日産のEV(電気自動車)「リーフ」が3代目にフルモデルチェンジした。最高速度が120km/hに設定されている千葉県成田の東関東自動車道と、その周辺の一般道で「B7 G」を試乗した。
新型「リーフ」には、大小のバッテリーの違いからグレードが「B7」と「B5」の2種類が設けられている。バッテリー容量が大きなほうが「B7」。小さいほうが「B5」。それぞれの航続距離は685kmと469km。
装備と内装の違いが「S」「X」「G」と3種類あり、Gは最上級版にあたる。「G」は19インチホイールの採用や内外装などの違いのほか、回生ブレーキの強さを4段階選べるパドルやBOSEの10スピーカーシステムなども備わっている。そして「リーフ B7 G」の価格は、599万9400円。CEV補助金が全モデルに129万円適用される。
機械として優れているか?★★★★★ 5.0(★5つが満点)
走り出して最初に気になったのは、ハンドルを切った時の反応だった。1車線の一般道を低速で走るような場面でも、クルマからの反応がやや過敏に感じられた。スポーツカーではないのだから、もっと穏やかなほうが好ましい。併せて、走行中のタイヤの上下動のドタバタする振動が強めに伝わってくるのも目立って感じられた。それらを抑えて、マイルドにしたほうが多くのユーザーに歓迎されるのではないか。「リーフ」というクルマの顧客層にも合っている。段差を乗り越えた際に返ってくるショックも強めだった。
一方で、回生ブレーキのオートモードの効きは乗り始めから明確に感じられた。前車との車間距離をクルマがつねに監視していて、それに応じて回生ブレーキが無段階に強められていく。逆も作用する。この機能をオンオフするのもハンドル左上のマークを押すたびに変わっていく。マーク自体が青く点灯し、メーターパネル内にも表示が現れる。この操作も簡単で、使いやすい。日産では「インテリジェントディスタンスコントロール」と称しているが、他メーカーのものと機能もほぼ変わらない。
東関東自動車道に乗って、すぐに運転支援機能(日産での呼び名はPro PILOT)のひとつであるレーンチェンジアシストの使いやすさに驚かされた。クルマの周囲を確認して安全にレーンチェンジが行える条件が揃ったと「リーフ」が判断すると、「前方に遅いクルマがいます。安全を確認してください。“プッシュスイッチ”で右に車線変更します」とメーターパネル中央下部に文章が現れて、車線変更が提案される。ハンドル左下に表された、矢印が車線を越えて進んでいくアイコンのプッシュスイッチを押すと自動的にハンドルが切られながら加速して隣の車線に移っていく。
条件が整うと、メーターパネル上の運転支援機能の作動表示がグリーンからブルーに変わって、より高度な「Pro PILOT 2.0」が作動中であることを示すようになる。2.0では、120km/hまで、前車に追従し、レーンキープを保ちながらドライバーはハンドルから両手を離すことができる。今回の試乗コースでは、実際に意識して確かめられた距離が10数kmと短かったので効能を実感できなかったが、これが50km、100kmと長くなるに従ってドライバーの眼と脳と右足の負担が減ることを実感できるだろう。
高速道路や自動車専用道で使う運転支援機能(Pro PILOT)の効能が大きさは、新型リーフの最大の長所のひとつだ。使い慣れてくると、運転中の負担が減ることが自覚できて、安全運転に寄与することが体感できるはずだ。
商品として魅力的か?★★★★4.0(★5つが満点)
センターディスプレイの下にP/R/N/Dと横に並んだシフトスイッチの台座部分がここだけ艶消しグレーの樹脂製で、水道パイプを思わせて安っぽく見える。悪目立ちしている。その点について、商品戦略本部のチーフプロダクトスペシャリストのE氏に訊ねると、「当初はピアノブラック仕上げにする案で進んでいたが、“ピアノブラックは指紋の後が残って見苦しくなる”という別の車種でのクレームが世界中から寄せられていることを勘案して止めました。代わりに、この素材を選んだという次第です」
なるほど、そうした経緯があったのか。ピアノブラックよりは良いと思う。それでも、このシフトスイッチが安っぽく見えてしまうのは、PRNDの文字のプリントが素っ気ないからではないだろうか。SIMカードを備えているので、スマートフォンを接続しなくても各種のアプリを有料で活用できる。今回はオーナーでないのでアカウントを持っておらず、直接は試せなかったがCarPlay経由で確かめることはできた。
新たに導入されたGoogleマップとナビも利便性を上げてくれるだろう。自分のアカウントを統合させれば、より便利に使えるはず。今回は、そこまで試せなかったが。新型「リーフ」が多機能かつ高機能であることは大歓迎だが、ユーザーインターフェイスについては吟味が足りない。せっかくの多機能&高機能が活かしづらい。今までに存在していなかった新機能は、使いやすくないと存在意義がない。
あれが開発できたコレも実現できたと最新鋭の機能の数々を盛り込んだのは良いが、それらを1台のクルマの中で、ユーザーが日々どのように使っていくかを想像し、そのためにはどのように表示し、操作するのが使いやすさにつながるのか?開発の最終段階で、その想像と思考の時間が足りなかったのではないかと想像してしまった。
新型「リーフ」のEVとしての完成度は高く、最新機能もたくさん搭載されているから潜在的可能性も大きい。しかし、それらをまとめ上げるセンスというか、ガバナンスというか、意志の力が弱い。メーターパネルとセンターディスプレイ、そしてハンドル上のスイッチ類。個々の例は、ここでは挙げないが、機能とそれを表示し操作するインターフェイスが統一性も整合性もないので、ユーザーが混乱させられてしまう。「買って使っているうちに慣れていく」ものでもないだろう。
数字とグラフだけでクルマの開発を進めて完了とするのではなく、開発各部門をまとめ上げてユーザーの立場と気持ちに寄り添う商品企画が求められる。良い機械はできたかもしれないが、魅力的な商品に仕上げる時間と意志が少し不足していたように思えた。実にもったいない。マイナーチェンジでの改良を期待している。
■関連情報
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/leaf.html
文/金子浩久(モータージャーナリスト)







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