WBCでは惜しくもベネズエラに敗れた侍JAPAN。その興奮冷めやらぬ中、春のセンバツが開幕、その後はプロ野球やメジャーリーグの開幕と、まさに球春が到来する。現在発売中の雑誌『DIME』5月号では、「超マニアック野球観戦ガイド」を大特集! 野球解説者に聞く観戦のポイントやYouTubeやデータを活用したディープな観戦術、各球団のマーケティング戦略やあだち充作品と甲子園との絆など、知れば観戦が10倍楽しくなる舞台裏を徹底取材した。
本記事ではプロ野球のマーケティング戦略を紐解いていく。
プロ野球のファン人口は減少しているのに、観客動員数は過去最多を記録! その背景には、球界全体が抱える「危機感」と、コア層の維持からライト層の開拓、さらに「街づくり」まで見据えた多角的なビジネス戦略があった。

スポーツライター
喜瀬雅則さん
1990年に産経新聞社へ入社。プロ・アマ野球の番記者を歴任し、2017年に退社。以後はフリーランスとして雑誌、Web媒体などに寄稿しながらプロ野球界の取材を続けている。著書に『稼ぐ!プロ野球』(PHPビジネス新書)などがある。
動員数最多ながら球界を覆う「アッパー」への危機感
プロ野球の観客動員数が記録的な数字を叩き出している。2025年シーズン公式戦の延べ観客動員数は過去最多の2700万人超を記録し、多くのファンが球場に殺到した。しかし、華やかな数字とは裏腹に、球界には大きな課題が潜んでいるとスポーツライターの喜瀬雅則さんは指摘する。
「実は、入場料収入を基本とする既存のビジネスモデルは、すでに球場の収容人数という物理的なアッパー(上限)に近づいています。プロ野球ファンの人口推移もこの10年間ほぼ横ばいで、その年齢は高齢化している。このままでは、いずれ先細りになるという危機感が球界全体に漂っています」
この未来を回避すべく、各球団は活路を探している。そのアプローチは、熱狂的な「コア層」を繋ぎ止めること、そして新たに「ライト層」を引き込むという〝2軸の両立〟がポイントになる。
コア層に向けた取り組みでは、球場にまた来たいと思わせるほどの高い体験価値が重要になる。例えば埼玉西武ライオンズでは、観客と選手の距離感が近いというホーム球場の強みを推し出した「圧倒的至近距離」をコンセプトに、体験価値を高める施策を展開している。中日ドラゴンズも、26年シーズンに向けて『ホームランウイング』を本拠地に導入した。
「選手のプレーを目の前で楽しみ、ホームランに沸く。コア層はその体験に大きな価値を感じるのです」
一方、福岡ソフトバンクホークス(以下ソフトバンク)はドーム上層階にVIPルームを設け、企業がビジネスの交渉や接待を行なう社交場として活用している。このルームは年間契約に加え、試合単位での貸し出しも行なっている。
「例えば、地元の中小企業が創業記念などでその部屋を借りるんです。おもしろいのが、始球式の権利もプランに含まれている点。ビジョンに社長の名前が出て盛り上がり、そこから新たな看板スポンサーの商談に繋がることもあります」
コア層や企業に特別な体験価値を提供し、また球場へと足を運んでもらう。そうしてより強固になったコア層の地盤が、ライト層開拓の足がかりとなるのだ。


出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング『【速報】2025年スポーツマーケティング基礎調査』、日本野球機構『セントラル・リーグ 年度別入場者数(1950~2025)』『パシフィック・リーグ 年度別入場者数(1950~2025)』をもとに編集部作成
プロ野球のファン人口はここ20年でなだらかな減少傾向をたどり、直近10年は横ばいで推移。一方、25年の観客動員数は史上最高に。リーグ別ではやはりセ・リーグが強いものの、パ・リーグの勢いも見逃せない。
CASE 1|北海道日本ハムファイターズ
野球がない日も人を集める街に『Fビレッジ』公式IPも貢献
2025年の『Fビレッジ』来場者の半数以上が、公式戦以外の目的だった。「野球がなくても人が集う街づくり」を進める中、公式キャラクター『えふたん』も雰囲気醸成に貢献。200種超のグッズに加え、宿泊施設やキッズエリアにも登場し、『えふたん』目当てで訪れる人も多い。


米有名アパレルともコラボ企画ユニは即完売の大人気
北海道の自然や球場を表現した企画ユニフォームは、アメリカ発祥ブランド『Baseballism』がデザイン。発売日には即完売するほどの好評を博した。

新駅に商業施設、大学も〝街化〟はさらに加速
『Fビレッジ』では2028年にJR新駅が開業予定。同時期に地上11階建ての商業施設や北海道医療大学の移転も計画されている。街としての進化が止まらない!
CASE 2|埼玉西武ライオンズ
「圧倒的至近距離」で選手とファンの絆を深める
埼玉西武ライオンズは本拠地『ベルーナドーム』の魅力であるスタンドとグラウンドの近さを「圧倒的至近距離」と銘打ちPRを展開。投球練習を間近で見学できるブルペンかぶりつきシートをはじめ、推しを目の前で堪能できる空間づくりが来場者増に貢献した。


スタジアムを一周できる外周の回遊ルートを導入
バックネット裏に外周通路を設け、ドーム全体を回遊可能にする取り組みを2025年シーズンに実施。球場外周に並ぶ多彩な飲食店を自由に移動しながら楽しめるように。

ファン感謝イベントでは選手と直接触れ合える
毎年開催のファンイベント『LIONS THANKS FESTA 2025』は、ハイタッチや足湯グリーティングなど、選手と直接触れ合える企画満載で大盛況だった。
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