2026年3月11日より、iPhone 17シリーズの廉価モデル「iPhone 17e」が発売された。以前のiPhone SEシリーズは数年に一度更新されていたが、昨年のiPhone 16eより、毎年廉価モデルが更新されることになったようだ。
iPhone 16eも“お買い得iPhone”として大きな話題を呼んだが、iPhone 17eはさらにブラッシュアップされ、ストレージ倍増、MagSafe対応といった話題を持ちながら、価格は据え置きの9万9800円からとなっている。ここでは、1週間ほどであるがiPhone 17eを実際に試した感触を紹介していく。
コンパクトで質感のいいiPhone
iPhone 17eは本体サイズが146.7×71.5×7.80mm、質量169g。iPhone 16eからサイズの変更はないが、2g重くなっている。
廉価モデルではあるものの、背面のガラス、側面のアルミニウムフレームの質感はとてもよく、安さを感じない。特に背面はかなりさらさらとした手触りになっており、ケースを着けずに使っても心地よい質感。滑りやすさはあるものの、本体がコンパクトなため、落下させてしまう心配もあまりなかった。
特に今回試しているソフトピンクの色合いは、さわやかな淡いピンク色となっており、だれが持っていても違和感のない、かわいらしい仕上がり。iPhone 16eはブラック、ホワイトの2色だったこともあり、選択肢が増えているのもうれしいポイントと言える。
側面右側にサイドボタン、左側に音量調節ボタンというお馴染みの構成を採用。左側のアクションボタンも踏襲されているが、前モデルから引き続き、カメラコントロールは非搭載となる。
iPhone 16eを除き、iPhone 16シリーズ以降に搭載されるカメラコントロールは、使い慣れると利便性を感じることがあるものの、誤操作の原因ともなり得る、評価の難しい機能だと感じる。そもそもiPhone 17eに乗り換えるユーザーは、iPhone 16シリーズよりさらに前のモデルを使用している可能性が高いことからも、無理にカメラコントロールを搭載する必要はないだろう。それよりも低価格を取ったと考えれば、十分納得できる仕上がりだ。
コンパクトな6.1インチディスプレイは画面強度が向上
ディスプレイサイズは6.1インチで、iPhone 17ファミリーの中では最小。上位モデルに慣れていると、ベゼルの太さはやや気になるが、使いにくさを感じるレベルではない。近年は特に少なくなった、コンパクトなサイズのスマホとして、文字入力のしやすさといったアドバンテージのほうが大きく感じる。
今回は試用機でのレビューとなるため強度を試せてはいないが、「Ceramic Shield 2」を搭載したことで、ディスプレイ強度は向上している。ピーク輝度1200ニトとそこまで高くない数字ではあるが、低反射ディスプレイとなったことで視認性が高くなっているため、ガラスフィルム等を着けなくてもある程度安心して使える強度になっているのはうれしいポイントとなる。
ディスプレイ上部には、一部がへこんだように表示される「ノッチ」デザインが採用されている。近年のiPhoneシリーズには、インカメラ部分が浮いている「Dynamic Island」が採用されているため、古臭いデザインだと感じる部分もある。
では、実用上問題があるのかといわれると、個人的にはないと感じる。そもそもDynamic Islandは、本体上部のベゼルから少し離れて配置されている関係で“異物感”が強く、ノッチよりも画面を侵食しているようにすら感じることがある。好みの問題ではあるが、Dynamic Islandを無理に搭載するのであれば、安定したノッチのデザインを踏襲しても問題ないだろう。
ディスプレイ性能で無視できないポイントが、リフレッシュレートが60Hzにとどまる点。iPhone 17シリーズは、4機種のディスプレイが120Hzのリフレッシュレートとなっており、明確に機能差を感じる部分だ。これにより、iPhone 17eは画面の常時表示機能にも非対応となる。
果たしてどこまでリフレッシュレートを求めるのかという話にもなるが、120Hz駆動に慣れている人は、どうしても残像感が気になるだろう。特にゲームアプリのプレイ時や、Webページを素早くスクロールするシーンでは違いを感じる。もちろん、一般的な利用で不具合が起きることはないが、Androidスマホでは1桁万円台のスマホでも高いリフレッシュレートに対応している機種が多いため、Androidスマホからの乗り換え時には違和感を覚える可能性はある。
問題はないが物足りなさはあるカメラ
アウトカメラは「48MP Fusionカメラシステム」を採用。光学式手ぶれ補正の仕様といった細かい部分を除き、iPhone Airとほぼ共通のスペックとなる。
昨年のiPhone 16e、iPhone Airと、およそ半年に一度ペースで話題になるシングルカメラ。筆者は今回試用しているiPhone 17eだけでなく、iPhone Airを常用しているが、評価としては「問題はないが、物足りなさはある」だ。
シングルカメラとはいえ、高解像度を活かした2倍光学相当のズーム、10倍のデジタルズームは利用可能。日常的に10倍以上までズームして撮影したいシーンは少なく、望遠カメラは「ベターではあるがマストではない」ことを体感している。特にiPhone 17eやiPhone Airに搭載される、A19シリーズのチップは、画像処理の性能向上により、写真の仕上がりは非常にクリアになっている。ただし、iPhoneシリーズ全体に共通するが、夜景撮影のノイズはやや気になる。
物足りなさを感じるのは、超広角カメラがない点。頻繁に使うわけではないが、大きな建物を撮影する際や、集合写真を撮る際などには、物理的に全体を収められないシーンがある。2台以上のスマホを携帯する人は別として、iPhone 17e単体で外出すると、撮影できるシーンに限りが生まれるのは事実だ。
ほかのiPhone 17シリーズと差別化されている点としては、フロントカメラも挙げられる。12MPと解像度が低く、デュアルキャプチャやビデオ通話時のセンターフレーム機能など、使えない機能がある点には注意が必要だ。
A19チップの処理能力にMagSafe対応で利便性は向上したが物理SIMは非対応
搭載チップセットはA19チップ。GPUコア数は異なるが、ベースはiPhone 17と同じものとなる。普段使いにおける動作は非常にスムーズで、安さを感じさせないパワフルさが特徴となる。
ヘビーなゲームをプレイしていると、描画のカクつき、本体の発熱を感じるが、そもそもヘビーユースを想定された端末ではないため、不満を感じるわけではない。先にも触れたように、60Hz駆動のディスプレイがやや気になるが、これは筆者が120Hz駆動に慣れているための違和感だろう。
バッテリーはビデオ再生最大26時間、ビデオストリーミング再生が最大21時間で、30分で最大50%まで充電できる高速充電に対応している。体感としてはiPhone Airとあまり変わらない程度となっており、丸一日の外出であれば、途中で一度充電したくなる日もある。
バッテリー関連で前世代から明確にアップデートされたポイントが、MagSafeへの対応だ。近年流行しているAIボイスレコーダーといった周辺機器が取り付けられるだけでなく、MagSafe対応のモバイルバッテリーも使用できるため、やや心もとないバッテリー性能をサポートできる。MagSafeでの充電やアクセサリーの装着は、慣れるとなくてはならないと感じるほど便利なため、アップデートは素直に喜ばしいポイントといえる。
前世代からの変更点としては、ほかのiPhone 17ファミリーと同様に、物理SIMスロットを廃止し、eSIMのみの対応となった点も挙げられる。筆者のようにしょっちゅうSIMを入れ替える人からすると、やや面倒な仕様ではあるが、iPhone 17eユーザーの多くは、1台を長く愛用する人が多いと考えられるため、深く気にするところではないのかもしれない。
ストレージ倍増で価格据え置き。つまり実質値下げ
iPhone 16e、iPhone 17eはどちらもApple Storeでの販売価格が9万9800円からとなる。ただし、iPhone 17eは前モデルに用意されていたストレージ128GBがなくなり、256GBからのスタートとなる。円安といった値上げの下地が多数ある中で、実質値下げといえる攻めた価格設定といえる。
実質値下げが可能な要因は多数想像できる。筐体デザインは前モデルからほとんど変わっておらず、チップセットはiPhone 17とほぼ共通のA19チップ。iPhone 17eは、新しい要素をふんだんに盛り込んでいるわけではないものの、廉価モデルとして低価格を維持しながら、使い勝手をちょっと良くするアップデートが施された1台といえるだろう。10万円切りで普段使いには問題ない性能を有したモデルとして、多くのニーズに応えられる端末に仕上がっている。
■販路の広さもiPhone 17eの魅力
安さが魅力のiPhone 17eだが、「買いやすさ」も大きな特徴。従来のiPhoneシリーズと同様に、主要4キャリアで取り扱われているのに加え、UQ mobile、ワイモバイルといったサブブランドでも直接販売されており、お得なプログラムが利用できる。
通信キャリアのサブブランドは、メインブランドと比べて特典等が少ない代わりに、通信費を抑えやすいのが特徴。iPhone 17eのような廉価モデルとの兼ね合いがよく、スマホ本体や通信費にあまりコストをかけたくないという層にも、広く普及できるだろう。
■競合Androidメーカーのミドルクラス端末と真っ向勝負をしかけるアップル
10万円弱という価格帯には、AQUOS R10やarrows Alphaといった、ミドルからミドルハイの性能を持つAndroidスマホが並ぶ。日本での正式なアナウンスはまだないが、Pixel 10aといった売れ筋端末もここに並ぶことになるだろう。
アップルとしては、以前は数年に一度更新されるiPhone SEシリーズにてこの領域を補ってきたが、端末ラインアップの考え方を改め、2年連続で廉価モデルが登場する運びとなった。
PixelシリーズでのAirDrop対応に加え、中国メーカーはアップル製品との連携を強化する方針を取っており、近年はOS間にあった障壁が徐々になくなっている印象を受ける。また、スマホの基本性能が年々上昇しており、安価な5万円から10万円程度のAndroidスマホでも、安定感のあるパフォーマンスを発揮するモデルが増えてきている。
アップルとしては、10万円越えのラインアップだけでなく、安価なモデルもしっかりと更新していくことで、新規ユーザーの獲得、既存ユーザーの乗り換え先を提示するといった狙いもあるだろう。ハイエンド、フラッグシップモデルが20万円を超え、一括払いでの購入がためらわれるようになってきているからこそ、10万円未満の価格帯で競争が激化しているというわけだ。
iPhone 17eは、アップルらしい安定感のある動作を、比較的安価に享受できる優秀なデバイスに仕上がっている。目新しさ、ユニークさには欠けるが、多くのユーザーが「これくらいでちょうどいい」と思える仕上がりになっているのが、最大の美点だといえるだろう。
取材・文/佐藤文彦







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