プレリュード×カレーの謎
『ダイム』本誌2026年1月号特集【昭和レトロvs平成レトロ ヒット商品クロニクル】でもどど~んと紹介した「新型プレリュード」。600万円越えという価格にもかかわらず予定月販台数の8倍の受注を記録するなど好調な出足を見せているが、ホンダは往年のプレリュードを知る昭和世代“以降の”若年世代へのアプローチも忘れてはいない。そのひとつの「鍵」がレトルトカレーだ。

え、レトルトカレー? なぜ?
「なぜ?」については、新型プレリュードの個性そのものにつながってゆく。オチとかギャグとか思い付きではないのだ。
理由その(1)。
昨年12月、渋谷で期間限定オープンしたポップアップショップの店名が「プレリュー堂」。期間中に用意された1000食のカレーは早々に完売で食べられなかった人続出。「発売してほしいぞ!」の声も多数とのことから、今回のレトルトカレー発売に結び付いたという。
新型プレリュードは「e:HEV」システムによるハイブリッドカーだが、そこに同社初の制御技術「Honda S+ Shift」を搭載したことにより、モーター駆動ながらあたかも有段変速機があるかのような駆動レスポンスとシフトフィールを再現した。つまりはBEVに走る楽しさ、操る喜びをもたらしたのである。
またドライブモードとして「SPORT」「GT」「COMFORT」を併せ持ち、それぞれ「Honda S+ Shift」のON/OFFにより、計6種類の走りを楽しむことができるのだ。
その6つの走りを楽しむ、つまり走りの変化をスパイスによる「味変」として置き換えたものがレトルトカレーであり、商品名「プレリュー堂 スパイスポークカレー」なのである、とこれが理由その(2)だ。

ノリは駄洒落っぽいが「味変」は本気!
「プレリュー堂」のネーミングはまあ駄洒落っぽいが、みごとハマっている。そして駄洒落でも悪ふざけでもないのが、「味変」をマジメに表現している点だ。
3種のスパイスによる味変という無理難題に応えたのがスパイス料理研究家の一条もんこさんで、一条さんがプレリュードに試乗した体験フィールを隠し味に、またホンダのZ世代社員の意見も取り入れながらチューニングを施したという。
スパイスなしのベースグレードは「GT」。GTモードの伸びやかさをイメージしたトマトベースで、単体で食してもけっこうスパイシー。辛いというよりは刺激を感じる味といえ、食べる人を選ばないオールマイティなチューニングだ。ごろっとした豚肉がいくつも入っており、食べ応えも充分。
花椒とチリペッパーによるアグレッシブさを演出したのが「SPORT × Honda S+ Shift」で、カルダモンなどの香りでリラックスをもたらしたのが「COMFORT × Honda S+ Shift」。さらにコリアンダーと柑橘系フレーバーによってグランドツーリングの爽快感を強めたのが、「GT × Honda S+ Shift」となる。
いずれも十分なウマミをもつ「GT」をベースに、ほんのわずかなアクセルフィールの相違、ハンドリングの応答、クラッチがかみ合うタイミングなどを操るかのごとく、その変化を味覚で、嗅覚で、確かに感じることができる。
もしかしたら近い将来、「クルマに興味をもつきっかけは、渋谷で食べたプレリュードのカレーでした!」なんてフレッシュマンが出てくるかもしれない。そうなれば今回の取り組みは【マジメなホンダの味な挑戦として成功を収めた】事例として評価されることになるだろう。

文/前田賢紀







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