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トヨタの確固たるクルマづくりを象徴する「カローラクロス GRスポーツ」の完成度

2026.03.31

「カローラ」は1966年の誕生以来、世界150以上の国や地域に送り出されてきたベストセラーモデルだ。ボディバリエーションも4ドアセダンやワゴンに始まり、ハッチバックやクーペなどライフスタイルに合わせて、開発され続けてきた。その結果、2021年7月にシリーズの累計販売台数が5000万台を突破している。

その「カローラ」シリーズに新しく加わったのが、シリーズ初のSUVとして誕生した「カローラクロス」だった。全高を1600mmに設定し、ユーティリティー重視のワゴンスタイルで、2021年9月にデビューを果たした。都会的で上質な内外装デザインを採用し、クラストップレベルの26.2km/L(Z・ハイブリッド)を達成。ラゲージ容量もリアシートを使える状態でもクラストップレベルの荷室を確保。後席を倒すとロードバイクも積める広いスペースが生まれる。

その「カローラクロス」の一部改良と同時に、GRが「GRスポーツグレード」を開発し、カタログモデルに加えた。2025年8月にデリバリーが始まった新型「カローラクロスGR スポーツ」に試乗した。おさらいとなるが、GRというのはTOYOTA GAZOOレーシングが手がけるスポーツカーシリーズの総称である。「モータースポーツを起点にしたもっといいクルマづくり」を合い言葉に、トヨタ車をベースにしたスポーツモデルを開発している。すでにGRブランドでは「アクア」「ヤリスクロス」「ハイラックス」「ランドクルーザー」「コペン」にGRスポーツモデルが誕生し、市販されている。「カローラクロス」は6番目のGRスポーツとなる。

スタイリングは、フロントバンパー/グリル一体式の四隅を斜めににデザインしたのが特徴。ヘッドランプを左右一体化し、アッパー・グリルの上にレイアウト、アッパーを薄く、アンダーを低く見せることで低重心と安定感を強調している。グリル両端の開口部は空気の流れを最適にする造形となっている。

外観からはわからないが、メカニカルな部分もチューニングされている。フロントのマクファーソンストラットサスはGR専用で、リアのダブルウィッシュボーンも専用チューンが施されている。ショックアブゾーバーやコイルスプリングバネ定数も変更され、最低地上高は、標準車より10mm低くなっている。

パワーユニットは、直4、2.0Lガソリンエンジン+フロントとリアにモーターを搭載。ハイブリッドシステムはGRスポーツ専用にチューンされている。さらに、ドライブモードのセレクトもノーマル/スポーツ/エコ/スノーエクストラを設定。スポーツモードはこれもGRスポーツ専用のチューンで、ノーマルのスポーツモードよりもエンジン回転数を高めに設定し、アクセルレスポンスを向上させている。

ミッションは電気式無段変速だが、6速のシーケンシャルシフトマチックをGRスポーツ専用に設定し、ダイレクトなシフトフィールも楽しめるようにした。室内もGRスポーツ専用のパーツがふんだんに用いられている。ドアを開けて運転席を見るとGRのロゴが入ったスポーツシートが待ち構えている。表皮には、滑りにくいスウェード調の表皮を使用している。座ってみると、背中から太ももにかけてのフィット感が違う。着座位置は高めだが、座面を高めにすると、計器類がやや低い位置になる。チルトの調整をもう少し高い位置までにしてほしいところだ。後席の着座位置はそれほど高くなく、床面中央のトンネルも低い。ただし、目の前は前席背もたれが大きく立ちはだかっている。足元がやや狭い。

さて、ノーマルモードでの走りだが、スタートから軽快感がある。標準の「カローラクロス」より200ccの余裕が感じられる。スポーティーな演出も施されており、エンジンが3000回転をオーバーすると乾いたエキゾーストサウンドが高まり、スポーツモデルをドライビングしている実感が高まる。パドルを操作しながらのワインディングは、スポーツモードを選択しなくても十分楽しい。スポーツモードを選べば、乗り心地は硬めになり、タイヤのゴツゴツ感も、伝わってくる。操縦性も直進からの切りこみは抵抗があり、やや腕力が必要になる。ワインディング走行はスポーティーだ。ノーマルモードは、スポーツモードほど腕力は要らないが、チューンドカーに乗っているという気分は十分に味わせてくれる。

今回の試乗車だが、タイヤはアドバン・フレーバというブランドだった。動力性能だが、Dレンジでの0→100km/h加速は8秒台。2Lハイブリッドのスポーティカーとしては標準レベルだろう。GRスポーツとして6番目のクルマになる「GRカローラクロス」は、モータースポーツのベースとしては物足りないクルマかもしれないが、最近のトヨタのクルマづくりの確実性がきちんと伝わるクルマに仕上がっている。

現トヨタ自動車会長の豊田章男氏が、副社長に就任した直後に、東京本社で会ったことがあった。その時、章男氏はこれからのトヨタのクルマづくりを変える。おそらく今の僕の考えに賛成する技術者は誰もいないけど絶対にやる、と熱心に話してくれた。あれから約20年。彼の思いは「もっといいクルマづくり」という言葉になり、社員の間に徐々に浸んでいき、やっと多くの開発者たちが、彼が言っていることを理解し始めたのだとあらためて感じることができた。

■関連情報
https://toyota.jp/corollacross/grsport/

文/石川真禧照  撮影/萩原文博

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