「朝は時間がないから菓子パン」その習慣が脳のパフォーマンスを下げている可能性
「朝から頭がぼんやりする」「会議で集中力が続かない」「昼前になると強い眠気に襲われる」こうした症状を、単なる寝不足や疲労のせいと考えていないでしょうか。実は、これらの症状の背景に「血糖値の乱高下」が関与している可能性があるのです。
「朝は忙しいから、とりあえずコンビニで菓子パンとコーヒー」
このスタイルで朝食を済ませているビジネスパーソンは、実は意外に多いと感じています。しかし、この何気ない習慣が、脳のパフォーマンスに影響を与えているとしたら。菓子パンの主成分は精製された小麦粉と砂糖であり、消化吸収が非常に速い食品です。
そのため、摂取後は血糖値が急激に上昇しやすい特徴があります。これに対して体はインスリンを分泌して血糖値を下げようとしますが、急激な血糖上昇を下げようとインスリンが過剰に分泌されると、今度は血糖値が必要以上に下がる方向に働きます。
この血糖の「急上昇→急降下」という血糖の変動は、特に脳に影響を与え、集中力や思考力に影響が出やすいと考えられています。実際、急性の高血糖状態が認知パフォーマンスや気分に影響を与えることを示した研究も報告されています。(*1)
また、血糖変動が大きい人ほど認知機能が低い傾向があることも示唆されています(*2)
この状態が毎朝繰り返されている可能性があるとしたら、日常的に脳に負担をかけ続けている可能性があるのです。
(*1)Acute hyperglycemia alters mood state and impairs cognitive performance in people with type 2 diabetes. Sommerfield et.al
(*2)Correlation between long-term glycemic variability and cognitive function in middle-aged and elderly patients with type 2 diabetes mellitus: a retrospective study. JC Ding et.al
「血糖値スパイク」が脳の血管をボロボロにするメカニズム
朝食に菓子パンと加糖コーヒーを組み合わせるときに体内で起きているのがいわゆる「血糖値スパイク」です。血糖値が急上昇すると、体内では大量の活性酸素が発生することが知られています。また、食後高血糖そのものが酸化ストレスを誘発し、血管内皮機能を障害することが研究により示されています(*3)
(*3)Acute hyperglycaemia and oxidative stress generation
この「酸化ストレス」と「血管内皮障害」は、動脈硬化の出発点となる極めて重要なプロセスなのです。ここで見落としてはいけないのが、「血糖値の高さ」だけでなく「変動の大きさ」そのものが問題であるという点です。近年では、平均血糖値よりも血糖値の変動の方が血管障害に強く関与する可能性も指摘されています。つまり、たとえ空腹の血糖値が正常であっても、食後に大きく血糖が跳ね上がる生活を続けていれば、血管は確実にダメージを受けていくというわけです。
そして、この影響を最も受けやすい臓器の一つが「脳」です。脳の血管は非常に細く繊細であり、わずかな血流低下や脳の血管内皮の障害でも機能に影響が出やすい構造をしているため、こうした微小血管障害が蓄積すると、脳の血流は徐々に低下し、神経細胞への酸素や栄養供給が不十分になります。
その結果として現れるのが、集中力の低下、思考力の鈍化、記憶力の低下といった「脳のパフォーマンスの低下」なのです。さらに重要なのは、この状態が長期化すれば認知症リスクにもつながる可能性があるという点です。実際に、血糖値の高さと認知症発症リスクの関連が研究でも示されています。(*4)
つまり、日々繰り返される血糖値スパイクは、単なる「その場の不調」を引き起こすだけでなく、脳血管レベルでのダメージを蓄積させ、将来的な認知機能低下の土台を作ってしまうのです。この事実を理解することが、脳を守るための重要な第一歩となります。
(4*)Glucose Levels and Risk of Dementia. Crane et.al







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