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完走するために投じた総額は18万円!4万人近い人々を動かすランニング市場の巨大インパクト

2026.04.12

「走るだけなら、シューズだけあればいい」。

この言葉どおりランニングは手軽に、気軽に始めることができるスポーツ。しかし、実際に走り始めると「シューズだけ」というわけにもいかない。新しいウェアも着てみたいし、良いシューズも履いてみたい。さらにマラソン大会に出場することになれば、大会に相応しい「カタチ」も整えたくなるのだ。

今回、東京マラソン2026の完走のため、準備期間の3ヶ月の間にエントリー費用も含めて必要とした金額は実に18万円。「趣味に使いすぎだろ」という声が聞こえてきそうだが、完走のため、健康のためを大義名分にかなり課金してしまった・・・。

ここではシューズだけではなく、楽しみながら走り続けられるために使った金額を公開。これからランニングを始める人が、ムダな怪我をせず「走る楽しさ」にたどり着くための課金ガイド、さらにはこの金額から東京マラソンという巨大大会の経済効果についても触れてみよう。

「完走」にかかった課金の内訳

さて、先ほども書いたとおり「走るだけなら、シューズさえあればいい」は、間違いではないがもはや幻想と言ってもいいだろう。快適に走ることを楽しむためには、着るだけで気分が上がるウェアやシューズはもちろん、練習後のリカバリーまで含めた数々のアイテムなどが必要(というか欲しくなる)。今回筆者が完走を手にするために、4ヶ月間の準備期間で投じた費用の内訳を下に公開してみる。

■エントリー代:1万9800円

2010年くらいは1万円弱だったエントリー代が今では、今はほぼ倍の2万円弱に。ただし都心の主要道路を封鎖し、3万人以上の安全を守り、世界最高水準の運営を実現するための「利用料」と考えれば納得の価格だといえる。

■ ギア・ウェア費用:合計約 14万2500円

本番用シューズとして、思い切って購入したアシックス メタスピードedge TOKYOは2万9700円。東京マラソンは、抽選の倍率が約10倍ともいわれるプラチナチケットということもあり、せっかく出るならとハイスペックなものを準備した。また練習用として、アシックス S4ヨギリ(2万2000円)も購入。さらに軽量で快適性の高い本番用のウェア&パンツ(3万7800円)、寒い冬場でも気持ちよくトレーニングができる練習用ジャケット&パンツ(約2万6000円) も必要なもの。また競技中のエネルギー切れを防ぐエナジージェル(合計約3000円)も必須のアイテム。

さらに大会中の様子を撮影するカメラ(2万4000円)も購入。ハンズフリーで記録できるため、ランニングの動作を妨げない。

■ メンテナンス費用:合計 約1万9000円

中高年ランナーにとって最大のリスクはケガだ。それを防ぐために「定期メンテナンス費」は必須。月2で整体に通ったほか、 自宅でのセルフケア用としてマッサージボールも購入。リカバリーの質を上げることが、次回の練習の質を上げてくれた。

整体(1回2,500円 × 6回 = 1万5000円)
マッサージボール(4000円)

これらすべてを合計すると、総額18万円ほど。近所をぶらぶらと走るだけなら「シューズだけ」でも問題ないが、せっかくの機会ということでシューズやカメラなどはちょっと良いものを購入してしまったが、それが予算を増やす結果に(ちなみにスマートウォッチや練習用のウエアなどのすでに手持ちのものはこの金額には含まれていない)。予想以上の出費にはなったのだが、心肺機能も鍛えられたし、内臓脂肪も少なくなったし、何より完走証を手に入れることもできた。このリターンを考えれば、自分自身としても満足しているし、だいぶ効率の良い「自己投資」と間違いなく言い切れる。

“3.9万人”が動かす「東京マラソン経済圏」

▲東京マラソン EXPOの様子。大会の3日前から開催され、ランニングに関するものが展示・販売されている。

筆者一人の「18万円」という数字は、まさに氷山の一角というか、3.9万分の1に過ぎない。東京マラソンには、同様の熱量と課金欲を持ったランナーが集結している。彼らが動かす市場規模を試算してみよう。

■国内ランナーの「移動・宿泊」経済インパクト

国内の地域別参加者データに基づき、平均的な交通費・宿泊費を推計すると驚くべき数字が見えてくる。

● 関東(77.6% / 約3万264人) :旅費想定 5000円 ●合計/約1億5132万円
● 北海道・東北(4.2% / 約1638人) :旅費想定 8万円  ●合計/約1億3104万円
● 甲信越(8.0% / 約3120人) :旅費想定 3万円  ●合計/約9360万円
● 近畿・中国・四国(7.5% / 約2925人):旅費想定 6万円 ●合計/約1億7550万円
● 九州・沖縄(2.7% / 約1053人) :旅費想定 8万円  ●合計/約8424万円

かなりざっくりとしたところではあるが、国内ランナーの「移動」だけで、約6億3570万円の経済効果が生まれている計算だ。これに加えて、筆者が今回投じた18万円(多めではあるが)で参加者3万9000人分を試算してみると、準備期間を含めたランナー個人の支出だけで約70億2000万円。先ほどの移動・宿泊費の約6.3億円と合わせれば、国内ランナーによる直接的な消費だけで76億円規模の市場が、東京マラソンという一点で動いていることになる。

■インバウンドランナーという巨大なマーケット

▲スタート前の様子。まるで海外レースかと思えるほど、外国人ランナーの姿が多い。

国内のランナーが出走している一方、現在の東京マラソンの主役は海外勢でもある。全体の約30%、1万7000人超のインバウンドランナーが参加。3割が海外勢というが、実際に走ってみた感覚でいうと、まるで海外の大会を走っているような印象があった。その大きな理由としては、東京マラソンが世界で最も権威ある7つの大会「アボット・ワールドマラソンメジャーズ(以下AWMM)」の一角となっているから。このAWMMはボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク、東京、シドニーで構成され、東京は2013年にアジアで初めて加盟。この7大会を走ることは世界のランニングコミュニティにおいて最高のステータスシンボルになっている。海外から1万人以上のランナーが押し寄せるのも、このグローバルなブランド力があるからという部分もある。

●アメリカ(4616名)
●台湾(1433名)
●イギリス(1187名)
●香港チャイナ(968名)
●中国(735名)
●韓国(680名)
●オーストラリア(670名)
●タイ(528名)
※上位8カ国のみ

中華圏の参加者が多いかと思いきや、もっとも多いのがアメリカ勢。ただほとんどの参加者は一人で参加するわけではなく、家族を伴い、最低でも3~5日間は滞在する。欧米勢であれば、航空券、宿泊、飲食、観光を含め1人あたり50万円~100万円を日本で消費することも珍しくないだろう。仮に海外ランナーの平均単価を40万円と見積もると・・・

外国人ランナー約1万7000人 × 滞在費約40万円 = 約68億円

彼らが落とす金額は約68億円にも達する。さらにシューズやウェアの購入、食事、観光も含めれば、この数日間で東京マラソンというイベントが創出する経済圏は、家族分も含めると100億円規模に膨れ上がっているのだ。この期間中、大会のブースはもちろん、シューズブランドなどの店舗売り上げも通常よりも上昇しているという話も聞いているので、その経済効果は間違いない。

なぜ人々はマラソンを走るのか?

なぜ、これほどの多額のお金が「走る」だけの行為に投じられるのか。ランニング歴10年以上の筆者が周りのランナーの状況を見てきての様子を見て、さらに自分自身を振り返ってみて感じた理由は大きく以下の4つが考えられる。

(1)努力が結果に結びつく、正直さ

仕事の面においても普段の生活においても、不確実性が高まる中で唯一コントロール可能なのが「自分の身体」。ランニングは、練習量(インプット)に対してタイム(アウトプット)が本当に正直に返ってくる。「走った距離は嘘をつかない」というのがランニングというスポーツだ。評価が曖昧な環境で生きる現代人にとって、分かりやすくもありがたいものとなっている。

(2) 将来の不調を減らす、価値ある18万円の課金

30代を過ぎれば、身体の衰えは明らか。何もしなければ加速度的に衰えて身体に不調が訪れてくる人が多い。その「損失」を考えれば、18万円を投じることはもちろん、週に数時間のトレーニング時間を確保することは、将来的な損失を少なからず減らせる課金先としては惜しくはないだろう。

(3)単純に楽しい

実はここがもっとも大きな理由になると思われる。普段の練習でも楽しいものではあるが、自分のレベルアップの具合が日々確認できるため楽しいと感じるし、大会などに出場した時はきついけど楽しいと感じることもある(この感覚にならない人もいるとは思う)。さらに何よりほかでは味わうことができない、圧倒的なスケール感がある。

▲道路いっぱいに広がったランナーとともに新宿都庁前をスタート!

新宿のビル群を背に、大歓声の中でスタートを切る。普段は渋滞する大通りを、100万人近い観衆の応援を浴びながら「主役」として駆け抜ける。浅草の雷門を仰ぎ、銀座のメインストリートを堂々と進む。東京の名所を車道のど真ん中から眺める体験は、大人が42.195kmという長い距離をかけて楽しむ、最高に贅沢な「非日常のお祭り」。

▲浅草、門前中町など江戸の風情が感じられる街を走り抜けるのも東京マラソンの魅力。

さらに、完走後に待っているのは、共に過酷な道のりを走ってきたランナーたちと共有できる達成感。ギアやトレーニングに投じた18万円も、すべてはこの瞬間のためにあったのだと確信する。どんなにロジカルに投資理由を並べ立てても、最終的に感じるのは「理屈抜きに楽しい」という本能的な感情だ。この多幸感を知ってしまえば18万円という金額は、むしろ安すぎる参加費にさえ思えてくる。すでに来年も出場したいと思っているし。

フルマラソンは「最高の課金対象」

▲東京駅前の行幸通りがフィニッシュ地点。これまでのトレーニングが報われる瞬間。

今回の挑戦で課金した約18万円は、私の銀行残高こそ減らしたが自分の価値を間違いなく向上させた。

42kmを走り抜いた後の澄み渡った思考、そして目標達成したという事実。もしあなたが、日々の仕事に停滞感を感じているなら「1足の厚底シューズ」と「東京マラソン」への課金をスケジュールに組み込んでみることを、強くおすすめしたい。そのリターンは、フィニッシュラインを越えた瞬間に、最高の形であなたに還元されるはずだ。

取材・撮影/今 雄飛(こんゆうひ):ミラソル デポルテ代表。スポーツブランドのPR業務を行うかたわら、自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。

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