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100円ショップの市場規模は3年連続で1兆円を突破、成長を支える150円〜500円の中価格帯商品

2026.04.06

帝国データバンクは、全国の「100円ショップ」市場について調査・分析を行ない、その結果を公開した。

100円以外の高額商品の比率を引き上げる「脱・100円」戦略の拡大が、市場拡大の大きな原動力に

2025年度の国内「100円ショップ」市場は、大手4社を中心に市場規模が約1兆1100億円となり、3年連続で1兆円を超えた。同調査では、その背景要因はもちろん、今後の見通しについても分析。以下は、その内容となる。

■「100円ショップ」市場、3年連続1兆円超え

ワンコインで生活用品の多くが揃う「100円ショップ(100均)」の2025年度市場は、ダイソー・セリア・キャンドゥ・ワッツの大手4社を中心に1兆1100億円規模(事業者売上高ベース)に達する見込みとなった。前年度に続き、3年連続で1兆円を突破した。節約志向の高まりで、安価な日用雑貨を求める需要が底堅いほか、ガーデニングやDIY、アウトドアなどのエントリーモデルとしての立ち位置を確保したことも、市場拡大の主な要因となった。

伸び率では前年度比2.7%増の見込みとなり、前年度(6.8%)からは鈍化する。ただ、市場規模は10年前(2016年度)・7369億円から1.5倍に拡大した。

店舗網では、大手4社の店舗数は2026年3月末時点で9400店規模が見込まれ、前年度から200店以上、10年前から1.4倍・約3000店増加した。郊外のロードサイド店舗やショッピングモール内の大型店から、近年は食品スーパー内など延床面積の小さい極小店舗まで幅広い店舗ラインナップで、全体で年間100店を超える出店ペースが続いている。他方で、中小・地場の100円ショップでは原材料価格の高騰などから単独で「100円」の販売価格を死守するのが困難で、既存店舗の維持ができずに店舗網の縮小や撤退も散見されるなど、大手と中小で二極化傾向がみられる。

■「脱・100円」で収益強化進む

2025年度の100円ショップ市場は、価格面での「安さ」訴求に加え、製品クオリティやデザインの見直しが進み、DIY用品のほかアウトドアなど趣味性を重視した商品から、レンジ調理器など機能性やタイパ(タイムパフォーマンス)を重視した家事グッズ、デザイン性の高い美容グッズ、シールなどの文具・手芸用品に至るまで、多岐にわたる商品ジャンル構成で顧客層をより広げた。

特にDIY・アウトドアなどの趣味分野では、コロナ禍以降に人気が拡大したアウトドアブームを取り込み、高価な専業メーカー製品に比べて価格面で手に取りやすい「エントリーモデル」としての立ち位置を確立した。その結果、 150円~500円までのミドル・ハイプライス商品のラインナップを充実させる100円ショップが増え、100円以外の高額商品の比率を引き上げる「脱・100円」戦略の拡大が、市場拡大の大きな原動力となった。

一方で、100円ショップは取扱商品の多くを海外生産に依存していることから急激な「円安」による影響を受けやすい環境にある。特に中国での製造コストは「過去10年で数倍に上昇」との指摘もあるほか、世界的な環境規制強化や原油価格上昇によるプラ製素材などの価格が高騰したことで、100円の売価では利益が出ない、あるいは従来仕様での仕入れが困難となった商品が増えている。

大手各社ではスケールメリットを活かした仕入原価の抑制に加え、「セルフレジ」の導入をはじめ自動化・省人化によるローコストオペレーションで利益を確保するほか、中高価格帯の商品を増やすことで客単価の向上と粗利益率の改善を目指す施策が目立つ。

他方で、規模の小さい地場の中小100円ショップではこうしたコスト低減策をとることが難しいうえ、商品の仕入価格高騰に直面していることで利益確保ができず、事業継続そのものが厳しい局面に直面している。「出店を加速させて市場を制圧する大手」と、「コスト高に耐えきれない中小」の格差が、円安と原材料価格の上昇でさらに広がった1年となった。

■「脱・100円」で、「プチプラ」生活雑貨との境界が曖昧に

足元では、歴史的な円安水準の長期化と、原油高の影響で深刻なコスト高騰局面に直面している。国内の「物価高」による消費者の節約志向の高まりを受け、安価な日用雑貨を求める需要が底堅く推移するなかで、「100円均一」に代表される低価格を持続可能なビジネスモデルとしてどう維持するかが課題となっている。

特に、地場・中小の100円ショップは単独での価格維持が非常に難しい状況で、独自性やデザイン性など高付加価値化、大手による買収など再編が今後進む可能性もある。

市場動向を左右する大手4社でも、機能や品質にこだわった300円~500円帯のオリジナル商品を揃える価値提供型ブランドへの脱皮が進み、脱・100円化によって他業態としての境界が曖昧になりつつある。

他方で、100円ショップ各社が参入を進める「プチプラ(低価格)生活雑貨」市場は、3COINSをはじめ300円を中心とする「300円ショップ」、「500円以下」の日用雑貨のラインナップを大幅に強化した無印良品など、コストパフォーマンスとデザイン性の両立に優れたブランドが少なくない。

100円ショップ大手・セリアのように「100円均一売場」に特化し、100円の価値を極限まで高める戦略もあるなかで、「100円という売価から脱却する」戦略との棲み分けから、消費者に対して価格以外に「納得できる価値」を提示できるかどうかが、100円ショップ業界の先行きを大きく左右するとみられる。

【調査対象】 国内で「100円ショップ」事業を展開する企業
※業績等のデータについては、2026年3月時点における帝国データバンクが保有する企業概要ファイル(COSMOS2、約150万社収録)、および企業信用調査報告書(CCR、約200万社収録)、外部情報などを基に集計した。なお、各社の業績・店舗数データは一部推定・予想値を含む。

関連情報
https://www.tdb.co.jp/

構成/立原尚子

東京都出身。出版社勤務を経て、現在はフリーライターとして活動中。好きなジャンルは家電まわり。最新ガジェットから暮らしに役立つアイテムまで、読みやすくて、ちょっとためになる記事を目指して執筆中。

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