年度が始まり、健康診断を控えている人も多いだろう。実施の1週間ほど前から焦り、大幅な生活改善を試みる人もいるかもしれないが、残念ながら数値はすぐに大きく変化するものではない。
とはいえ、忙しいビジネスパーソンにとって、大きく生活習慣を変えて継続するのはハードルが高い。そこで、1~2か月後の健康診断を目標に、数値改善が期待できる〝ちょい改善〟ポイントについて、ちぐさ内科クリニック覚王山院長の近藤千種先生に話を聞いた。
1〜2か月で改善できるポイントは?

健康診断では、問診、身長・体重・腹囲、血圧、視力・聴力、レントゲン、心電図、尿検査、血液検査などが行われるのが一般的だ。
「血液検査では、肝機能、貧血、脂質、血糖値などのチェックが行われます。尿検査では、尿糖や尿蛋白などですね。これらの中で、1〜2か月といった比較的短期間の生活改善で変化が期待できるのは、体重、腹囲、血圧、中性脂肪、空腹時血糖、γGTPあたりです」
なにかと気ぜわしい新年度。生活習慣を変えようと思っても、大きく変えることは難しいが「ちょい改善」を積み重ねることで、これらの数値の変化は十分期待できるという。
「ただし、HbA1c(過去1~2か月の血糖状態を反映する指標)やLDL(悪玉)コレステロールは、個人差はあるものの短期間では大きな変化が出にくい傾向があります。これらは、もう少し長期で経過をみていただきたい数値です」
3つの「ちょい改善」

生活習慣の見直しといえば、やはり運動と食生活が中心になるが、「ちょい改善」をするうえでも、この2つの見直しは欠かせないという。
(1)運動
「運動に関しては毎日10〜15分多く歩くだけでも十分です。頑張ってジムに行く、毎日1時間以上歩くといったことをしなくても、数値の改善は期待できます。駅まで遠回りする、階段を使う、昼休みに少し歩くなど、日常の中で身体活動量を増やすことが大切です。継続することで、血圧や体重、腹囲、中性脂肪などの改善が期待できます」
脂質異常症や高血圧の改善としてWHOが推奨する週150分以上の中強度運動も、日々の積み重ねで十分達成できる範囲だ。
(2)食生活
「食事はまず夜を見直してほしいです。3食食べているのに、夜食を摂ると、総カロリーが過剰になりやすい。また、朝昼を軽くして、夜にまとめて食べる人もいますが、活動量の少ない夜間はエネルギーが消費されにくいため夜のドカ食いは控えた方がよい習慣です。体重増加や中性脂肪の上昇、血糖値の悪化につながる可能性があります」
健康診断前だけ極端なカロリー制限をしても、継続が難しく、リバウンドにつながる可能性も。無理のない範囲での継続が重要だ。
「夕食を早める、炭水化物を少し減らす、加工食品や揚げ物の頻度を減らすといった、小さな修正は続けやすいと思います。また、野菜や大豆など食物繊維を増やすこともおすすめです。引き算だけでなく、足し算の工夫も大切です。こうした習慣の積み重ねが中性脂肪や血圧、体重の改善に繋がり、結果として脂質代謝にも良い影響が期待できます」
血圧対策として比較的短期間で効果が期待できるのは「減塩」だ。
「外食時に丼より定食を選ぶ。ハムやソーセージ、インスタント食品、カップ麺の頻度を減らすことも有効です。ラーメンのスープを飲み干さないといた工夫もよいですね。塩分摂取量を厳密に管理するのは難しいので、まずは〝少し意識して減らす〟ことから始めてみてください」
歓迎会シーズンで飲酒量が増えやすい時期でもある。アルコールについては、まず自分の摂取量を把握することが重要だという。
「レコーディングダイエットのように飲酒量も記録してみてください。“ビールを何杯”ではなく、“純アルコール量でどれくらい摂っているか”を把握することが大切です。厚生労働省は1日20g程度を目安としています。それに基準に自分がどのくらい摂取しているのかを知り、超えている場合は徐々に減らしていきましょう。アルコール量を見直すことで、γGTPや中性脂肪、体重、血圧の改善が期待できます」
アルコール20gの目安は、ビール500ml、日本酒1合、ワイン200ml、ウイスキーだとダブル1杯程度だ。
(3)睡眠
最後に、なにより大事なことが睡眠だという。
「忙しくとも睡眠は削らないでほしいです。6時間未満の睡眠が続くと、生活習慣病リスクが高まる可能性が指摘されています。睡眠不足になると、食欲調整にかかわるホルモンや脳の報酬系に影響し、暴飲暴食などの行動につながりやすくなります」
甘いものや高脂肪食品、ジャンクフードを欲しやすくなることで、食欲コントロールが難しくなり、結果として体重増加や肥満のリスクが高まる。
「それに伴い、血圧や血糖値にも影響が出やすくなるため、生活習慣病リスク全体にかかわってきます。も高まるわけです睡眠時間を確保し、平日と休日で大きく生活リズムを崩さないことも重要です」
健康診断は“気づくためのもの”
「健康診断の結果には一喜一憂してしまいがちですが、結果は合否ではありません。本来の目的は、無症状のうちに将来の病気のリスクを拾い上げることです。」
要観察や要精査といった結果が出た場合も「悪かった」と捉えるのではなく生活を見直すきっかけとして前向きに受け止めることが大切だ。
「結果だけを見るのではなく、前年との変化を見ることも重要です。自分の体の傾向を知ることが、将来の健康につながります」
近藤千種医師プロフィール
内科学会認定内科医、抗加齢医学会認定専門医。帝京大学医学部を卒業後、総合犬山中央病院、ちくさ病院副院長などを経て2023年10月名古屋市内に「ちぐさ内科クリニック覚王山」を開院。
取材・文/田村菜津季
「健康診断に行ったら、受け付けから大行列」ではテンションが下がってしまいますよね。ストレスなく、スムーズな健診受診には待ち時間も考慮したスケジュールが大切です。…







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