類です。1年中見られるわけではなく、春にのみ姿を現しますが、個体数は多いです。
ビロウドツリアブはじめ、ツリアブの仲間はホバリングしながら空中に停止することができます。この姿が糸で吊り下げられているように見えることからツリアブ(吊り虻)という名前がつけられました。英語では、ハチに似ていることから”Bee fly”と呼ばれています。
ビロウドツリアブがモフモフな理由
では、なぜビロウドツリアブはこんなにモフモフで可愛いらしい見た目をしているのでしょうか?それはビロウドツリアブが現れる時期と彼らの生存戦略に関係があります。
ビロウドツリアブは他のアブの仲間と比べてもかなり早い3月頃から姿を現し始めます。ですが、3月はまだ気温が低く、人間同様に昆虫たちにとっても寒くて厳しい時期です。そのため、飛び回るためには体温を高く保っておく必要があります。そこで、体を冷やさないために、モフモフの毛を持つことで、なるべく高く体温を保とうとしています。これにより、寒くても飛び回ることができるのです。
でも、そんなに寒いなら3月から活動しなくていいのでは?と思うかもしれません。しかし、寒い時期にはビロウドツリアブと同様に花の蜜にやってくるライバルとなる昆虫も少ないというメリットがあります。つまり、ビロウドツリアブがこの可愛いらしい”ダウンジャケット”を着て、蜜をゲットするために飛び回るのは、とても理にかなった作戦なのです。
ビロウドツリアブを探しに出かけよう!
実際にビロウドツリアブを野生で見つけたくなった方も多いのではないでしょうか?ビロウドツリアブは決して珍しい種類ではなく、全国的にも簡単に見つけることのできる種類です。
まず、3~5月頃の里山に出かけてみましょう。森の近くの日当たりの良い場所などをよ~く見てみると、空中をホバリングしている物体を見つけられるはずです。ホバリングをしている時に、近づきすぎたりすると、すぐに飛んで逃げてしまうため、地面などにとまるのを待って観察するようにしましょう。
捕まえる時はホバリングしている横から素早く捕虫網を振る、もしくはとまった時に上から網を被せます。ビロウドツリアブは指で持っても、危険ではないため、間近で観察してみたい方は横から翅のつけ根を抑えるようにして持ってみましょう。翅や脚を持ってしまうと、傷つけてしまうこともあるため、注意が必要です。
さて、今回はビロウドツリアブについて解説してきましたが、アブの仲間にはビロウドツリアブと同じようにモフモフの可愛い種類が多くいます。遠くから見ると、「小さな茶色い虫」くらいにしか見えなくても、間近で見てみると、その可愛いらしさを十二分に体感できることもあるはずです。
昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my
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文/牧田習







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