社会のDX化により、現代人は常に光や音などの〝ノイズ〟に晒されている。このストレスを軽減し、心身を整える新たな空間設計の概念がセンソリーデザインだ。「センソリー」とは感覚(五感)を指し、発達障害や感覚過敏を持つ人々が心を落ち着かせるために生まれた。その有効性が実証され、大阪・関西万博では「カームダウン・ルーム」が会場内43か所に設置され、人混みに疲れた来場者が不調になる前にリセットできる避難所として機能した。
センソリーデザインは、主に家や自動車などの空間デザインに使われる

カームダウンが期待できるセンソリールームの例。「定量的な評価は難しいですが、保育園に導入した実例では効果を実感する人が多い傾向に」(三浦さん)
パナソニックグループでセンソリールームを開発する三浦美賀子さんが、その可能性を解説する。
「単に壁を作って刺激を遮断し、心身をリセットするだけでなく、光・音・映像・アロマ・振動などを統合的に制御し、利用者に活力を与えて『ゼロをプラスにする』効果も期待できます。重要なのは自己選択で、その日の気分や体調に合わせ、照明や音響を自ら選ぶことで、安心感や自己効力感が生まれます。これは健康経営を目指す企業にとっても有益なソリューションです」(三浦さん)。
環境に耐えるのではなく、環境を調整するセンソリーデザインは、ストレス社会から身を守る新たな社会インフラと言えるだろう。
五感に訴え心地よさを実現してくれるデザイン要素

いずれも感覚受容を整える要素だが「メンタルを整える空間が洗練され豪華な〝ラグジュアリー〟な空間として機能する可能性もあります」(三浦さん)
取材・文/久我吉史 編集/轡田緒早







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