腹部脂肪は心不全リスクと関連
心不全リスクを知りたいのなら、BMIではなく腹部脂肪に注目する必要があるようだ。新たな研究で、腰回りに蓄積された脂肪は、身長と体重から算出されるBMIよりも心不全リスクとの関連が強いことが明らかになった。国立陽明交通大学(台湾)のSzu-Han Chen氏らによるこの研究結果は、米国心臓協会(AHA)の疫学・生活習慣科学セッション(EPI/Lifestyle Scientific Sessions 2026、3月17~20日、米ボストン)で発表された。Chen氏は、「この結果は、体重は正常範囲でも心不全を発症する人がいる理由を理解する手がかりになる」と述べている。
この研究では、ミシシッピ州ジャクソンで行われている心臓病の継続的研究(Jackson Heart Study)の参加者である1,998人のアフリカ系米国人を対象に、2016年12月31日まで追跡し(中央値6.9年)、腹部脂肪と心不全リスクとの関連と、その関連に炎症がどの程度関与しているかを検討した。試験参加時の年齢は35~84歳(平均年齢58歳)で、女性が36%を占めており、心不全を有する者はいなかった。
腹部脂肪の指標として、体重、BMI、ウエスト周囲径、ウエスト身長比を用いた。また、血液サンプルを用いて、炎症性の指標である高感度C反応性蛋白(hs-CRP)を測定した。
追跡期間中に112人が心不全を発症した。解析の結果、過剰な腹部脂肪は心不全リスクの上昇と関連していた。具体的には、ウエスト周囲径が大きい場合、心不全リスクは31%、ウエスト身長比が高い場合、同リスクは27%上昇した。一方、BMIは心不全リスクと関連していなかった。
また、hs-CRP値が高い人は心不全を発症する傾向が強いことも示された。さらに、腹部脂肪と心不全リスクとの関連のうち、約4分の1~3分の1は炎症によって説明された。
Chen氏は、「ウエスト周囲径や炎症の状態をモニターすることで、医師はリスクの高い人を早期に特定でき、症状出現前に心不全の発症を減らす予防策に重点を置くことができる可能性がある」と説明している。
今回の研究成果をレビューした、米ノースウェスタン大学心血管疫学分野教授のSadiya Khan氏は、「この研究は、ウエスト周囲径などの中心性肥満の指標を日常の予防医療に取り入れることの重要性を示している。中心性肥満などの心不全の上流要因を理解することは、心不全リスクを認識し、修正する上で重要だ」と述べている。
研究グループは今後、腹部脂肪や炎症が心不全にどのように影響を及ぼすのか、炎症の抑制が予防に役立つのかどうかを調べる研究が必要との見方を示している。
なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2026年3月18日)
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(参考情報)
Press Release
https://newsroom.heart.org/news/extra-belly-weight-not-bmi-was-a-stronger-predictor-of-heart-failure-risk-inflammation
構成/DIME編集部
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