花粉症は「国民的疾患」と言えるかもしれない。
毎年2月後半から4月にかけての時期、日本列島はスギ花粉に見舞われる。スギから大量の花粉が飛び散る場面を見るだけで顔を覆ってしまう人も珍しくない。そうした背景もあり、最近では「避粉地」が注目されているようだ。
スギやヒノキが少ないか、或いは全くない地域に一時的に滞在して花粉シーズンを乗り切る。が、問題はそんな避粉地に行くための費用である。ホルムズ海峡が閉鎖されて日本の物価が再び急上昇に向かう中、できるだけ安く避粉地へ飛び立つことができればそれに越したことはない。
というわけで、早速調査してみた。

釧路のホテルが「避粉」を前面に押し出す
筆者はPR TIMESのメディアユーザーである。
したがって、PR TIMESには毎日のように目を通しているが、その中にはこんな尖ったプレスリリースが。株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが公表した記事である。
釧路プリンスホテル(所在地:北海道釧路市幸町7-1、総支配人:柳澤 義人)では、花粉症に悩む方が春の花粉シーズンでも快適に滞在できる“避粉”をテーマに、高層階客室へのグレードアップを確約した「花粉ゼロの釧路で快適滞在!高層階客室グレードアッププラン」を2026年2月2日(月)~4月30日(木)まで販売いたします。釧路市は、スギ・ヒノキが自生していないことから、スギ・ヒノキ花粉が飛散しない地域として知られています。また、北海道内でも積雪量が比較的少なく日照率が高いため、冬から春にかけても過ごしやすい気候が特徴です。当ホテルでは、花粉を気にせず、澄んだ空気と開放的な眺望を楽しみながら、釧路ならではの自然体験や北海道の食を満喫できる滞在スタイルをご提案します。
(【釧路プリンスホテル】スギ・ヒノキ花粉のない地「釧路」で心も体もリフレッシュ “避粉”の旅先・釧路で澄んだ空気と絶景を楽しむ「花粉ゼロの釧路で快適滞在!高層階客室グレードアッププラン」を販売 PR TIMES)
釧路を「避暑地」としてPRするのは分かるが、何と上のプレスリリースでは「避粉地としての釧路」を前面に押し出しているのだ。
釧路が日本でも有数の観光資源に恵まれた地域というのは誰しもが知っているが、そこへ行く動機としての「避粉」を、ここまで積極的にアピールするとは……。筆者はライター稼業を既に10年以上続けているが、やはりこの商売は面白い。自分が思いもしなかったアイディアに巡り合うことができるのだから。
意外と安い航空券
が、問題は釧路までの道程である。
北海道は広い。北海道東部、太平洋に面するこの都市にどうやって行けばいいのか考えた時、思い浮かぶのはやはり空路。羽田空港から釧路空港までの便が充実している。
JALの便を試しに検索してみよう。この記事の執筆日は3月16日だが、4月6日以降の航空券が概ね1万6,950円といったところ。これは安い! 往復で3万3,000円程度である。
これを見ると、北海道は案外東京と距離が近いことが分かる。フライト時間はおおよそ1時間30分。週末、思い立ったように釧路へ行き、そこで土日を過ごして日曜日の夜に東京へ戻る……という旅行も十分可能だ。
パスポートが必要なく、思い付いてからすぐに旅行に行くことができる。これが国内旅行の長所である。これが海外旅行だと、どうしても大きなエネルギーを旅行に投じなければならなくなる。
「週末避粉旅行」が定番の年間行事に?
そして、避粉地と呼ばれる場所は何も北海道だけにあるものではない。沖縄県の宮古島も、同様に避粉地として有名になりつつある。興味深いことに、日本の南北の観光関連各社が「避粉地の定番」を巡って競争を繰り広げているのだ。
こちらも羽田発宮古行きの航空券をJALの公式サイトで検索。すると、4月13日から28日までの間は片道1万9,960円で販売されているではないか。羽田から宮古空港までは約4時間15分。上述の釧路に比べるとだいぶ遠いが、それでも苦になるような旅路ではないだろう。
東京で働いている人が、花粉シーズンをまるまる避粉地で過ごすということはなかなかできないはずだ。が、せめて4月のどこかの土日を「避粉期間」に指定して、その時に釧路や宮古島で短い休養の時を楽しむ……というライフスタイルがこれからのスタンダードになるかもしれない。「週末避粉旅行」が、定番の年間行事になっていくという近未来だ。
もっとも、冒頭にも書いたように現在はアメリカ・イスラエル両軍によるイラン攻撃が行われている最中で、その影響は日本にも既に及んでいる。燃料価格の高騰は、そのまま航空券代の高騰に直結する。来年の今頃は、羽田から釧路まで片道1万円台で行くことは「過去の思い出」と化してしまう可能性もある。残念ながら、トランプ大統領とイラン革命防衛隊の思惑は我々から避粉地への旅行を遠ざけてしまうだろう。
が、ここでさらに推測してみたい。もしかしたら来年以降は、「飛行機を使わなくても行ける本州の中の避粉地」が注目される可能性が出てくるのではないか。そうした場所は少ないながらも確かに存在し、今後は各地の観光関連企業が一丸となって「避粉地旅行」をプッシュしてくるだろう。
どちらにせよ、我々日本人は「避粉地旅行」という新たなライフスタイルを獲得しようとしている。
文/澤田真一
地方都市から別の地方都市へ行くには、どうしたらいいだろうか? 幸いにも、日本は世界有数の鉄道大国である。新幹線というものが存在し、それを使って日本各地へ足を運ぶ…







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