3月28日(日本時間29日未明)のスコットランド戦を終え、森保一監督率いる日本代表はグラスゴーからロンドンへ移動。31日のイングランド戦までの3日間を英国の首都で活動した。
ヒースロー空港からロンドン郊外へ向かう最適移動方法とは?
彼らは移動初日の夕方だけイングランド・リーグ2(3部相当)のバーネットFCの本拠地であるハイブ・スタジアムでトレーニングを行い、試合前日はウェンブリーで前日調整を実施。本番に挑むというスケジュールだった。
それに合わせて筆者も29日昼のフライトでロンドン・ヒースロ空港へ移動。そこから宿泊先のあるウェンブリー・パーク駅に向かい、荷物を置いてから、ハイブ・スタジアムに行くというスケジュールだった。
ヒースロー空港からウェンブリーに行く場合、一番簡単なのが、ピカデリーラインとジュビリーラインを乗り継ぐルート。グリーンパーク駅で乗り換えをすることになるが、以前は「ロンドンのメトロは階段ばかりで、大荷物を持っているとかなり厳しい」という印象が強かった。しかしながら、近年はグリーンパーク駅やボンド・ストリート駅などの要所はエレベーターが設置され、バリアフリー化が進んでいるということで、安心してその駅を使うことができた。
所要時間は1時間15分ほどかかるが、料金は5.9ポンド(約1200円)。ヒースロー空港~パディントン駅を結ぶエリザベスラインを使えば時間的にかなり短縮できるが、料金は2~2・5倍。町の中心部に滞在するならそれもいいかもしれないが、ウェンブリーに行くならメトロの乗り継ぎがベストな方法だと筆者は判断した。
そこからさらにジュビリーラインで2つ先のクイーンズベリーという駅まで行き、練習場まで15分ほど歩いて取材をしたが、アクセス的にはそこまで負担はなかった。
ウェンブリーのシンボル・アーチの全景から遠くから見えない今
その後、4月1日にロンドンを離れるまではずっとウェンブリー周辺に滞在していたが、町の変貌ぶりには驚かされた。同スタジアムは旧スタジアムが2003年に解体され、2007年3月に現在の新スタジアムが完成。筆者は2008年に一度、ここを見に行ったことがあるのだが、ウェンブリー・パーク駅周辺は特に何もなく、スタジアム上部のアーチがしっかりと見えていた。
だが、2026年現在では駅からスタジアムまでの道に数多くのビルやマンションが立ち並び、郊外の一大都市という様相に変貌していたのだ。それとともに、シンボルのアーチも遠くからは上の方しか見えなくなってしまった。「コロナ以降に高級マンションが数多く建った影響で、アーチの全体像を見ることができなくなった」と現地記者が話していたが、これも時代の流れというべきなのかもしれない。
筆者が泊まったホテルの周囲も建設ラッシュが進んでいた。朝8時半から工事音が聞こえてくるため、時差生活をしている身にはかなり堪えるものがあったが、ロンドンも東京と同じで、都心部に新たな街を作ることができないため、1時間圏内の郊外が開発されるのだろう。
ウェンブリーの町には格安スーパーからマックまで何でもある!
ただ、その分、滞在は便利だった。スコットランドでもお世話になった格安スーパー「LiDL(リードル)」が近くにあって、ラーメンに入れるネギやハムなどを安く買えたし、ちょっとした時につまむチップスやチーズなども買い置きしておくことができた。
ロンドン入り初日だけはマルチクッカーでの料理をする時間がなかったため、その隣にあるマクドナルドに行ったが、ハッピーセットは約5ポンド(1050円)。ドイツよりは少し割高ではあったが、手が届く範囲だった。
ビッグマックセットの約10ポンド(2100円)はさすがに躊躇するレベルではあったが、「日本並みの生活」という目標は十分に達成できた。結局、今回の渡欧では、ファーストフードとカフェ以外、外食は一度もせずに終わった。それとともに大金を使うこともなく、かなりのコストセーブが実現した。
「一度くらいはフィッシュ&チップスを食べてみたかった」という思いもあるが、実際にお店に行った記者仲間に聞くと、ロンドンではランチでも5000円ほどしたという。グラスゴーは少し物価が安いため、3000~4000円程度だったかもしれないが、いずれにしても外食を減らすことが格安欧州旅行の最大のポイントなのは間違いないだろう。
ピッチの見やすさや設備面は文句なし。ただ、メディア関連施設は縮小傾向
今回、聖地・ウェンブリーの中に入れたことは非常に感慨深かった。18年前は外観を見るだけにとどまっていたので、中に入ってピッチを間近で見た時の感動は忘れられない。9万人収容という規模も日本国内にはないスケールで、スタンドの見やすさや臨場感、ピッチ環境なども抜群だった。
記者席には1席ごとにモニターが設置されていて、試合映像をすぐさまチェックすることができる。昨今は記者席のインターネットがつながらず、DAZNやUNEXTの配信を見ることができず、得点シーンの詳細などがチェックできずに困るというケースが日本国内でも海外でも少なくないが、ウェンブリーはそういった心配がない。正確な取材をするうえで本当に助かる施設だと感じた。
ただ、1つ気になったのは、記者会見場や選手インタビューを行うミックスゾーンが想像以上に狭かったこと。9万人規模の競技場であれば、そういったスペースも余裕ある作りになっているはずだが、ウェンブリーは違っていた。
「2007年に新スタジアムがオープンした時はメディア関係諸室が倍近い広さがあったものの、その後のメディアの衰退によってスペースが縮小された」と現地記者が話していたが、確かにそういう傾向には抗えないのかもしれない。2002年日韓W杯の頃は日刊紙、夕刊紙、スポーツ紙などのサッカー記者が大挙して日本を訪れていたが、今は人数も少なくなり、名物記者も減っている様子。イングランド・プレミアリーグも取材規則が厳しくなり、中に入れるメディアも減っている。そういった環境の変化も影響しているのだろう。
日本の歴史的勝利をトルシエ、ザック、岡崎慎司らも見守った
そして迎えたイングランド戦当日。チケット完売で日本にとっては完全アウェーだったが、前半23分に三笘薫(ブライトン)が値千金の先制弾をゲット。その1点を最後まで守り切り、日本が聖地で歴史的勝利を挙げたのは周知の通りである。
イングランドはケガ人続出で、エースFWハリー・ケイン(バイエルン)が欠場したこともあり、トーマス・トゥヘル監督は不慣れなゼロトップ的な布陣にトライ。それが機能しなかったのも追い風になり、日本は相手のスキを突くことができたのだ。イングランドでプレーする三笘、鎌田大地(クリスタルパレス)が普段通りの落ち着いたパフォーマンスを披露する傍らで、佐野海舟(マインツ)、中村敬斗(スタッド・ランス)の2022年カタールW杯未経験組が著しい成長を示したことも大きな収穫だ。
試合後のミックスゾーンには、2002年W杯日本代表監督のフィリップ・トルシエ監督、2014年ブラジルW杯日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ監督、W杯3大会出場のレジェンド・岡崎慎司(バサラ・マインツ監督)らが集結。森保監督や選手たちを労っていた。そういうやり取りが見られたのも、ウェンブリーのいい思い出。同じような光景を2026年W杯でも見られることを願いたいものである。
取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。
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