今年のゴールデンウィーク(以下、GW)とシルバーウィークは、休みの取り方によっては最大9連休にすることもできそうだ。長期休暇となるため、旅行や趣味などの計画を立てたくなるが、そこには健康リスクがひそんでいることも忘れてはならない。
日本生活習慣病予防協会が今年1月、20~69歳の男女約2,500名を対象として、年末年始に「9連休以上だったグループ」と「9連休未満のグループ」の2つに分け、休暇の長さにより生活習慣にどのような違いが出るかの実態を調査。
9連休以上グループは通常連休グループに比べ、「生活リズムの乱れ」「暴飲暴食」「運動量の低下」など、健康リスクを高める生活習慣の項目が、いずれも10pt以上高い水準となった。医師によれば、いずれも糖尿病などの生活習慣病のリスクの高い習慣だという。
今年のGWに入る前に、予防法をあらかじめ知っておけば、後悔しなくて済みそうだ。そこで今回は、糖尿病専門医・内科医で、やのメディカルクリニック勝どき院長の矢野宏行氏に、長期に渡るGWの賢い過ごし方を聞いた。
GWは9連休の健康リスク
今年のGWは9連休を取れる人もいるだろう。楽しみではあるが、健康リスクを高める生活習慣に陥る恐れもありそうだ。
矢野氏に、どんなリスクがあるのか挙げてもらった。
【取材協力】
矢野 宏行氏
糖尿病専門医・内科医/やのメディカルクリニック勝どき 院長
セルフケアの重要性を、自身のYouTubeや書籍にて食事や運動による生活習慣を発信。HbA1cの把握や、日々の血糖値への関心が行動変容を起こすと言及している。
●夜更かしによる睡眠不足+食欲増し
「長期休暇には夜更かしをする機会が増える方も多いと思われますが、睡眠のリズムが乱れると食欲が増し、摂取カロリーの増加につながる恐れがあります。さらに、家族や友人と羽目を外して外食や間食をする機会が増えれば、自ずといつもより食べ過ぎたり、甘いものの誘惑が増えることも懸念されます。これらは食後血糖値の急上昇(血糖値スパイク)の原因となり、糖尿病や動脈硬化のリスクにつながります」
●運動不足による生活習慣病リスク上昇
「運動不足になれば筋肉での糖の利用が低下し、血糖値が下がりにくくなります」
「これらの要因が短期間でも積み重なることで、内臓脂肪が蓄えられやすくなり、生活習慣病のリスク上昇につながるため、注意が必要です」
外食するなら「焼肉・ステーキ」!食べ方のコツは?
GW中は、外食やデリバリーを利用することもあるだろう。どんなメニューを選べばいいだろうか。定番の焼肉・ステーキ、寿司、ラーメン、パスタのほか、ドーナツ専門店で軽食やおやつを楽しむこともあるかもしれない。
●焼肉・ステーキは比較的おすすめ
「血糖値の観点からは『焼肉・ステーキ』が比較的おすすめです。カロリーが高い印象がありますが、タンパク質が豊富で糖質が少なく、血糖値が上がりにくい点が利点です。ご飯(白米)は少なめにできれば、なお良しです」
●寿司はシャリを少なめに
「寿司は、シャリを少なめにしてもらうことで魚のタンパク質とのバランスが取れ、血糖上昇を抑えられます」
●ラーメン、パスタ、ドーナツは注意
「ラーメンやパスタ、そしてドーナツなどはあまりおすすめできません。ラーメンやパスタは精製された麺が中心で糖質が多くなりやすく、急激な血糖上昇を招きやすい食べ物です。ドーナツも同様に小麦と油(糖質と脂質)の組み合わせで血糖値が長時間高い状態になりやすいです」
●食べ方の工夫で血糖値の急上昇を抑制
「上記のような血糖値を上げやすい食事をするときには、一工夫してみてください。例えば、野菜サラダなどを先に食べる、いわゆるベジファーストにより血糖値の急上昇を抑制できます。プレーンのヨーグルトにも同様の効果が期待できます。ヨーグルトに含まれるタンパク質が血糖値の上昇を抑制することが報告されており、2024年にはアメリカのFDA(食品医薬品局)が2型糖尿病(※)の発症リスクを軽減できるという食品表示を認めています。
最近では、糖の吸収を穏やかにする働きが報告されている桑の葉茶や、血糖コントロールの指標である『HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)』の数値を対策するヨーグルトなどの機能性表示食品も出ていますので、試してみてください」
※最も多いタイプの糖尿病。遺伝的な体質によるインスリン分泌能の低下に、生活習慣の悪化に伴うインスリンの相対的不足に陥った場合に発症する。
「HbA1c」をチェックしておこう
連休前に、自分の体のことを知っておくことも必要だ。特に先に示された血糖値の重要指標「HbA1c」については、健康診断結果表のチェックや薬局などでのサービスを活用して数値をチェックしておくといいという。
「血糖コントロールをする上で有効な指標としてHbA1cを確認し、早めに現状を知っておくことが大切です。HbA1cは、糖尿病かどうか判断する基準であるとともに、治療のガイドラインとしても用いられている重要指標でもあります。HbA1cは、過去1~2か月の平均的な血糖値の推移を表すもので、血液中のヘモグロビンに、どのくらいブドウ糖が結合しているかを『%』で示します」
●HbA1cの値の目安
5.5%以下:基準範囲内
6.5%以上:糖尿病の可能性
「6.5%以上では糖尿病が強く疑われるため、病院から指摘が入りますが、6.5%未満5.6%以上の場合、自覚症状がないのにもかかわらず、すでに体内では血管障害が起きている可能性もあるため注意が必要です。現に、日本人間ドック・予防医療学会 では「要注意域」とされています。この領域の方は、血糖コントロールをしないと高血糖状態が続き、健康リスクを招く可能性があります」
今こそ、健康診断結果表を見返す良いタイミングだ。薬局やドラッグストアでも、指先の採血により簡単に数値がわかる「検体測定室」というサービスもあるため、利用してみよう。
9連休の間に実践したいおすすめの運動と頻度
9連休のうち、運動はどのくらいの頻度と強度で行えばいいのだろうか。
矢野氏によれば、9連休中は「毎日少し動く+数日に1回しっかり運動」が理想だという。
●食後の10分~15分ウォーキング
「毎日、食後10~15分のウォーキングを行うことで、食後血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。毎食でなくとも、1日の中で摂取量が多くなりやすい夕食などの後だけでも意識して取り入れることで、血糖値の上昇はある程度抑えられます」
●2日に1回の中程度負荷の20~30分(2~3km)ウォーキング
「最低でも2日に1度は外に出て20~30分(2~3km)のウォーキングを行いましょう。強度は少し息が上がるくらいの、中程度の負荷を意識してください」
●隙間時間にスロースクワット・エアプルダウン
「日々の隙間時間には、スロースクワットやエアプルダウンといった大きな筋肉(大腿筋、広背筋)の筋トレを取り入れましょう。血糖値を下げるインスリンの働き(インスリン感受性)がよくなり、筋肉での糖の消費が促進され、血糖コントロールの安定につながります」
9連休の計画を立てる際には、楽しむ観点と共に健康の観点も盛り込んでおくと、後悔のない有意義な休暇となるだろう。
調査出典:日本生活習慣病予防協会
取材・文/石原亜香利
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