2026年2月28日に開始されたアメリカとイスラエルによる対イラン共同作戦の対抗措置として、イランはホルムズ海峡の封鎖を実施。世界の原油供給に現在も大きな影響を与えている。というのも平時であれば、世界の原油供給量の約20%が同海峡を通過すると言われているからだ。
その後、2月7日にアメリカとイランは2週間の停戦に合意したが、イスラエルのレバノン攻撃により、事態の不透明感は強まっている。
というわけで、ホルムズ海峡封鎖による原油価格の高騰と市場動向について、三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から検証リポートが届いたので概要をお伝えする。
米・イランの停戦合意後もイスラエルはレバノンを攻撃、イランメディアはホルムズ海峡封鎖を報じる
米国とイランが即時停戦に合意したことを受け、4月8日の世界の株式市場では、中東情勢が改善するとの期待から、主要株価指数は軒並み上昇した。また、2週間の停戦期間中にホルムズ海峡が開放されれば、通航量が正常化に向かうとの見方から、WTI原油先物価格は前日7日の取引時間中につけた1バレル=117ドル63セントから、日本時間8日朝方の時間外取引で91ドル05セントへ急落している。
ただ、イスラエルが停戦合意後もレバノンへの攻撃を続けており、レバノンは停戦合意に含まれていないとする米国・イスラエルと、レバノンを含む地域全体での停戦を求めるイランとの間で、早々に食い違いが生じているようだ。
こうしたなか、イラン国営のプレスTVは4月8日、ホルムズ海峡が「完全に封鎖された」と報じており、イスラエルによるレバノンへの攻撃に対し、イランが報復措置を講じたとみられる。
■ホルムズ海峡で通航量回復の動きはみられず、ただ原油先物期先価格は比較的抑制されている
ホルムズ海峡の通航量は、米国とイスラエルがイランへの攻撃実施を発表した2月28日以前は、1日で100隻を超える日もみられたが、翌3月1日から通航量は激減(図表1)。

日本経済新聞によると、4月8日の午後8時(世界標準時)時点でも3隻だけとなっている。改めてWTI原油先物価格に目を向けると、日本時間9日朝方の時間外取引では、97ドル88セントまで値を戻している。
前述のイランメディアが報じた通り、ホルムズ海峡の封鎖が続き、通航量が回復しなかった場合、原油価格の高止まりや、さらなる上昇といったことも予想され、日本株へのマイナスの影響も再び強まる恐れがある。
ただ、WTI原油先物の限月(げんげつ、先物取引の期限が満了する月)をみると、直近5月限(ごがつぎり)の価格は高水準にあるものの、期先の限月価格の上昇は、比較的抑制されていることがわかる(図表2)。

■原油価格と日経平均は長期的にほとんど相関なし、相場をみる上ではやはり長期の視点が重要
WTI原油先物市場が紛争の長期化を本格的に織り込み始めると、期先の限月価格も大幅な上昇が予想されるものの、今のところ、そこまで織り込みは進んでいない模様だ。
原油価格の動向は、この先の日本株を見通す上で重要な要素となるが、少し長期的な視点で両者の関係を考えるため、WTI原油先物価格、ドバイ原油先物価格、日経平均について、2020年1月3日から2026年4月3日までの週次データを使って相関関係を検証してみたい。
なお、「みせかけの相関」を回避するため、各データは対数値に100を掛けて1階差変数とし、定常過程に従うことを確認している。
その結果、WTIと日経平均は0.15、ドバイと日経平均は0.12で、長期的にほとんど相関はないことが示された。日経平均は短期的に、イラン情勢を巡る報道や原油価格の動きに影響を受けやすいと思われるが、当然ながら、原油価格だけで株価が形成される訳ではなく、やはり長期的な視点が重要と考える。
構成/清水眞希







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