【コウチワタルのMONO ZAKKA 探訪】
長距離のフライトや新幹線での移動中の首の痛みに悩まされたことはないだろうか。せっかくの旅行や重要な出張、機内でしっかり体力を回復させたいと願うのは現代のビジネスパーソンの切実な課題である。しかし、従来のネックピローには常に二律背反の壁が立ちはだかっていた。クッション型は寝心地こそ良いが、バッグの半分を占拠するほどかさばる。一方、携帯性に優れたエアー型は、機内で顔を真っ赤にして息を吹き込む恥ずかしさや、不衛生さが気になってしまう。
そんなネックピロー難民たちの終着駅となるかもしれないプロダクトが旅寝工房から発売されている『minimalU+(ミニマルユープラス)』である。
今回、筆者が実際にヨーロッパへの海外出張へ携行し、その実力を徹底的に検証したので紹介していこう。
驚異の“卵3つ分”—ミニマリズムを極めたスペック
まず特筆すべきは、その圧倒的なコンパクトさだ。収納時のサイズは約12 × 8.5 × 4 cmと、完全に手のひらサイズ。
重量にいたっては約150g(ケース込みで約170g)と、卵3つ分よりも軽い。今回のヨーロッパ出張では、機内持ち込み用のタイトなビジネスバッグにカラビナで外付けして携行したが、その存在を忘れるほどに邪魔にならない。空港のラウンジや搭乗口での移動中も、ブラブラと揺れるシリコンケースが他の荷物に干渉することなく、スマートな旅のスタイルを崩さなかったのは大きな収穫だった。
“口をつけない”という革命—ケースがポンプに変わる絶妙な仕掛け
エアー式ネックピロー最大の弱点は、肺活量を駆使して息を吹き込むプロセスにある。しかし『minimalU+』は、この常識を新機構で鮮やかに解決した。なんと、収納ケースそのものが空気ポンプになるのだ。使い方は驚くほどシンプルだ。ネックピロー本体のバルブに中身が空となったケースの突起を接続し、シリコンケースを「シュコシュコ」と手で押すだけ。
わずか20~30秒(約40~60プッシュ)で、あっという間に膨らみが完了する。
実際、静まり返った機内でこの作業を行ったが、そこまで周囲の目を気にすることなく、衛生的に準備を整えられた点は非常に評価が高い。膨らませる際の手順もごくシンプルで、説明書を読み込む必要すらなく直感的に操作できる。反対に収納する際は、空気を抜くようのバルブだけを開けて空気を押し出しながら丁寧に畳んでいく。
少しでも空気が残って嵩が増すとケースに収納できないことがあるので、この点だけは本製品の注意点というか扱いにコツがいる点だと感じた。
欧州フライトで判明した「空気量」の黄金比
さて、肝心の使い心地である。ここにはエアー式ならではの活用テクニックが必要だと感じた。筆者が10時間を超える欧州便で試行錯誤した結果、導き出したベストな設定は「完全に膨らませない」ことだ。100%までパンパンに空気を入れてしまうと、エアーの反発力が強まりすぎて、座席の背もたれから首が前方に押し出されてしまう。これではかえって首の角度が不自然になり、窮屈さを感じてしまうのだ。むしろ、空気量を7~8割程度に留めるのが自分にとってはベストであった。程よく膨らませることで、左右に頭がカクンと落ちるのを防ぐ「支え」としての機能を優先させる。こうすることで、エアーピロー特有の硬さを排除し、絶妙なフィット感を得ることができるのだ。この“ちょうどいい膨らませ具合“には個人差があるだろう。自分の首の太さや座席の角度に合わせて、数秒で微調整できるのはエアー式の特権と言える。
思わず唸った「質感」と「衛生面」のこだわり
肌に触れる素材の選択も秀逸だ。エアータイプにありがちなビニール特有のベタつきは一切ない。本体表面には滑らかなコットン調の生地が採用されており、長時間の使用でも肌へのチクチク感やかゆみを感じることはなかった。
この滑らかさは、ビジネスでの疲れを癒すひとときにおいて、数値化できない安心感を与えてくれる。また、カバーを外す手間なく丸洗い(手洗い)が可能である点も見逃せない。防汚性のある素材は手入れが楽で、帰国後にサッと洗うだけで清潔な状態を維持できるのは、めんどくさがりな私のような人間には最高の仕様だ。
今後の期待:さらなる「プライベート空間」の追求
現状でも完成度の極めて高い『minimalU+』だが、一人のユーザーとして今後の開発に期待したい点がある。それはアイマスク代わりのフード付きバージョンの展開だ。競合他社の製品にはフード付きで視線を遮れるものもあるが、あの『minimalU+』のポンプ機構とコンパクトさを維持したままフードが実装されれば、機内は文字通り自分だけの個室へと進化するだろう。明るい機内でも深い眠りに没入したいというニーズは、特にエグゼクティブ層に多いはずだ。
『minimalU+』を購入するには
『minimalU+』はAmazon等のオンラインショップから税込2,980円前後で購入可能だ。一見すると、100円ショップでもネックピローが買える時代において、この価格は一見高いと感じるかもしれない。しかし、実際にこれを使って欧州出張を終えた今、断言できる。現地に着いた瞬間からフルスロットルで動ける体調を買えると考えれば、これはマッサージ1回分にも満たない極めて賢い投資である。荷物を極限まで減らしたいが、快適さも譲れない。そんなわがままなビジネスパーソンやミニマリストにとって、この手のひらサイズの救世主は、旅の必需品リストの最上位に君臨することになるだろう。
■関連情報
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DLMBJ1HX
文/Wataru KOUCHI
趣味は合唱、読書、語学、旅行、美術館巡り、雑貨屋探索etc…。日本、海外の雑貨やガジェット、デザインコンセプトの中から思わず「それ、いただき!」と言ってしまうモノ達を紹介!







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