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ライカと共同開発したスマホ「Xiaomi 17 Ultra」はどこまでカメラに近づいたか?

2026.04.04

 老舗カメラメーカーのライカとタッグを組み、撮影機能に磨きをかけてきた中国メーカーのシャオミ。ライカとの共同開発をうたう機種は複数あるが、中でも最高の画質を目指し開発されたのが“Ultra”を冠するモデルだ。その最新モデルが、3月に発売された「Xiaomi 17 Ultra」になる。同モデルには、ライカ自身が本体デザインを手がけた「Leica Leitzphone powered by Xiaomi」という兄弟機もあるほどで、過去に発売されたUltraシリーズと比べても完成度は高まっている。

シャオミのフラッグシップモデルとなるXiaomi 17 Ultra。カメラとしての使い勝手を評価していく

 メインのセンサーのサイズはデジカメ並みの1インチで、さらにフォトダイオードからあふれた光電荷を蓄積して信号にできるLOFICに対応。ダイナミックレンジの広さが、大幅に上がった。また、望遠カメラのレンズは、75mmから100mmの間で実際に動き、デジタルズームに頼らない画角の調整が可能。画素数が2億画素と大きく、切り出しによって劣化の少ない8.6倍ズームまでを可能にする。

メインカメラ、望遠カメラともに性能を上げており、明暗差に強く、かつ高倍率でもキレイに撮れる

 もはやデジカメ並みの性能を備えたXiaomi 17 Ultraだが、価格は約20万円から。コストパフォーマンスの高さを売りにしていたシャオミのスマホの中では、群を抜いて高い。その価値はあるのか。仕事の一環として撮影もこなす筆者が、実際のワークフローに同機を取り入れてみた。

想像以上に実用的だった望遠カメラ、演台の人物撮影にも使える

 Xiaomi 17 Ultraの発売に際し、シャオミ自身も作例を公開しているが、どちらかと言うとアーティスティックな作風のものが多い。一方で、筆者は記者として、取材の合間に発表会の様子や登壇した人物、展示されたスマホなどの物撮りをすることがほとんどだ。被写体そのものをはっきり、くっきり見せることに主眼を置いている。参考までに、直近で撮ったXiaomiの発表会の模様を以下に載せておく。

シャオミが2月にスペイン・バルセロナで開催した発表会。ここでは、ソニーのα6400で撮影している

 普段の取材では、ソニーの「α6400」と2つのレンズを携行。1つはズームレンズで18mmから200mm(α6400はセンサーがAPS-Cなので27mmから300mm相当になる)と、接写に強くて明るいシグマの18mm-50mm(同25-75mm)を使い分けることが多い。これを、Xiaomi 17 Ultraで代替できるのか、実際の取材に持ち出して記事に掲載するための写真を撮ってみた。

普段使いの一眼カメラとレンズ。この写真もXiaomi 17 Ultraで撮影した

 テスト前に懸念していたのは、ズームがどこまで実用的かということだ。発表会の記者席から被写体を狙う場合、α6400だと300mmいっぱいまでズームすることが多々ある。それでも足りない場合には、2倍程度まで超解像ズーム(画質補正の入ったデジタルズーム)を使う。シチュエーションによっては、600mmぐらいの焦点距離が必要になるということだ。一般的なスマホだと、かなり厳しい条件と言える。

 これに対し、Xiaomi 17 Ultraなら望遠がレンズだけで100mmまでズーム可能。さらに、センサーから画像を切り出して1200万画素相当で保存することで、ほぼ劣化のない200mm相当のズームができる。実際の発表会で、撮った写真は以下のとおり。ドコモビジネスが、「5Gスライシング」という新サービスを開始したときのプレゼンの様子だ。

ドコモビジネスの発表会で記者席から狙った登壇者の写真。300mm相当まで拡大しているが、粗は目立たない

 画像は非常に鮮明で、拡大してもしっかり質感が出ている。肌の色のトーンも滑らか。会場のシチュエーションもあって、少し明るさが足りない印象もあるが、後から補正すれば十分掲載に耐えるレベルだ。これに1.5倍のデジタルズームをかけると300mm相当でαのズームレンズと同じになるが、この程度であればあまり粗が目立たない。

 以下は「あっぷアリーナ!」というiOS向けアプリストアを立ち上げたBBSS社の本多晋弥社長だが、315mmでも引き伸ばしたような不自然さがほとんどない。率直な評価として、発表会の登壇者を撮るようなシーンでは、十分なクオリティになるという印象を受けた。ちなみに、もう1枚の作例は仕事ではないが、花見中に桜を撮った写真。こちらは558mm、ズームカメラから切り出してさらに3倍弱までデジタルズームしているが、それをほとんど感じさせない。

こちらは、ソフトバンクグループのBBSS社長を同じく記者席から撮影。315mmだが、クオリティは十分だ
デジタルズームもかなり優秀で、劣化の少なさには驚かされた。こちらの写真は558mm、23mmのメインカメラからだと約24倍までズームしている

ダイナミックレンジが驚くほど広い広角カメラは、物撮りにも重宝

 冒頭で述べたように、LOFIC対応の1インチセンサーは、物撮りなどのシーンで実用性を発揮する。例えば、以下は先に挙げたドコモビジネスの発表会で、5Gスライシングのデモを行っているところ。ディスプレイが明るいものの、そこに合わせて背景が黒潰れせず、全体がしっかり描写できている。ダイナミックレンジが広いと、このようなシーンで役に立つ。

LOFICに対応しているため、このような夜景を撮っても白飛びがほとんどない

5Gスライシングのデモの様子。ディスプレイがしっかり見えつつも、背景が暗くなりすぎていないいい塩梅の写真に仕上がっている

 このメインカメラの1インチセンサーも画素数は5000万と大きく、望遠レンズと同じ仕組みで切り出しのズームが可能。23mmの倍となる46mmまでをこのメインカメラがカバーする。これを超えると、75mmで望遠カメラになるまではデジタルズームがかかる。以下の写真は、そのデジタルズームがかかった60mm。物撮りだが、くっきりと描写されており劣化に気づける人はいないレベルに仕上がっている。

スマホのように、ディスプレイがあるものを撮るときにこのダイナミックレンジの広さが役に立つ。写真はBBSSのあっぷアリーナ!

 もちろん、発表会のスライドを撮るというのはお手の物。以下の写真は望遠カメラが使われており、明るさもビシッと合っていて精細感もある。また、200mmで離れた場所からモノを撮っても、まったくそれを感じさせない写真に仕上がる。23mmから300mm程度まで、シームレスにズームできるのは、仕事用カメラとしてこの上なく便利。少なくとも、ここまではαの代わりを完全に果たしている。

発表会や講演のスライドは、Xiaomi 17 Ultraにとって非常にイージーな被写体と言える。写真はソフトバンクの説明会で紹介されたミリ波活用のスライド
遠くに置かれたものを撮るときにも、サッと望遠カメラに切り替えられる。写真は200mm

 一眼カメラと違って、レンズの付け外しもいらない。サッと画角を変えられるのは、この機種のメリット。しかもサイズや重量はスマホの範疇に収まっている(スマホとして218.4gはやや重いが)。軽量なため、日々の生活をスナップするのにも使える。以下はメインカメラでほぼ毎日撮っているランチ写真だが、どれも明るく、精細感があり、色のバランスもいい。

料理を撮ったときのシズル感は、スマホの域を超えている。このような場面でサッと取り出せるのは、デジカメにない魅力だ

 ただ、メインカメラはセンサーサイズが大きいこともあり、やや接写に弱い。最短焦点距離が30cmとやや遠めになっているため、小さいものを近くで撮影しようとすると、ピントが合わないケースがある。幸い、取材時にそれで困ったわけではないが、料理に寄ろうとした際に「もっと距離を離してください」とアラートが出て本体の位置を変えたことはあった。

あまり寄れないのが難点。このようなアラートが出てしまう

 今後、スマホの一部に寄ってアップで撮影するような場面やイヤホンのように小さなものを撮影する機会があると、やや悩む可能性はある。とは言え、Webの記事に掲載するような写真であれば、やや引き気味に撮っておいて後からトリミングすれば済む話でもある。接写がやや苦手だからと言って、致命的というわけではない。

操作性を上げるPhotography Kit Proの利用は必須、拡張性には課題も

 撮影時の操作性という観点だと、タッチパネルでシームレスにズームをしていくのがやはり少々難しい。画角を頻繁に変えるような時には、購入特典として無料で入手できた「Photography Kit Pro」を装着した方がいい。これがあれば、ズームレバーを軽く押し込むだけで、シームレスにズームができる。操作感は、デジカメに近い。

Photography Kit Proを装着したXiaomi 17 Ultra

 また、Photography Kit Proにはカスタムダイヤルもついており、標準では露出補正(EV)が割り当てられている。筆者は露出補正にして、やや明るくしたい時などに活用した。ここにはシャッター速度やホワイトバランスを設定することも可能。撮影時によく使うであろう機能を物理ダイヤルで操作できるのはうれしい。仕事としてシャッターチャンスを逃したくない場合には、半ば必須と言えるアクセサリーになる。

ズームレバーでシームレスなズーム操作ができるほか、カスタムダイヤルによく使う機能を割り当てられる

 少々残念だったのは、Photography Kit Proの質感。Xiaomi 17 Ultra本体に装着するケースとグリップのどちらも、やや安っぽい印象がある。むしろ、裸のまま使った方がかっこいいほどだ。とは言え、仕事での撮影に失敗は禁物。見た目よりも実用性重視と考え、仕事で使う際にはPhotography Kit Proも必ず持ち運ぶようにしている。

カメラとして見たときにも、ケースなしの方がデザインはいい

 仕事のカメラとして使うことを考えると、拡張性の低さもやや気になったところだ。一般的な一眼カメラだと、レンズ交換はもちろん、ストロボを装着するなどして、環境に応じた撮影が可能だが、Xiaomi 17 UltraやPhotography Kit Proにはそれがない。特にストロボは、照明の色温度が微妙だったり暗すぎたりする展示会などでの撮影に重宝している。さすがにこの点は、本格的なカメラと比べると見劣りする部分だ。

 一方で、カメラといっても純然たるAndroidスマホのため、ネットワークに常時接続しているのはXiaomi 17 Ultraの利点。写真で言えば、撮ってすぐにGoogleフォトに自動アップロードがされ、同じくネットワークにつながっているPCやタブレットでの確認が容易にできる。撮影した直後にSNSに投稿したり、短い記事を書くのに写真を使ったりする際に、いちいち本体から写真を転送する操作をする必要がない。

 どちらかと言えばアーティスティックな作例が多く掲載されていたこともあり、仕事に使えないのではという心配もあったが、ベースの性能が高く、一通りの撮影はこなせた。一眼カメラほどの拡張性はないが、スマホのサイズ感で幅広い画角をカバーしているのは魅力特に広角カメラの画質は、特筆に値する。スマホとしては高い機種だが、その価値は十分あると太鼓判を押せる1台だ。

文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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