開くと小さなタブレットのようなサイズ感になるフォルダブルスマホは、参入が世界トップクラスで早かったサムスン電子が強い。一方で、グーグルがPixel Foldシリーズを、ZTEがnubia Foldを投入するなどして、その牙城を崩そうとしている。
このような中、新たに横開きのフォルダブルスマホに参入するのが、RenoシリーズなどのミッドレンジスマホでおなじみのOPPOだ。
同社が初めて日本市場に投入するのは、「OPPO Find N6」というハイエンドなフォルダブルスマホ。日本市場では展開されていないが、同社は25年に「OPPO Find N5」を投入し、その薄さで世界をわかせた。サムスン電子が「Galaxy Z Fold7」で記録を更新したが、OPPOはその先駆けだったというわけだ。
そんなOPPOのFind Nシリーズだが、今回は、折り目が目立たないメインディスプレイを売りにしている。また、大画面を生かしたマルチタスクや、手書きが可能な「AI Pen」に対応しているのも特徴だ。とは言え、日本市場では初のフォルダブルスマホ。ハイエンドモデル自体も少ないため、同モデルの実力を知りたい人は多いはずだ。発売に先立ち試用した実機で、その実力をひも解いていきたい。
折り目が目立たないは本当? 実機でチェックした開閉機構
Find N6一番の特徴は、そのメインディスプレイにあると言われている。折り目を目立たなくしたというのが、OPPOの主張だ。このために、3Dリキッド・プリンティング技術でヒンジの方面から凹凸をなくしたり、耐久性、復元性に優れたガラスを採用したりと、素材や機構にさまざまな工夫を施している。
開くと8.12インチ、閉じると一般的なスマホに近い6.62インチになる
実際の見た目は次のとおり。試用時に何度も開閉しているが、確かにヒンジ部分の折り目はほとんど見えない。ただし、折り目がまったくないかと言えば、そうではない。わずかながら、折り目のような筋は存在する。タッチした際には凹凸を感じづらいが、軽い段差はある。あくまでも、目立たないという方が正確な表現だ。
ただ、折り目に関しては多少目立っていても、ディスプレイに何かしらのコンテンツを表示していれば、あまり気になることはないだろう。筆者も歴代のGalaxy Z Foldシリーズを使い続けているが、正直なところ、折り目が気になって嫌になったり困ったりといったことはほぼない。ストレート型のスマホから乗り換えると最初は気になるかもしれないが、そのうち慣れてくるものだ。
メインディスプレイ側にもインカメラは搭載されている。その部分だけ、表示が欠けてしまうのは残念だが、半折りの状態でビデオ会議に参加したり、顔認証に使ったりするため、何らかの形でカメラを搭載するしかない。Find N6では、カメラが右上の隅に配置されており、表示の邪魔にはなりづらいのがいい。
これは、画面右半分の真ん中あたりに搭載されている、Galaxy Z Fold7との比較したときの話。Galaxyの位置だと、電子書籍や動画の一部にかぶってしまい、重要な場面が欠けてしまうことがある。Find N6も同様だが、より隅に配置されていることで、目に入りづらい場所になった。「Galaxy Z Fold6」までの画面下に埋め込んだカメラの方がいいが、これだと画質の劣化が避けられない。そのトレードオフを踏まえると、Find N6の配置が最適解のように思える。
開閉は非常に滑らかで、軽く力をかけるだけでいい。また、開閉の途中で止めた際にも、安定感がある。半開きにした状態でも、使いやすいと言えるだろう。閉じたときの厚みは8.93mm。Galaxy Z Fold7の8.9mmにはわずか0.03mm及んでいないが、フォルダブルながら、通常のスマホと変わらない厚みの範疇には収まっている。重さも、225gでフォルダブルスマホの中では比較的軽量だ。
大画面を生かしやすいUI、処理能力の高さも魅力的
ソフトウェアも、大画面に最適化されていて使い勝手がいい。アプリは、「フローティングウィンドウ」として表示することが可能。Geminiのスワイプでの呼び出しがオフになっている状態であれば、画面右下から中央に向けてスワイプするだけで、表示中のアプリがウィンドウになる。ウィンドウは最大4つまで表示可能。PCのような感覚でウィンドウを行き来できるため、複数のアプリをまとめて動作させやすい。
また、PCのようにアプリ間のドラッグ&ドロップによる操作にも対応している。例えば、撮った写真を開いてメモアプリにドロップすると、そのままメモの中に画像を貼り付けることが可能。一般的なスマホだと画面が窮屈に感じてしまうかもしれないが、8.12インチもあると、直感的に操作できる。
この状態から、画面を2分割した表示に移行するのも簡単だ。上部にあるボタンをタップし、メニューから「ビュー分割」を選ぶだけでいい。すると、いったんアプリが画面左に隠れる形になる。ホーム画面がすべて見える状態になるので、ここから2つ目のアプリを選択するだけで分割表示に切り替わる。専用のメニューから呼び出す必要がないため、普段使いのアプリを分割しやすい。
アプリによっては、半開きにすると画面が分割され、操作がしやすくなるものもある。例えば、カメラアプリは半開きの際に画面下半分が操作パネルになる。テーブルや机に置いたままでも、操作がしやすい。YouTubeでも、アプリが分割されて、上半分で動画を視聴することが可能だ。こうした機能は、フォルダブルスマホの流儀に沿ったものと言える。
もちろん、ハイエンドモデルとしてパフォーマンスの高さは保証されている。チップセットには、クアルコムのSnapdragon 8 Elite Gen 5を採用。メモリ(RAM)も16GBと大容量で、ストレージの一部を仮想メモリとして使う「RAMの拡張」にも対応している。2つを合算すると、最大で24GBまで拡大できる。「Geekbench 6」でのスコアは以下のとおり。現行製品の中では、もっとも性能が高い製品の1つと言える。
正確な色が特徴でズームにも強いカメラ、AI機能も優秀
フォルダブルスマホというと、フラッグシップモデルからややカメラ機能を抑えているのが一般的だが、Find N6は、ここにも力が入っている。老舗カメラメーカーのハッセルブラッドと共同で開発した3つのカメラが搭載されており、メインカメラは2億画素。ペリスコープ型の光学3倍ズームに対応したカメラや超広角カメラも5000万画素で、切り出しによって6倍まで劣化がほぼないズームを行える。
また、デジタルズームを掛け合わせて、最大120倍までズームすることが可能だ。AIによる補正が効いているのか、120倍で撮ってもかなりシャープな写真に仕上がる。ただし、荒い画像から推測で補正されるためか、「謎の文字」が生成されてしまうこともあるため、使いどころは選ぶ印象だ。
超広角、メイン、望遠それぞれで撮った写真。超広角も画素数が高く、精細感がある
120倍ズームでもクッキリした写真が撮れるが、文字を再現できない
フラッグシップモデルの「Find X9」で搭載したマルチスペクトルセンサーも採用しており、色がかなり正確。料理や夜景などの撮影に大活躍することは間違いない。ハッセルブラッドのカメラを模した「XPAN」モードにも対応しており、横長の写真を撮ることもできる。フォルダブルスマホの利便性と、OPPOのフラッグシップモデルのカメラ機能が融合した1台だと言えそうだ。
室内の料理、夜景など、どの写真も色味が正確。マルチスペクトルセンサーの恩恵だ
さらに、オプションで「AI Pen」によるペン入力にも対応している。残念ながら、ペンまでは試用できなかったが、中国で行われた発表会で本機に触れた際には、その書き心地を試すことができた。Bluetoothで本体とペアリングする方式で、追従性が高く、文字や線などが書きやすかった。ボタンを押してAI機能を呼び出せるギミックも、おもしろい。
OPPO独自のAI機能も役に立つ。本体には、音量キーの上に「Snap Key」が搭載されており、標準では「Mind Space」という機能に割り当てられている。ワンクリックでスクリーンショット、長押しで音声を保存し、それをAIで解析するというものだ。例えば、予定が書かれたメールを保存すると、中身を解析して、タスクへの登録をワンタッチで行えるようになる。
この機能を使わないというときには、Snap Keyに別の機能に変更することも可能。サイレントモードやカメラの起動、さらには翻訳の呼び出しなどに設定することもできる。フォルダブルスマホは片側がヒンジになってしまうため、キーが3つも並んでしまって少々操作が煩雑になる一方、ワンタッチでお気に入りの機能を呼び出せるのは便利だ。
かなり気合の入ったフォルダブルスマホだが、残念なのは日本独自の機能に未対応なところ。FeliCaには対応しておらず、非接触決済はNFCを使ったクレジットカードのタッチ決済だけしか利用できない。メインのスマホとして、SuicaなりiDなりを使いたい人には残念な仕様だ。決済だけでなく、マイナンバーカードの「Androidスマホ用電子証明書搭載サービス」にも非対応になる。この点でメインのスマホにしづらい人もいそうだが、FeliCaをスマートウォッチなどでまかなえるのであれば、いい選択肢になりそうだ。
文/石野純也







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