かつてのリーマンショックやコロナショックなど、株式市場の急変時に経済ニュース等で目にするデータの一つに「VIX指数」がある。
このVIX指数とは「Volatility Index」の略で、シカゴ・オプション取引所が公表している、S&P500種指数のオプション価格の値動きをもとに算出される指数だ。
相場の先行きに大きな不安が生じると、この値が大きく上昇する傾向にあり、数値が高いほど投資家の先行き不透明感が強いと判断される。通常は10~20程度で推移しており、20を超えると強い警戒感を示唆しているという。
そんなVIX指数に関して、イラン攻撃以降の動きを分析したリポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト 市川雅浩氏から届いたので概要をお伝えする。
2008年以降、VIX40超え5回の局面でS&P500指数は30日後にはほぼ上昇
2025年4月9日付レポートでは、米相互関税ショックによるS&P500種株価指数の変動性指数(VIX)急騰を受け、2008年以降にVIXが40を超えた5回の局面について、S&P500指数がその後、どのように推移したかを検証した。
その結果、30営業日後には5回の局面のうち4回の局面で上昇して、半年後、1年後には全ての局面で上昇したことがわかった(図表)。

今回のレポートでは、米相互関税ショックによるVIX急騰後のS&P500指数の動きを追加的に検証して、イラン情勢の悪化を受けた足元のVIXの動きを確認したい。

■2025年4月の米相互関税ショックでVIXは50を超えたが30日後のS&P500指数はやはり上昇
まず、このVIXとは、S&P500指数のオプション価格(売る権利や買う権利を取引する際の価格)をもとに、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出している指数のことだ。
例えば、VIXの10という数値は、今後30日間において、S&P500指数が現在の水準から上下2.9%(10を12の平方根で除した値)の範囲で推移するという投資家の予想を示唆している。
したがって、株価の先行きに不透明感が強まる場面では、投資家が予想する株価の変動範囲が拡大し、VIXの値は大きく上昇する傾向があることから、VIXは「恐怖指数」とも呼ばれている。
一般に、VIXが15~20であれば市場は正常な環境にあり、20を超えると徐々に混乱の度合いが強まり、30を超えると非常に混乱している状態と解釈されている。
2025年に米相互関税ショックが発生した際、VIXは4月8日に52.33を記録し、市場の極度の混乱が示唆された。ただ、S&P500指数は30営業日後に19.2%、半年後に24.9%、1年後に32.1%それぞれ上昇。過去の局面と同様、30営業日後には落ち着きを取り戻した。
■VIXは直近で31.05に、今回も過去の傾向と同様、株価は徐々に落ち着く可能性が高いとみる
米国とイスラエルは2月28日にイランへの攻撃実施を発表したが、週明け3月2日以降、VIXは20を超えて上昇傾向が鮮明となり、3月27日には31.05をつけた。
ただ、VIXの数字だけをみれば、過去40を超えた局面に比べ、今回のイラン情勢悪化を受けた市場の混乱度合いは小さいように思われ、その後VIXは4月3日に23.87まで低下している。
なお、トランプ米大統領は4月5日、イランが7日午後8時(日本時間8日午前9時)までにホルムズ海峡の開放に同意しなければ大規模攻撃を始める考えを示し、6日午後1時(同7日午前2時)に記者会見をする予定も公表した。
イラン情勢を巡る不透明感はまだ残りますが、過去のVIX急騰後の株価動向を踏まえると、今回も少し長めの期間でみれば、株価は徐々に落ち着きを取り戻す可能性が高いように思われる。
構成/清水眞希







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