2026年3月31日、アメリカのトランプ大統領は継続中のイラン攻撃に関して、「間もなく離れる(任務を完了する)だろう」と発言。併せて停戦合意の可能性にも言及した。
一方、ホルムズ海峡の封鎖など、紛争は世界経済には引き続き懸念材料であり、当事者であるアメリカでもガソリンの平均小売価格が2022年8月以来初めて1ガロン4ドルを突破、とのニュースも伝えられている。
というわけで、三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から、アメリカのイラン攻撃が世界の金融市場に与えた影響を振り返るリポートが届いたので、その概要をお伝えする。
原油はイラン攻撃の最初の2週間で急騰、その後上昇率は落ち着き、停戦交渉を見守る段階へ
2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始してから1か月が経過した。3月16日付レポートでは、イラン攻撃から2週間が経過した時点における世界の金融市場の動きを振り返り、「産油国が関係する地政学リスク」が発生した場合は、「原油高、株安、債券安、米ドル高」に振れやすいことを確認している。
今回は、そこからさらに2週間ほど経過した市場の動きを検証してみる。
まず、商品市場では、WTI原油先物価格が最初の2週間(2月27日から3月13日)で47.3%上昇し、その後(3月13日から31日)は2.7%上昇と、上昇率がかなり落ち着いた(図表)。

一方、ニューヨークの金先物価格は最初の2週間で3.5%下落し、その後は8.2%下落と、下落率が拡大。原油は米・イランの停戦交渉の行方を見守る段階に入ったと推測されるが、金は株式の損失補填の売りなどが続いている模様だ。
■最初の2週間に比べ主要株価指数の下落率はその後縮小、国債利回りの上昇幅も縮小の動き
次に、株式市場では、イラン攻撃から2週間が経過した時点で、世界の主要株価指数の多くが下落した。特に、原油の輸入依存度が高い日本やアジア諸国などの株価指数は、原油価格の上昇を受け、相対的に大きく下げていた。
ただ、その後の動きをみると、全体的な下落傾向は変わらないものの、下落率は最初の2週間よりも小さくなっており、株式市場も停戦に向けた動きを待つ状況にあるように思われる。
国債市場では、原油高によるインフレ圧力の強まりが意識され、イラン攻撃から最初の2週間で日米欧の国債利回りは上昇。米国では利下げ期待が後退し、ユーロ圏と英国では利上げ観測が浮上したことで、利回りの上昇幅は米欧が日本を大きく上回った。
その後も利回りの上昇傾向は続いたが、上昇幅は最初の2週間よりも小さくなっており、国債市場もやはり、中東情勢を見極めたいとの様子が見えてくる。
■有事のドル買いも和らぎ、金融市場は最初の2週間に比べて落ち着きつつある模様
為替市場に目を向けると、イラン攻撃開始後の2週間で、米ドルは主要33通貨のうち、31通貨に対して上昇し、「有事のドル買い」といわれるとおり、ほぼ全面高の展開となった。
しかしながら、その後の動きを確認すると、米ドルは主要33通貨のうち、20通貨に対する上昇にとどまっており、基軸通貨で流動性の高い米ドルを選好するリスク回避的な動きが幾分和らいでいる。
以上より、世界の金融市場は、イラン攻撃から最初の2週間で「原油高、株安、債券安、米ドル高」で大きく反応をしたものの、その後2週間ほどで、いずれの反応も、その度合いが小さくなったことがわかる。
中東情勢を巡る不透明感は依然として強く、予断を許さない状況は続いているが、世界の金融市場は時間の経過とともに、当初よりはいくらか落ち着き、今後の進展を見守ることができるようになりつつあると思われる。
構成/清水眞希







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