プラスチック添加物が年間約197万件の早産に関連
プラスチックに柔軟性を与える一般的な化学物質であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)が、年間約200万件の早産に関与している可能性が新たな研究で示された。DEHPは、これまで長年にわたって人体に対する有害性が指摘されてきたフタル酸エステル類に分類される化学物質の一種で、化粧品から洗剤、防虫剤に至るまで、さまざまな製品に広く使用されている。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のSara Hyman氏らによるこの研究結果は、「eClinicalMedicine」に3月30日掲載された。
DEHPは微環境中に広く存在するため、空気中から吸い込んだり、水や食物を介して摂取したりする可能性がある。Hyman氏らは今回、2018年の米国やカナダ、ヨーロッパなどの調査データに加え、調査データが存在しない地域については既存のメタ解析で推定された曝露量を用いて、世界203の国および地域におけるフタル酸エステル類への曝露分布を推定した。さらに、先行のコホート研究で得られたフタル酸エステル(DEHP、フタル酸ジイソノニル〔DINP〕)曝露と早産との関連を各地域の曝露分布に適用し、早産への影響を推定した。
その結果、2018年に世界で記録された約197万件の早産(同年の早産全体の8.74%)が母親のDEHP曝露に関連するとともに、約7万4,000人の新生児の死亡にも関連していることが示された。早産の負担が最も高かったのは中東と南アジアで、この2地域だけでDEHP曝露に起因すると推定された早産の54%を占めていた。次いで負担が高かったのはアフリカでの26%だった。DINP曝露の早産に対する影響も同様で、188万件の早産および6万4,000人の新生児の死亡に関連することが示された。
論文の筆頭著者であるHyman氏は、「フタル酸エステル類への曝露が早産に与える影響を世界規模で推定した結果、特に影響を受けやすい地域で曝露を抑制することが、早産や早産後に起こりやすい健康問題の予防につながる可能性のあることが明らかになった」とNYUランゴンのニュースリリースで述べている。
また、論文の上席著者でNYU小児科学教授のLeonardo Trasande氏は、「われわれの分析は、フタル酸エステル類を一つずつ規制し、理解が不十分な代替物質に置き換えるだけでは、より大きな問題の解決にはならないことを明確に示している」と述べている。その上で同氏は、「われわれは有害な化学物質を相手に『もぐらたたき』のように危険なゲームをしているといえる。今回の分析結果は、同じ過ちを繰り返さないために、プラスチック添加物全体に対するより強力で包括的な規制が急務であることを示している」と付け加えた。
なお、研究グループによると、フタル酸エステルは他の面でも健康に影響を及ぼす可能性があるという。Hyman氏は、「例えば、フタル酸エステルへの曝露はがん、心疾患、不妊症のリスクの上昇と関連していることが他の研究で示されている」と指摘している。(HealthDay News 2026年4月3日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(26)00089-1/fulltext
Press Release
https://nyulangone.org/news/plastic-additives-tied-millions-preterm-births-worldwide
構成/DIME編集部
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