若い世代で利用が増えるペアローン。「契約が2つになると手数料は本当に高くなるの?」という疑問の答えとは?印紙税や司法書士報酬など増える費用がある一方、実は多くの手数料は変わらず、さらに住宅ローン減税で得するケースも。コストとメリットを冷静に見極めたい人向けにマネーのプロが解説する。
若い世代で増えているペアローン。契約が2つになることによって手数料がかかるのでは?と疑問に思っている人もいるだろう。実際、どのぐらい高くなってしまうのだろうか?
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ペアローンの手数料は2つ分かかるのか?
| 手数料の種類 | 追加でかかる手数料の目安 |
| 印紙税 | +20,000円※1(電子契約の場合はかからない) |
| 司法書士費用 | +40,000※2 |
※2 抵当権設定登記の司法書士報酬平均42,699円
(参考)日本司法書士連合会 司法書士の報酬
https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration
契約が2つになることで、書類が2つとなり、印紙税が2つ分かかる。
そして、抵当権設定登記においても、契約が2つになることで登記における手間が煩雑となるため、その分司法書士に支払う報酬は高くなる。なお、印紙税においては、ネット上で契約を完結させる電子契約であれば書類が不要であるため、書類に貼る印紙税は不要とできる。
このように、契約が2つになることで、高くなってしまう手数料もあるが、住宅ローンにかかる手数料の大部分は定率でかかるため、以下のような手数料は、ペアローンだからといって手数料は高くならない。
| 手数料種類 | 手数料率 | 目安 |
| 融資手数料 | 借入金額の2.2% | 660,000 |
| 火災保険料 | 保険金額×〇% | 150,000 |
| 登録免許税 | 借入金額×0.4% (2027年3月末まで軽減税率0.1%) | 30,000 |
| 保障の付加 | 住宅ローン金利に上乗せ | |
| 合計 | 840,000 |
※手数料の目安は借入金額3,000万円で計算、登録免許税は軽減税率で計算
※上記以外に保証料がかかる金融機関もある
借入に係る手数料のうち、融資手数料の金額が最も大きいが、ほとんどの銀行が借入金額の2.2%としているため、契約が2つになったからといって手数料は変わらない。
ただし、融資手数料が定額型の金融機関である場合、手数料は2つ分かかってしまう。
その他、火災保険料も保険金額に対して定率で手数料がかかるため、ペアローンでも変わらない。そして、抵当権設定登記における司法書士報酬は登記が2つになる分報酬が高くなるのは前述の通りだが、登録免許税については定率であるため、契約が2つになっても変わらないのだ。
また、がん保障、三大疾病など団信に付加できる保障は、住宅ローン金利に対して定率で上乗せされるため、これも契約が2つになっても変わらない。
ただ、住宅ローンの団信において、ペアローンでどちらか一方が死亡または高度障害状態になった時、遺された配偶者のローン残高はゼロにならないため、そのような状態に備えて2人分のローン残高をゼロにすることができる連生団信に加入することも手だ。その場合、ローン金利が0.2%程度上乗せされることになるため、ペアローン特有のコストがかかることになる。
ペアローンにすることで、印紙税、司法書士報酬、さらに連生団信へ加入した時の上乗せ金利が余分にかかることになるが、次の通り、他方でペアローンで得することもあると覚えておきたい。
ペアローンで減税額が大きくなる?

ペアローンで得するといわれているのが、住宅ローン減税である。
住宅ローン減税は、正式には住宅借入金等特別控除といい、年末の借入残高に対して0.7%の減税を受けられる制度だ。
借入残高に対して0.7%の減税であるから、基本的にはペアローンにしても減税額は変わらないのだが、以下に当てはまる場合は、ペアローンにしたほうが減税額が増える。
- 1人の所得税だけでは減税可能額を減税しきれない。
- 借入金額が住宅ローン減税制度における借入金の控除限度額を超えている。
住宅ローン減税は、まず所得税から控除される。所得税の減税額には上限がない。もし、所得税だけでは控除しきれなかった場合には、住民税からも控除できるが、その控除できる額に上限がある。その上限額は、前年分の所得税の課税所得金額等の5%(97,500円を限度)となる(※)。この住民税から控除できる金額に上限があることで、減税を受けきれないケースがある。
例えば、借入金額が4000万円、借入期間35年、年利0.9%で借りた時、1年目の減税額は年末借入残高3903万円×0.7%=27.32万円受けられるはずだが、年収500万円(所得税12万円、住民税24万円)の人の場合、減税可能額27.32万円のうち、所得税の12万円から控除後、住民税から残り15.32万円の減税を受けたくても、住民税から控除できるのは9.75万円が限度であるから、残り5.57万円の減税額は受けられない。
この時、ペアローンによって2人で4000万円を借り入れ、借入額を3000万円と1000万円に分けたとする。その結果、住宅ローン控除の対象となる減税額は、それぞれ年末残高2927万円×0.7%=20.49万円、975万円×0.7%=6.83万円となり、合計で27.32万円を受けることができる。
2人とも年収が500万円で、所得税が12万円、住民税が24万円の場合、1人目は減税額20.49万円のうち、まず所得税12万円から控除し、残りの8.49万円を住民税から控除できる。
2人目も、減税額6.83万円を所得税から全額控除できるため、2人合計で27.32万円の減税を受けられる。
以下は、1年目から13年目までについて、単独で借りた場合とペアローンで借りた場合の減税額の違いを示したものである。
| 単独(4,000万円) | ペアローン (3,000万円・1,000万円) | 差額 | |
| 1年目 | 21.75 | 27.32 | 5.57 |
| 2年目 | 21.75 | 26.65 | 4.9 |
| 3年目 | 21.75 | 25.96 | 4.21 |
| 4年目 | 21.75 | 25.27 | 3.52 |
| 5年目 | 21.75 | 24.57 | 2.82 |
| 6年目 | 21.75 | 23.86 | 2.11 |
| 7年目 | 21.75 | 23.15 | 1.4 |
| 8年目 | 21.75 | 22.43 | 0.68 |
| 9年目 | 21.7 | 21.7 | 0 |
| 10年目 | 20.97 | 20.97 | 0 |
| 11年目 | 20.23 | 20.23 | 0 |
| 12年目 | 19.48 | 19.48 | 0 |
| 13年目 | 18.72 | 18.72 | 0 |
| 合計 | 275.1 | 300.31 | 25.21 |
※借入金額4,000万円、年利0.95%、借入期間35年を想定して計算。減税可能額は扶養の状況、社会保険料等の控除などで変わるため、年収500万円でも実際は異なる可能性がある。今回は、配偶者控除なし、子どもは19歳未満、社会保険料控除額は76万円、基礎控除額は令和9年以降の58万円、控除可能借入金額の上限は4,000万円を前提としている。
上の表のように単独では全額減税を受けられない時は、ペアローンにすることで、13年間の合計減税額は約25万円も差が生まれることになり、手数料を多少多く払ったとしても元が取れることになる。
特に、2025年度以降は、政府のインフレ対策により、基礎控除額の引き上げ、給与所得控除額の拡大が行われた結果、減税されており、その分住宅ローン減税で控除できる所得税額も少なくなるため、1人だけでは減税を満額受けられない可能性が高い。
次に借入金額が借入金の控除限度額を超える場合についてだが、住宅ローン減税には以下の表のように限度額が設けられており、限度を超える部分については減税を受けることができない。
| 新築or中古 | 認定住宅等の種類 | 借入金の控除限度額 | 特例対象個人 | 減税期間 |
| 新築、建売住宅または買取再販住宅の購入 | 認定住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 | |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 | |
| 上記以外※ | 0円 | 0円 | ||
| 中古住宅 | 認定住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 13年 | |||
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 | |
| 上記以外(認定住宅等に該当しない買取再販住宅を含む) | 2,000万円 | 2,000万円 | 10年 |
▼特例対象個人とは、以下の要件のいずれかに該当する者をいう。
(1)年齢40歳未満で、配偶者を有する者
(2)年齢40歳以上で、年齢40歳未満の配偶者を有する者
(3)年齢40歳以上で、19歳未満の扶養親族を有する者
借入金額が限度額を超える場合には、ペアローンにすることで、借入金額が上限を超えないようすることができ、借入金額全体に対して減税が受けられるようになる。
例えば、省エネ基準適合住宅で特例対象個人である場合、2026年の住宅ローン減税の制度では、3000万円が借入金額の控除上限となる。もし、借入金額が単独で4000万円だった場合、3000万円を超える分については減税を受けることができないが、ペアローンにより、借入金額を3000万円、1000万円と分けたら、それぞれ満額減税を受けることができる仕組みだ。
※平成26年~令和3年12月31日までの取得は前年分の所得税の課税所得金額等の7%(136,500円を限度)。
住宅ありきではなくまず予算をしっかり決めよう
ペアローンは、契約が2つになる分、手数料は多少高くなるが、大部分の手数料は契約が2つになっても変わらない。逆に、ペアローンにすることにより、住宅ローン減税で得する可能性もある。そして、ペアローンは収入を合算することができるため、1人の収入だけでは叶わなかった希望の住宅を購入できるのだ。
一方で、希望の家を借りるためにペアローンで借り、返済が苦しくなったり、離婚時に揉めたりする可能性もあるため、住宅ありきではなく、まずは無理のない返済ができる借入金額による予算を決めることが大切。返済配分を他の生活費を鑑みて相談したうえで、家を決めた方がよいだろう。
文/大堀貴子
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