順天堂大学医学部 小林弘幸教授による解説
■コロナ禍育ちの令和キッズ、健康意識の高さはコロナ禍の影響が大きい
今回の調査結果を見て、やはりコロナ禍の影響が大きいと感じました。およそ3年間にわたったコロナ禍は長すぎたのだと思います。この春に卒園する子どもたちは、令和生まれでコロナ禍育ち。ご家庭、園、メディアと、常にコロナ対策の情報に触れ、実践してきた子どもたちです。だからこそ健康に関する知識もあるし、行動できているのだと思います。「免疫」という言葉も、小学校に上る前に子どもたちがこれほどまでに知っているとは驚きました。以前であれば考えられない結果です。
■家庭や園での教育とメディアからの情報は、子どもの知識と行動に良くも悪くも大きく影響
この結果から何を読み解くかというと、読み書きさえまだ不十分な未就学児でも、ご家庭、園、メディアからの情報により、知識を吸収し実践できるようになり、健康について理解し習慣化できるということです。感染症対策において、大人以上に対策が難しい末端の世代がここまでできるというのは頼もしいですね。
もし仮に、今後新しい感染症が流行したとしても、今の子どもたちの知識と経験があれば、対策しやすくなるんじゃないかと思います。一方で、これだけ急速に浸透できたということは、たとえ間違った知識であっても同様に吸収し広まってしまう危険性があるということでもあります。小さい頃の教育はとても重要ですが、子どもたちに伝える側の正しい理解は不可欠だと改めて感じました。
■コロナ禍で得た貴重な健康行動を、いかに「習慣化」へと昇華させるかが肝心
子どもが健康行動を自主的に行うようになったことは、コロナ禍で得られた唯一の産物だと思います。これを生かすためには、やはり習慣化が重要です。規則正しい生活、1日3食・腹八分目、日常的な運動、人とコミュニケーションをとるなど、そういったことが自然とできるように身につくと、生活習慣病の予防など将来の健康につながります。ただ習慣化することは、実践以上に容易ではありません。
習慣化のためには、簡単であること、楽しめることが重要です。「◯◯しなさい」と強制するのではなく、一緒にコミュニケーションをとりながら、楽しく続けられる工夫が必要です。例えば、笑顔で過ごすことは免疫力を高めることが知られていますが、子どもが毎日笑顔で暮らせるような習慣を身に付けさせたいですね。
■周りを気づかう“思いやり”は、周囲も自分も守る行動、コロナ禍の3年間で身に付いた“思いやり”を感染症対策だけでなくさまざまな場面で発揮してほしい
今回の調査で私が最も注目したのは、9割以上の子どもが「周囲の体調を気づかうことができる」という点です。周りの人の体調を気づかうことで、周囲からの感染が予防できますし、ほかにも周囲の人との良好な関係性を築くことで、自分自身のストレスも軽減し自律神経が整うなど、自分の健康状態にも良い効果が期待できます。他人のことのようであって、自分の健康状態もアップする方法です。
コロナ禍の3年で育まれた周りを気づかう・思いやるという行動は、感染症対策だけでなく、世の中のさまざまな場面で生かされるものです。社会全体をより良い方向に導いていくためにも存分に発揮してほしいですね。
<プロフィール>
順天堂大学医学部 小林 弘幸(こばやし ひろゆき)教授
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。自律神経研究の第一人者として、数多くのプロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。
<調査概要>
実施期間:2026年2月19日(木)~20日(金)
調査対象:2026年春に幼稚園・保育園を卒園する予定の子どもとその保護者1,000組
調査方法:インターネット調査
構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計値は100にならない場合がある。
出典元:キリンホールディングス株式会社
構成/こじへい







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