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しつこいセールスはない?売り手にやさしいMOTAの中古車売買サービスの仕組みとは

2026.04.01

環境省がこの1月に公表した『リユース等の促進に関するロードマップ(素案)』によると、日本のリユース市場規模は2024年で約3兆5000億円と推計される。そのうち、自動車が約1兆9000億円と約55%を占めている。個人が持つ「リユース資産」としては自動車が圧倒的に大きく、重要なことがわかる。

自動車をリユース市場に出す場合は、いわゆる「下取り」以外では、ネットの自動車一括査定を試すのが一般的になっている。しかし、その場合、多数のディーラーによる「電話ラッシュ」や「メール・ラッシュ」に困惑したり、「何故その価格なのか?」が良く見えてこない「不透明な査定価格」といった課題がある。価格見積もりは、どうしても売る側の素人と買う側のプロとの「情報の格差」があり、売る側の立場が圧倒的に弱い。

その、いわば中古車売買の《非対称性》(売る側=素人と業者=プロの知識差)をテクノロジーで解決しようとしているのがMOTA(モータ)社だ。

2018年からMOTAを率いる代表取締役社長の佐藤 大輔氏にインタビューした。

「もともと、中古車売買の一括査定で問題だと思っていたのは、一斉に10社くらいから電話が来て、誰がだれかもわからなくなってしまい、なんとなく最初に話が来たディーラーに決めてしまい、結局は比較しないで売ってしまうようなことが多いと思ってました。あるいは例えば自分で値付けをすると、個人的な愛着心から価格を上げてしまい、高すぎて売れないという場合もあります。中古車売買価格自体がブラックボックス化していて、売る側に知識も情報もないから、安く売ってしまい、そうするとより良い新車(あるいは次の中古車)を買う事ができないという事になります。MOTAは、この状況を改善するためにモビリティテックを掲げて事業を推進しています」

MOTA代表取締役社長 佐藤大輔氏

実は未成熟な日本の中古車市場

最初に触れたように日本の中古車市場は一見すると巨大だが、実は世界的には「遅れている」と言える。

例えばアメリカでは、中古車売り上げが新車売り上げの約2・5倍にものぼる(2025年の推定で中古車売買は約3800万台に対して新車売買は約1600万台)。欧州でも中古車と新車の売り上げ台数比はほぼ同様。

だが、日本ではほぼ1・4対1(中古車が約650万台に対して新車は約460万台)にとどまる。また日本から海外への中古車輸出台数は約120万台になり、ある意味で日本の中古車市場からリユース資源が流出しているともいえよう。

「MOTAの査定システムの最大の特徴は、最も高い査定額を入札したディーラーの上位3社にしか、ユーザーの情報を開示しないということにあります。この《事前査定方式》つまり高値の3社だけとやり取りする仕組みで特許を取得しています。またユーザーは、最大20社の概算査定額をWeb上で比較可能で、利用から成約まで無料でご利用いただけます」

この限定3社のみとのやり取りという仕組みは、最初はディーラー側から反発もあったという。大手ディーラーは少しでも早く多くの電話をかけるために、電話アポ取りのコールセンターを設け、また多くの営業マンを用意して物量戦で営業をかけるのが普通だ。そのコストが査定価格に乗っかってしまう可能性もある。しかし、逆に例えば地方の中小のディーラーなども参加することができるようになり、これまでの物量戦が主体だった市場から変化して、車両によっては中小ディーラーの方が高値で買い取れるケースにおいても、その機会を逃さずマッチングできる状況を生み出している。

上位3社までの査定結果が届く。

「それまでの物量戦的な一括査定では負けてた小さな業者さんが、『価格ならウチも勝負できる』と入ってきてくれました。やがて大手業者さんも参入してくれた。小さな買取店の社長さんが、実は、オーナーのその車への愛着心をとても理解してくれて、良心的な価格を付けてくれる、なんていう事もあると思うんです」

近江商人の「三方よし」を最先端テックで実現

また「リアル×IT」、つまりネット完結ではなく、リアルな実車査定をサポートする「MOTA車買取サポート」サービス(成約時の手数料3・5万円〔税抜〕)も展開している。

実は、中古車の実車査定も大きな負担になる。何人もの営業マンとアポ取りをし、その都度、ざっと1時間くらいの時間的な負担も迫られる。

しかし、限定数だけの実車査定で済み、また詳細な部分まで(例えば細かいキズの様子を画像で送るなど)実車の情報をやり取りしておけば、時間的にも負担は軽くなる。業者側にとっても営業マンを無駄に動かしてしまうコストが抑えられるというメリットがある。トラブルの際にはMOTAの担当者が間に入ってくれるというのも安心だ。

「このサービスなら、今までは実車査定に来るのが難しかった遠隔の業者さんが入札できます。人手のない地方の小さな業者さんにもメリットがあり、ユーザーの方にもより買取価格が上がる可能性がある。売買どちらの側にもフェアなトレードになります」

つまり中古車市場の「フェアトレード」を実現するというのが、MOTAのモビリティテックの目標なのだ。

筆者も実際に所有車をMOTAの査定に出してみたが、業者から届く電話やメールは限定的で、また「今回は見送ります」と返事をすると「またの機会に宜しくお願いします」というように、しつこい営業には悩まなかった。MOTAの担当者からも、その後の状況についての丁寧なフォローのメールが来て、精神的な負担は低かった。

スマホ使用時の例。MOTAサイトから必要事項を入力して査定を依頼する。

「もう一つ、ディーラーとの間のお支払いのトラブル、例えば実車を持っていかれてしまったのに、約定した金額が支払ってもらえない、というようなトラブルが時に起きることがあります。これに対する新しいサービスとして、昨年から『あんしん決済サービス』をスタートしました。車を売却する際、代金の支払いをMOTAが仲介するエスクローサービス(第三者預託)です」

査定に入札した業者とのやり取りのイメージ

具体的には、(1)査定結果から「あんしん決済可」と表示されている買取店を選ぶ。(2)実車査定・契約時に、このサービスを利用する旨を買取店へ伝える。(3)マイページで「あんしん決済」を申し込むボタンを押す。(4)買取店がMOTAへ代金を送金し、受領通知が届くのを待つ。(5)通知後、7日以内に車両と関係書類を引き渡す。(6)買取店が車両受領連絡をMOTAに行った後、MOTAから口座へ入金がされる、というサービスだ。費用は車両代金の1%(最大3万円・税別)だが、前述の「MOTA車買取サポート」を利用する場合にはその中に「あんしん決済」の費用も含まれる。

「あんしん決済」のイメージ図。買取業者からの入金通知が来てから実車を渡すので安心だ。

「小さな業者さんからは、MOTAの信用でお客様も安心して頂けるので、メリットが高い、という声もお伺います。私はMOTAのサービスは、社会貢献にも繋がると信じています。これからも、自動車流通の透明性と取引の公正性を追求し、『世界中に、もっとフェア・トレードを』というミッションを実現したいですね」

「三方よし=売り手よし、買い手よし、世間よし」の3つの視点を持つのが、古来の近江商人の商売の基本という。MOTAは最先端テックを使いながら、この近江商人の知恵を実現しようとしているようだ。あなたも「売り手よし」を体験してみてはいかがだろう。

https://autoc-one.jp/ullo

撮影/加藤大貴 取材・文/福田 誠

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