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銀座でいちばん自由な場所だった!〝中の人〟にこっそり聞いた「Ginza Sony Park」の厳選推しスポット

2026.04.15

通り過ぎていたのは、銀座でいちばん自由な場所だった

この世の贅沢なものは全て揃っているように見える銀座だが、「疲れた時にちょっと座れる場所」だけがない。そのせいでずっと、「銀座はお金を落とさない人間には冷たい街だ」というイメージを、うっすら抱いていた。

ところがとある取材でたまたま、数寄屋橋交差点にある「Ginza Sony Park」を訪れた時に、1階がベンチ付きのフリースペースであることに気が付いた。さらに驚いたことには1階にとどまらず、建物各階にやたらと座れるフリースペースが多い。銀座でタダで座れる場所がこんなにあるなんて、ちょっとした事件ではなかろうか。

そもそも「Ginza Sony Park」数寄屋橋交差点前という銀座の一等地にありながら、地下3階のレストラン以外はこれといったテナントも入っていない。最近は都心でもテナントが入らない幽霊ビルが増えているが、どうもそういうことでもなさそうだ。不思議に思って同施設広報担当のA氏に確認したところ、同施設は最初から「建物の約40%を余白=来場者が思い思いのままに自由に過ごせる空間」として設計されているという。このロケーションであれば収益化できる方法はいくらでもあるだろうに、なぜここまでおおらかに太っ腹に、フリースペースとして開放しているのか。

銀座のランドマーク的存在だったソニービル閉館後に建設された「Ginza Sony Park」。ソニービルのコンセプトを継承し、「街に開かれた施設」となるようにデザインされた 写真提供:Ginza Sony Park
数寄屋橋交差点に面した1階から続く階段(上の写真左)をつなぐ通路が、誰でも気軽に腰掛けられるフリースペースになっている(同右)。居心地がいいだけでなくフォトジェニックなスペースなので、写真を撮り合う人の姿も 撮影/桑原恵美子
あまりにオシャレで居心地がよさげなので、最初は自由に使っていいのかどうかとまどった場所も 撮影/桑原恵美子

フリースペース=都市の公共空間として使える“余白”だった!

A氏によると「Ginza Sony Park」は、『変わり続ける実験的な公園』というコンセプトのもと、銀座の街に開かれた公共性の高い空間をつくることを目指して建設されたという。

「そのため商業テナントを入れず、展示・イベント・休憩など都市の公共空間として使える余白をあえて作っています。建物というより“自分の庭”のように自由に使用するイメージに近い街の中の通過点・滞留空間であり、都市の回遊性を高める役割を持たせるように設計されているのです」(A氏)

建物3階・4階では、訪れるたびに毎回違ったアーティストなどの企画展が開催されている。A氏によると、海外から見学に訪れた人は一様に、「一企業がこうした形で施設を企画展に開放しているのは珍しい」と驚くそうだ。

写真は3月29日まで開催されていた現代美術家・SHUN SUDO氏の個展「ART IN THE PARK : SHUN SUDO “HANA-MI”」 写真提供:Ginza Sony Park

A氏の「Ginza Sony Park」愛あふれる熱い解説を聞くまで、ここがそんなにも深い企みに満ちた実験的な建物だとはまったく気づかなかった…。案内していただき隅から隅まで歩き回ってみると、確かにA氏の言う通り、ずっといたくなる魅力的なスポット、見どころが多数ある。オープンしたのが2025年の1月だが、いつも「ちょっと座れる場所」を探し求めながら、気づかずこの場所を通り過ぎていたことが本当に悔やまれる。

でも私が知らなかったように、多くの人が通るこの場所に、これほど太っ腹で自由な施設があることに、多くの人は気づいていないのでは。それはあまりにもったいない…。そこで、A氏を始め「Ginza Sony Park」を知り尽くした“中の人”たちに、推しスポットを教えてもらう企画を考えた。以下は、「推しスポットは100か所以上ある」と豪語するA氏らに、無理を言って5箇所に絞ってもらった厳選推しスポット。地下3階のカジュアルダイニング以外はすべて無料で使える。

推しスポット(1) 交差点を“眺める贅沢席…【1階のベンチ】

A氏らがまっさきに推したのが、数寄屋橋交差点とゆるやかなスロープでつながる1階の開放的な吹き抜け空間。自由に腰掛けることができるベンチがあり、街歩きに疲れた時にちょっと休憩するのに最適だ。建物の外と中の境界があいまいなので、銀座の街の雰囲気を肌で感じながら、ゆっくり過ごすことができる。

A氏「街行く人々をのんびり眺めるもよし、友達との待ち合わせにも最適なスポットです」

建物の外と中の境界があいまいなので、これからの季節は銀座に吹き渡る風を感じながらのんびり休憩できる 写真提供:Ginza Sony Park

推しスポット(2) 銀座を額縁に収める場所…【2階の大階段】

「Ginza Sony Park」は、銀座では珍しい打ち放しコンクリート建築で、ステンレス製のグリッド(格子)状のフレームでおおわれている。中に入ってその隙間からのぞく銀座の景色は、まるで額縁に収められた一幅の絵のよう。これも中に入ってみないと味わえない愉しみだ。

A氏「特に、1階の大階段を上がったところで建物のすき間から見える銀座の眺めが、格別なんです」

(写真左)時間帯と季節により、さまざまに表情を変える銀座の街を、グリッド越しにウォッチできる (同右)2Fから見下ろすソニー通りと、「銀座メゾンエルメス」のカラフルなガラスブロックのやわらかい光 写真提供:2点ともGinza Sony Park

推しスポット(3) ひとりになれる、いちばん静かな銀座…【屋上(5階)】

1階と2階をよく利用する人でも、この5階屋上までもがフリースペースになっていることを知っている人は少ないのでは。まさに、超隠れ家スポットで、ひとりっきりで静かに過ごしたい時にぴったり。銀座の喧騒がほどよい近さで聞こえるのも魅力だ。ひとりでいるのに街に包まれているような安心感がある。また屋上の床面が地上から20mの高さと周囲の建物の半分以下なので、慣れ親しんだ銀座の風景が、新鮮な角度から眺められるのも楽しい。

A氏「夜の銀座の借景も素敵。陽が暮れてから屋上に上って、銀座の夜景写真を撮るのも楽しいですよ」

(写真左)見慣れた不二家のロゴマークを、この近さ、この角度で眺められるのはここだけ (同右)見たことのない不思議な銀座の夜景が見られる映え撮影スポットでもある 写真提供:2点ともGinza Sony Park

推しスポット(4) 歴史を感じさせる青タイルがエモい、秘密の隠れ家…【地下2階】

銀座駅の地下鉄コンコースに接続する地下2階には、ソニービル解体工事途中で発見された、50年以上前の青いタイルが壁面に使用されている。地下からも地上からもアクセスが良く、静かで、ゆっくり本も読める穴場なスポットだ。

A氏「地階の青タイル前ベンチは、お弁当を食べたり友達とおしゃべりしたり、思い思いに過ごす方たちをよく見かけます」

(写真左)ソニービルの歴史を感じられる青いレンガ壁の通路にも、ゆったりした長さのベンチが(右)B1の階段から見上げる銀座の外堀通り 写真提供:2点ともGinza Sony Park

推しスポット(5) 気分に寄り添う食堂…【地下3階の [ Nibun no Ichi ]

地下3階にあるカジュアルダイニング[Nibun no Ichi]はその名のとおり、通常の半分のサイズの洋食が食べられるお店だ。1/4サイズで一皿に2種盛られているので、ちょっと小腹が空いた時も気軽に食べられるし、がっつり食べたい時も自由に量を調節できるのがありがたい。

A氏「11時から21時までの通し営業で、どの時間帯もドリンクやワイン1杯から利用可能ですし、広々としたロングテーブルなので仕事や打ち合わせでご利用される方もいます。とにかく使い勝手がよく、どんな気分の時も受け止めてくれるお店です」

(写真左)「クラシック」「ハーブ」「スパイス」の3種のクリームソーダも名物 (同右)一皿が1/2サイズの本格洋食プレートは6種類ほどあり、1,650円~と超リーズナブル 写真提供:2点ともGinza Sony Park

今回、教えてもらったスポットに共通しているのは、ひとりでいるのに街とつながっている、街に受け入れられている…そんな不思議な安心感をくれる場所であること。「銀座はお金を使う場所」という思い込みを、静かに裏切ってくれる場所でもあった。この場所を知ったことで、これからの銀座での過ごし方がもっと自由になる予感がする。もっと多くの人に、この場所を知って、自由に使いこなしてほしいと思った。

取材協力/ Ginza Sony Park[Nibun no Iichi]

取材・文/桑原恵美子

Author
フリーライター。日経トレンディネット、日経クロストレンドで長く大手チェー ン飲食店や新オープンの商業施設、食品メーカーなどの取材に携わる。ぐるなび が運営するレストランガイド媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材し、 自身の推し飲食店を紹介する「満たされメニュー」をぐるなびPROで連載中。

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