米マクドナルドの期間限定セットで「うま味シーズニングのポテト」が登場した。
マクドナルドのフライドポテトといえば塩味が定番。しかし、アメリカではその味の幅が少しずつ広がりつつある。
日本でも塩味が主流だが、味付きパウダーを振って楽しむ期間限定の「シャカシャカポテト」がある。マクドナルド発祥の地・アメリカでも基本は塩味。そんな中、今回登場したのが“うま味”を前面に押し出したポテトだ。
アメリカに登場、塩味を超えた“うま味ポテト”
2026年3月末から、米マクドナルドは動画配信大手ネットフリックスのK-POPアニメ『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』との期間限定コラボメニューを展開。
主人公のガールズグループ「ハントリックス」仕様のセットには、アメリカでは珍しい「うま味シーズニングのポテト」が含まれる。
商品名は『Ramyeon McShaker Fries(ラミョン・マックシェーカー・フライ)』。韓国ラーメン「ラミョン」をイメージした、日本でおなじみのシャカシャカポテトスタイルだ。米マクドナルドは「醤油、ガーリック、ごま、スパイスを効かせた“うま味”とピリ辛が特徴」と説明している。

味の驚きと日本人に馴染む親しみやすさ
セット内容はポテトのほか、チキンナゲット10ピース、ソフトドリンク、アニメの人気キャラクターのコレクタブルカード2枚。価格は地域やサイズによって異なる。
実際に首都ワシントンD.C.郊外の店舗で試してみた。
セット価格は、14.64ドル(約2340円)。ビッグマック単品が7.98ドル(約1275円)であることを踏まえると、日本の感覚ではやや割高に感じるが、近年のアメリカではファストフード全体の価格も上昇しており、特別高くはない。
塩味のポテトと、うま味シーズニングを袋の中に入れて、シャカシャカして味付けした。



実際に食べてみると、味は塩味のポテトとは明確に異なり、ガーリックと醤油の風味が前面に出ている。いわゆる“スナック菓子的なうま味”が強い。どこかベビースターラーメンを思わせる親しみやすさもある。日本人にとってはむしろ馴染みやすい味だ。シーズニングに使われているごまは皮なしで、風味が強くなく、ポテトの味を引き立てている。一方で、全体の味付けはやや濃く、アメリカの消費者に合わせた調整も感じられる。
「umami」がアメリカで広がる背景
注目すべきは、この商品が単なる変わり種ではなく、アメリカの食文化の変化を映している点だ。
近年、アメリカは「umami」という言葉が日常語として浸透しつつある。寿司やラーメンの普及に加え、発酵食品やだし文化への関心の高まりもあり、うま味はもはや異国の概念ではない。スーパーの商品パッケージにも「umami」と明記されるなど、日常の味覚として定着しつつある。
さらに、健康志向の高まりも背景にある。塩分過多が問題視される中、うま味は「塩味に頼らず満足感を高める味」として注目され、食品メーカーも減塩商品開発に活用。マクドナルドがフライドポテトにうま味を取り入れたことは、味覚と健康を両立する新たな試みとして意義が大きい。
これまでアメリカのファストフードで味の中心は「塩味」「チーズ」「スパイシー」だったが、そこに「うま味」という新たな選択肢が加わったのだ。
SNSでも話題、文化と味覚の逆転現象
アメリカの消費者やSNSでも、「うま味ポテト」の反応が出始めている。あるレビューサイトでは、「これまでのマクドナルドになかった新しいレベルのうま味」と味わいを好意的に評価する声がある一方、シーズニングの強さや量に戸惑う意見も見られる。全体としては比較的高評価で、興味深い新フレーバーとして受け止められているという印象だ。
SNSでは「チキンラーメンの粉っぽい風味がする」といった具体的な味の比較が目立つ。また、「シーズニングが多すぎてしょっぱ過ぎる」と戸惑う声や、「通常のフライドポテトよりおいしい」といった好意的な意見も散見され、味に対する話題性が高まっている。こうした反応は、単なる新フレーバーの話題性にとどまらず、アメリカでアジア系の味や、うま味への関心が広がりつつある傾向を感じさせる。
今回のコラボがK-POPアニメである点も象徴的だ。アメリカではK-POP人気が定着しており、アジア発のコンテンツは、動画配信サービスを通して日常的に消費されている。人気エンタメと新しい味覚を組み合わせることで、消費者が異文化の味に挑戦する心理的ハードルを下げる狙いもあるとみられる。
味付きポテト文化が根付く日本とは違い、アメリカではフライドポテト=塩味という固定観念が強い。味付きポテトは冒険的にみられ、認知度は低い。そのため、シャカシャカポテト方式の導入は、今回でまだ2回目の試みで、段階的な導入に過ぎない。

日本では当たり前の「うま味」が、世界最大のファストフードチェーンの発祥国・アメリカで新しい挑戦として受け入れられる――この逆転現象こそ、米マクドナルド“うま味ポテト”の最大の魅力だ。
文/ 阿部貴晃
在米ジャーナリスト。日系メディアのワシントン支局で20年以上、国際関係の報道に携わる。2025年4月からはワシントンD.C.を拠点にフリージャーナリストとして活動。米政治・社会・文化、日米関係に加え、ライフスタイルやトレンドなど幅広いテーマで執筆している。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ(https://www.kaigaikakibito.com/)」会員。
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