2026年3月30日、円相場が160円台となったことを受け、財務省・三村淳財務官は、記者団に対して「この状況が続けば、そろそろ断固たる措置も必要になる」と市場介入への動きを示唆した。
これに対して日銀の植田和男総裁は、同日の衆院予算委員会において「影響を見極めながら、適切に金融政策を判断」と答弁。慎重な姿勢を見せた。このようにさまざまな情報や思惑が交錯する中、今後のドル円相場を占う分析リポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から届いているので概要をお伝えする。
中東情勢を巡る不透明感の強まりを受け、ドル円は27日に一時160円40銭台をつける展開に
ドル円相場は3月27日のニューヨーク外国為替市場で一時1ドル=160円40銭台をつけ、2024年7月以来1年8カ月ぶりのドル高・円安水準に達した。
トランプ米大統領は前日の26日に、イランのエネルギー施設への攻撃を4月6日まで延期すると表明したが、イスラエル軍が27日、イラン各地で核関連施設や重工業施設を空爆したことで、中東情勢を巡る不透明感が強まり、「有事のドル買い」が進んだと推測される。
その後、米紙ワシントン・ポストは3月28日、複数の情報筋の話として、米国が「数週間に及ぶ地上作戦の準備」を進めていると報じると、イランのガリバフ国会議長は翌29日、「交渉を持ちかけながら地上戦を計画している」と米国を非難した。
米・イランの停戦交渉が一段と見通しにくくなるなか、ドル円は週明け30日の日本時間の朝方、再び160円40銭台をつけている。
■停戦交渉に目立った進展なければ161円95銭近辺が視野、今後も神経質な相場が続くと予想
ドル円相場はこの先、米・イランの停戦交渉の進展や、原油相場の動向をにらみ、かなり神経質な相場展開が見込まれている。
交渉に目立った進展がなく、原油高が一段と進んだ場合は、ドル高・円安方向の動きが続くと予想され、2024年7月3日につけた161円95銭近辺が視野に入ると考えられる。
仮に、交渉決裂や米国の地上作戦展開という流れになれば、原油が急騰。ドル円は節目の165円が意識されやすくなるだろう。
一方、パキスタンのダール副首相兼外相は3月29日、近日中にパキスタンの首都イスラマバードで、米国とイランによる和平協議を主催すると述べており、協議が進む可能性も残されている。
米国とイランの間では、停戦の条件で隔たりがあるものの(図表1)、協議が着実に進展していけば、原油高が一服して、156円水準(イラン攻撃前の2月27日のニューヨーク市場終値)に向かって、徐々にドル安・円高が進むことも想定される。

■今週は為替介入の有無が焦点、財務省高官からの発言に加え原油相場の動きにも注意が必要
ドル円が1年8カ月ぶりのドル高・円安水準をつけたことで、今週は改めて、政府・日銀による為替介入の有無に市場の焦点が集まっている。
直近では2024年にドル売り・円買いの為替介入が行なわれたが(図表2)、現時点でドル円は160円をつけており、足元のボラティリティは期間1週間、1か月ともに10%を超えていることから、為替介入が行われても違和感のない状況ではある。

注意すべきは片山さつき財務相や三村淳財務官の発言で、最近の「断固たる措置」に加え、「常に準備はできている」、「急激な変化は容認できない」などの発言がみられた場合は、為替介入の実施は近いと推測できる。
また、片山氏、三村氏とも原油先物市場の投機的な動きも注視していることを踏まえると、原油先物価格の大幅な上昇を機に、為替介入に踏み切ることも考えられる。
構成/清水眞希







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