車の購入台数は停滞気味と言われているが、中古車市場規模に関しては2025年に過去最大の5兆3194億円を記録したという。この要因は、購入単価の上昇が市場を拡大したことだろう。リクルートの自動車市場に関する調査・研究機関『カーセンサー自動車総研』は、車の購入における消費者の実態を深く把握することを目的に『自動車購入実態調査2025』を実施した。それによれば中古車購入単価は175.2万円で前年よりも19.3万円も上昇していた。
2025年の中古車市場規模は5兆3194億円
・中古車の購入台数、市場規模<推計値>
2025年の中古車市場規模(費用総額)は、中古車購入単価×延べ購入台数にて算出すると5兆3194億円と推計されるという。前年より4909億円ほど増加して、2019年の調査以降で最大の市場規模を記録した。ただ1年間の中古車購入率は3.28%で、前年よりも0.07%ほど下がった。中古車購入単価は175.2万円で前年よりも19.3万円ほど上昇しており、2015年の調査以降もっとも高い単価だった。
中古車の支払総額では、「100~150万円未満」が19.5%でもっとも高く、それに「50~100万円未満」(18.7%)、「150~200万円未満」(15.5%)、「50万円未満」(15.0%)が続いた。年代別の平均では、29歳以下が203.2万円ともっとも高く、30歳台が184.3万円、40歳台が179.9万円という結果になった。
中古車の主な購入目的トップは通勤・通学
・中古車の主な購入目的(1年以内に中古車を購入した人/単一回答)
中古車の主な購入目的のトップは「通勤・通学用」(42.0%)だった。2位は「買い物などの足として利用」(26.1%)、3位が「レジャー用」(14.8%)。29歳以下では「レジャー用」が8.3ポイント、50歳台は「通勤・通学用」が7.0ポイント、60歳以上は「買い物などの足として利用」が16.7ポイントとそれぞれ全体と比較して高い数値になった。
中古市場拡大について『カーセンサー自動車総研』所長兼『カーセンサー』統括編集長の西村泰宏氏は、次のようにコメントしている。
「中古車市場規模(推計)が前年より拡大し、5兆円を超える規模となりました。市場規模の拡大は購入単価の上昇が牽引しており、中古車の購入単価は前年より19.3万円上昇し、調査開始以来もっとも高くなっています。支払総額のボリュームゾーンは、前年の50万円~100万円未満から100万円~150万円未満になっています。加えて200万円以上の割合が前年をすべて上回り、購入単価を押し上げています。年代別に見ると29歳以下の平均は前年より34.0万円アップで、ほかの年代よりも支払総額が一番高く、60歳以上も前年より33.5万円アップしています」
人気の中古車のボディタイプは軽自動車
・直近で購入した中古車のボディタイプ(1年以内に中古車を購入した人/単一回答)
・直近で購入した中古車のボディタイプ別支払総額の平均(1年以内に中古車を購入した人のうち、金額回答者のみ/数値回答)
直近で購入した中古車のボディタイプは、「軽自動車」が43.1%でもっとも高く、2位は「ミニバン」(15.9%)だった。30歳台は「ミニバン」が11.7ポイント、60歳以上は「軽自動車」が5.8ポイント、それぞれ全体と比較して高くなった。
直近で購入した中古車のボディタイプ別支払総額でみると、平均がもっとも高いのは「クロカン/SUV」で292.3万円だった。2位は「セダン」(224.8万円)、3位は「ステーションワゴン」(219.9万円)だった。時系列では、支払総額の平均は全ボディタイプで前年よりも上昇しており、特に「ステーションワゴン」が前年よりも46.1万円増と大きく上昇した。購入単価の上昇は、電動化車両のシェアが挙がっていることが要因とも受け取れる。
「購入した中古車のボディタイプは、購入単価が高いクロカン/SUVのシェアが伸びています。エンジンタイプはガソリンエンジンのシェアが下がり、ハイブリッドなど電動化車両全般のシェアが上がりました。シェアを伸ばしているSUVや全体の3割近くになった電動化車両は、他のボディタイプやガソリンエンジンと比べると支払総額が高いため、これらも購入単価の上昇に影響しています。物価高やガソリン価格の高騰など、世の中の経済動向の影響によって前年調査では中古車購入単価が少し落ち着きましたが、今回は再び金額がアップしました。多少の上下動はありますが、経年で見ると緩やかな右肩上がりのトレンドであることが予想されます」(西村泰宏氏)
中古車のエンジンタイプは「ハイブリッド」が前年より2.7ポイント増加
・直近で購入した中古車のエンジンタイプ(1年以内に中古車を購入した人/単一回答)
・直近で購入した中古車のエンジンタイプ別支払総額の平均(1年以内に中古車を購入した人のうち、金額回答者のみ/数値回答)
直近で購入した中古車のエンジンタイプは「ガソリンエンジン」が69.3%でもっとも高かった。「ハイブリッド」は21.6%で、前年より2.7ポイントほど増加した。エンジンタイプ別の支払総額では、「プラグインハイブリッド」で351.0万円でもっとも高かった。2位は311.5万円で「EV(電気自動車)」、3位は295.1万円で「ディーゼルエンジン」だった。なお燃料電池車(FCV)は、サンプル数が少ないので参考値として扱っている。
新車購入経験者の割合は全体の84.3%
・中古車のイメージ(1年以内に中古車を購入した人/それぞれ単一回答)
・新車の購入経験の有無(全体/単一回答)
1年以内に中古車を購入した人の中古車のイメージでは、「中古車は少ない予算でも買えるので魅力的だ」が76.0%でもっとも高かった。それに「安全性に問題がなければ中古車で十分だ」(69.7%)、「中古車は同じ予算で上のグレードのクルマが買えるので魅力的だ」(69.1%)が続いた。ちなみに1年以内に新車・中古車のいずれかを購入した人に過去の新車の購入経験では、「1年以内に経験したことがある」が68.9%だった。「経験したことはなく、今後も予定はない」は12.8%で、新車の購入経験がある人は84.3%だった。過去の中古車の購入経験については、「1年以内に経験したことがある」が37.3%で、「経験したことはなく、今後も予定はない」は38.4%だった。
車の購入のきっかけは、前の車の年式の古さや走行距離の長さ
・クルマを購入しようと思い立ったもっとも大きいきっかけ(全体/単一回答)
1年以内に新車・中古車のいずれかを購入した人に購入しようと思い立ったもっとも大きいきっかけを質問すると、トップは「前の車の年式の古さや走行距離の長さから買い替え時期だと感じた」(29.3%)だった。新車購入者に関しては、2位は「車検の時期が近づいた」(21.2%)だった。中古車購入者は「前の車が事故や故障などによって乗れなくなった」が25.7%でもっとも高かった。
車の購入先はメーカー系販売店(ディーラー)が約6割
・直近で購入した車の購入先(全体/単一回答)
・直近で購入したクルマの支払総額(リース、サブスクリプション以外の方法で購入した人のうち、金額回答者/数値回答)
新車購入者の84.8%が「メーカー系販売店(ディーラー)」で購入していると回答。中古車購入者は、「メーカー系販売店(ディーラー)」が42.4%でトップ。それに「中古車専業店」(32.5%)と「自動車修理工場」(10.4%)が続いた。新車と中古車の支払総額平均は284.6万円で、新車購入者が350.1万円、中古車購入者が175.2万円だった。それぞれのボリュームゾーンは、新車購入者が「200~250万円未満」(19.1%)で中古車購入者は「100~150万円未満」(19.5%)という結果になった。
1年以内に新車・中古車のいずれかを購入した人の支払い方法は「一括払い」(65.2%)がもっとも高く、それに「ローン」(19.4%)、「残価設定ローン」(12.3%)が続いた。新車購入者では「一括払い」(62.1%)がもっとも高く、2位が「残価設定ローン」(17.6%)、3位が「ローン」(16.5%)という順位だった。中古車購入者1位は「一括払い」(70.3%)だが、2位が「ローン」(24.3%)で3位が「残価設定ローン」(3.3%)と新車購入者と違うランキングになった。
今回の調査では、中古車市場規模が5兆円を超えて、購入単価もアップしている実態がわかったが、購入単価の引き上げはSUVやハイブリッドなどのシェア上昇が要因になっているといえそうだ。中古車市場について西村泰宏氏は、若い世代がけん引しているとコメントしている。
「過去1年間の新車・中古車の購入経験を見ると、8割以上の方が新車購入を経験済みで、中古車購入経験者よりも高い割合になっています。1年以内の中古車購入経験の割合がもっとも高い年代は29歳以下で、前年と同様に若い世代は中古車購入に意欲的なことがうかがえます。「クルマを買う=新車」という固定概念は依然あるものの、若い世代が中古車市場の活性化を支える存在となっていると言えるでしょう。1年以内の新車購入経験は、前年の「年代が上がるほど高い」傾向から一変し、年代間の差異がほぼなくなりました。この背景には、新車購入者の「残価設定ローン」利用率が前年に比べ微増している点が挙げられます。支払総額が中古車よりも高い新車でも、購入の工夫により支払いの負担を軽減できたことが、若年層を含む幅広い層で新車購入のハードルを下げた一因と言えるでしょう」
車に関しては安全性能や環境性能などの機能向上が社会的に要請されており、資材や人件費などのコスト増も追い打ちをかけている。それに伴って新車価格は上昇しており、中古車の流通価格も上がっている。車を取り巻く環境は急激に変化している。消費者としては、購入の工夫によって新車・中古車に限らず選択の幅はさらに広げていく必要がありそうだ。
『自動車購入実態調査2025』概要
調査目的:自動車購入者/検討者の意識や行動の把握(2015年から実施)
調査対象:一次調査/全国18歳~79歳の男女(沖縄県を除く。マクロミルの登録モニター)。二次調査/一次調査において「直近1年以内に中古車を購入した」、「直近1年以内に新車を購入した」、「1年より前~3年以内に新車を購入し、1年以内にクルマ購入を検討した」、「1年より前~3年以内に新車を購入し、1年以内にクルマ購入を検討しなかった」、「1年より前~3年以内に中古車を購入し、1年以内にクルマ購入を検討した」、「1年より前~3年以内に中古車
を購入し、1年以内にクルマ購入を検討しなかった」、「クルマを所有しておらず、1年以内にクルマ購入を検討した」と回答した人を抽出
回収数一次調査:20万0001件
(令和2年国勢調査に基づき、全国を性別2区分×年代別5区分(29歳以下/30歳代/40歳代/50歳代/60歳以上)×エリア10区分に割り付けて回収。
調査期間一次調査:2025年8月08日~2025年8月30日/二次調査:2025年8月21日~2025年8月31日
調査方法:インターネットによる調査
調査実施機関:マクロミル
出典:「自動車購入実態調査 2025」リクルート調べ
構成/KUMU







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