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「星街すいせい」が個人事務所を設立、カバーからの独立にはいかなる狙いがあるのか?

2026.04.01

YouTubeのチャンネル登録者数280万を超える人気VTuber「星街すいせい」が、3月22日に個人事務所「Studio STELLAR(スタジオ ステラ)」を設立したと発表しました。引き続き「ホロライブプロダクション」のカバーとの活動は継続する予定。しかし、突然の独立宣言にカバーの株価にも影響が出ています。

独立の狙いについて紐解いていきます。

タレントマネジメントを担うNERDとは?

独立を発表した翌日の3月23日のカバーの株価は前取引日の終値から12%も下落しました。独立発表前は1500円を上回って推移していたものの、23日の週は1300円台から回復していません。市場は星街すいせいの独立が、カバーの悪材料であると判断しています。

カバーの発表によると、星街すいせいの個人事務所「Studio STELLAR」のタレントマネジメントは株式会社NERDが担います。カバーはNERDに出資と共同事業契約を締結することで、原契約を維持。関係各所と連携をとって今後の活動を支援するといいます。NERD社への出資額・出資比率は非開示。2026年3月期に与える業績は軽微。

「Studio STELLAR」は、ソロアーティストとしての音楽活動、配信活動、新規のグッズ販売、ファンクラブ運営等を受け持ちます。今回の独立で見逃せないのが、タレントマネジメントをNERDが行うとしていること。この会社は星街すいせいの「ビビデバ」クリエイティブディレクターの大澤創太氏、コーディネーター髙橋政記氏の両名が代表を務めている会社。「ビビデバ」は公開から7か月、VTuber史上最速で1億回再生を突破した大ヒット曲です。

髙橋政記氏は他にもtuki.、ado、EveなどのMVを手がけています。tuki.の「晩餐歌」も1億再生を超えました。

星街すいせいのタレントマネジメントをNERDが行うことから、音楽において最高のパフォーマンスを発揮する体制を整えたと見ることができます。星街すいせいはもともと動画配信の頻度が低いタレントでしたが、独立後はいっそう音楽に本腰を入れることになるのではないでしょうか。

星街すいせいは自身のXにて、3月22日のライブ映像は「うちのStudioSTELLARチームが制作してくれました」とコメントしています。すなわちNERD協力のものであり、すでに音楽活動において重要な位置を占めていることがわかります。

ホロライブに所属するタレントに士気にも影響か?

カバーは今回の独立について、「本件は適時開示基準には該当しませんが、有用な情報と判断して」開示したと説明しています。このことから、通常の卒業ではなく独立であり、協業体制は継続することを強調する意図が伝わってきます。株価に与えるインパクトを最小限に留めようとするものでしょう。

「Studio STELLAR」は“新規のグッズ販売”を手がけることになるため、これまでのグッズはカバーが引き続き販売することになる模様。カバーはグッズの売上比率が高い会社で、人気VTuberが卒業すると在庫の評価損を出すなど甚大な影響が生じます。協業体制の構築によってそれを抑えることができるでしょう。

「さくらみこ」との人気ユニットであるmiCometも解散しないと宣言しており、コラボやユニット活動は継続的に行われる見込み。カバーにとっては卒業ほどの大きなマイナスインパクトにはなりません。しかし、新規グッズの販売やファンクラブの運営、ソロアーティストとしての活動が新会社に移行する影響は大きいはずで、株価が下がって回復しないことがそれを示しています。

また、ホロライブに所属するVTuberの士気が下がる可能性もあります。

星街すいせいはVTuberとして初めて「THE FIRST TAKE」に出演。有名なビジネス誌Forbesの30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワード「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2025」にも選出されました。VTuberでこの賞に選ばれるのは異例であり、それだけ注目されているアーティストです。

歌唱力をウリにしたいVTuberの憧れとも言えるタレントであり、独立してしまうことの喪失感は大きいものとなるでしょう。

タレントの士気や熱量の醸成は最も難しいもので、カバーの今後のマネジメント力が試されることにもなりそうです。

VTuberの活動をサポートする基本に立ち返る必要が…

星街すいせいの独立は極めて特殊なケースであることは間違いありません。もともと個人VTuberとして活動をスタートしているからです。

通常、VTuberのキャラクターIPはマネジメント会社に帰属しています。それが会社の一番の強みになっているポイントでもあります。多くの人気VTuberはホロライブに所属してから活動をしているため、星街すいせいを手本とする連鎖的な独立という事態は招きづらいでしょう。

一方で、今回の独立騒動はVTuberの多種多様な活動スタイルがあることを浮き彫りにしました。そもそも星街すいせいがホロライブに所属したのは、個人でVTuber活動することに限界を感じたためです。ホロライブのサポートを得て急速に知名度を高めたという背景があります。

カバー側から見ると、協業体制をとっているとはいえ、人気絶頂期に個人として独立することは痛手。大切に育ててきたからこそ、その痛みも大きいでしょう。新規グッズの販売の権利なども移行するため、収益性も低下する可能性があります。

カバーはモバイルゲーム「hololive Dreams」やバーチャル空間の「ホロアース」の開発など新たな事業展開に力を入れていますが、VTuberの活動をフルサポートし、タレントの才能を最大限に発揮できる体制の構築が必要になっているようにも見えます。

文/不破聡

Author
大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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