南アフリカは、1600年代以降の植民地時代の影響を受け、アフリカ文化だけでなくヨーロッパやインドなど多様な文化の影響が見られる国である。オランダやイギリスの入植者によってヨーロッパの食文化が伝わり、さらに1800年代半ば以降にはインドから渡ってきた人々の影響も加わり、スパイスを使った料理が広まったと言われる。こうした異なる文化の融合は、現在の食文化にもはっきりと表れている。世界的なファストフード店であるマクドナルドでも、南アフリカならではのブーリー(Boerie)バーガーといった現地特有のメニューを味わうことができる。
今回、そのバーガーを試してみようと思い、近所のマクドナルドへ向かった。店舗によって広さや雰囲気は違うようだが、店内は想像していたよりもモダンで、内装も綺麗。注文はタッチパネル式の機械で行い、カウンターで商品を受け取る仕組みだ。さらに2階席もあり、広々としていた。一方で、安全対策のため警棒を持ち腰には手錠をつけた警備員が入口付近に立っており、比較的安全な場所ではあるものの、南アフリカならではの治安への意識の高さも感じられた。

いざ実食!ブーリーバーガーを味わう
今回注文したバーガーは、人気商品のブーリーハッシュポテトと、ブーリーエッグバーガーの2点。


参考までに、日本の朝マックで注文できるベーコンエッグマックサンドは300円(2026年3月現在)。ビッグマック単品は南アフリカで54.90ランド(日本円で513円)で、日本では500円。店舗によって多少違いはあるのかもしれないが、日本とほぼ同じ水準でファストフードとしては納得感のある価格帯といったところではないだろうか。
通常のバーガーと同じく牛肉を使用していて見た目は一般的なパテと変わらないものの、一口食べると味がまったく異なる。スパイスやハーブが効いたブルボス特有のほのかな風味を感じられ、ハッシュポテトのサクサク感も量もちょうど良かった。またピリッとした辛さがパテと合い、ハラペーニョソースが味を引き立てているように感じた。個人的には、ケチャップの味が強いエッグバーガーよりも、ハラペーニョソースの方が好みだった。

ちなみに、辛さが特徴的なメニューは他にもあり、ハラペーニョソースを使ったチキンバーガーや、チーズソースとハラペーニョが上に乗ったフライドチキンやポテトなどもある。そしてマックカフェでは、ドーナッツやマフィン、ケーキなども注文できる。


文化の融合によってできた食文化
これほどブーリーやスパイシーな味付けのものが好まれている背景には、南アフリカの食文化の歴史が関係しているのだろう。
ブーリー(boerie)とは、南アフリカの伝統的なソーセージ Boerewors(ブルボス) の略称。南アフリカの公用語の一つであるアフリカーンス語の boer(農夫)とwors(ソーセージ) に由来する。豚肉や羊肉を混ぜる場合もあるが、主に牛肉を使い、コリアンダーや黒胡椒、ナツメグ、クローブなどのスパイスが効いた味が特徴なソーセージだ。1600年以降にオランダからの入植者(のちにアフリカーナーと呼ばれる人々)が持ち込んだソーセージ文化が発端となり、南アフリカの環境や手に入りやすい素材と合わさって独自の味として定着したそうだ。
ちなみに、実際のブルボスはこのような形で長く渦を巻いたソーセージだ。南アフリカでは家族や友人と過ごす際にBraai(ブラーイ)という南アフリカ式BBQをするのだが、その場で必ず見るほど定番の一品である。

また1800年代半ばには、インドから南アフリカへ渡ってきた人も多い。特に東側にあたるクワズールー・ナタール州のダーバンには、インド系南アフリカ人の大きなコミュニティがあり、インドカレーなど香辛料を使った料理も広く普及している。さらに、隣国モザンビークを通じてポルトガルの食文化の影響も伝わり、唐辛子文化が根付いたそうだ。実際、ペリペリチキンといった辛さが特徴的な料理もレストランでよく見かける。
このように、南アフリカの食文化は歴史の影響を色濃く受けており、身近なファストフード店でもその特徴を楽しむことができる。ブラーイの場以外ではなかなか味わえないブルボスだが、南アフリカを訪れる機会があれば、ぜひマクドナルドでスパイスとハーブが香る朝マックを試してみてほしい。
取材・文/伊藤りりか
日米で育ち、日本で約10年間の社会人生活を送ったのち、国際結婚を機に再び海外へ。現在、南アフリカを拠点に活動中。(世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員
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