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リキュールなのに甘くない!?フランス発の次世代ブランド「ARTY SPIRITS」にバーテンダーが注目する理由

2026.03.26

「甘すぎて人工的で、時代遅れ」――。

カクテルやソーダ割りのベースなどとして幅広いシーンで使われる「リキュール」。美食の国・フランスでは、実はそんなネガティブなイメージが持たれているという。それは日本でも同じだろう。カクテルに色や甘みを足すためのものという認識が強く、主役として語られることは多くないように思える。

そんな中、常識を根底から覆す次世代のフランス産リキュールブランド「ARTY SPIRITS(アーティ・スピリッツ)」が今冬、日本に上陸した。2月末から国内で本格的に展開されており、国内のバーテンダーたちの注目を集めている。この新鋭ブランドは一体何者なのか。

リキュールの概念を再構築するパイオニア

ARTY SPIRITSを立ち上げたのは、フランスのクラフトビール業界で名を馳せてきたニコとジュ、フレッドの3人だ。

なぜクラフトビールのプロが、リキュールの製造に着手したのか。背景には、彼らが日常的に感じていた「がっかり感」があった。「お昼ご飯の後にディジェスティフ(食後酒)を飲むのが私たちの密かな楽しみだったが、それはいつも甘すぎたり、アルコールが強すぎたりして残念に思っていた」。共同創業者のニコは語る。

そこで彼らは、革新的な唯一無二のリキュールを自分たちの手で創り出すことを決意。「卓越していること」、「本物であること」、「現代的であること」、そして「環境へ配慮していること」という4つの理念をベースに、旧態依然としたリキュールカテゴリーそのものの再構築をミッションに掲げた。一般的に、大量生産の工業的なリキュールはわずか1週間足らずで製造される。一方、ARTY SPIRITSは約2か月もの時間をかけて製品を作り上げている。

このブランドの最大の武器は、「リキュールの蒸留」という独自の製造工程だ。

通常、リキュールは果実やハーブをアルコールに漬け込む「浸漬」だけで作られ、そこに大量の砂糖が加えられる。しかし、彼らは全く違うアプローチをとる。

まず、ベースとしてコニャック地方で使用される100%フランス産の小麦由来アルコール(45度)を採用。そこで100%天然のフランス産果実や植物を72時間かけてじっくりと発酵・浸漬させる。人工香料で味をごまかすことは絶対にしない。

その後、浸漬した液体を銅製蒸留機を用いて蒸留する。1990年代の特殊な蒸留器を採用することで、スピリッツの香りが極限まで引き立てられ、味わいが軽やかで洗練されたものになるという。蒸留後は数週間かけて段階的に加水(還元)を行い、アルコール度数を調整していく。

最も注目すべきは、精密にコントロールされた糖分量。法令上、リキュールには最低でも「1リットルあたり100g」の糖分が含まれていなければならないが、ARTY SPIRITSはこれを基準ギリギリまで削ぎ落としている。平均的なリキュールの半分以下の糖度でありながら、芳醇な香りは損なわれていない。アルコール度数も25~27%に設定されており、香りを活かしつつも飲み疲れしない商品となっている。

なお、リキュールの瓶には100%リサイクルされたガラスを使用しているなど、サステナビリティの取り組みにも積極的だ。

個性を放つ3つのラインナップ

このたび日本に上陸したのは、どれも100%フランス産の天然素材にこだわった個性的なリキュール3種だ。いずれも、『FRENCH DRINKS AWARDS』や『WORLD LIQUEUR AWARDS』といった国際的な品評会で高い評価を獲得している。

1つ目は「TOMATO SPIRIT(トマト・スピリット)」(アルコール度数25%)。原料に乾燥トマトを使用し、リアルな青味や複雑なトマトの香りを表現している。

日本にはトマトリキュールが出回っておらず、バーの現場ではこれまで、トマト風味を出すために自前でトマトから水分を抽出し「トマトウォーター」を作る多大な手間がかかっていたという。トマト・スピリットを使えばその苦労が解決する。

2つ目は南仏産のレモンゼスト(レモンの外皮を薄く削り取ったり、すりおろしたりしたもの)を使用した「CITRONCELLO(シトロンチェッロ)」(アルコール度数25%)。

広く知られているイタリアの伝統的なレモンリキュール「リモンチェッロ」と似ているが、異なるのはシトロンチェッロにはフランスのガストロノミー(美食)の技法である「卵白を用いた清澄化(透明化)」が活用されていること。さわやかな柑橘の酸味とフレッシュさが感じられる仕上がりだ。

3つ目は「UNE MENTHE(ウヌ・マント)」(アルコール度数27%)。ペパーミントとスペアミントという2種類の天然ミントをブレンドして作られている。商品の色だけを見ると、日本人にはあまり馴染みのない青色で「人口着色料が入っているのでは」と思う人もいるだろう。だが、着色に用いているのは葉緑素(クロロフィル)。あくまでブランドの理念に忠実な自然派の一本だ。

今すぐ味わえる店舗でフレンチ・カクテルのススメ

26年3月時点で、ARTY SPIRITSの3種類の製品は、国内のバーや酒屋に向けて1本あたり税込4540円で販売されている。しかし、より多くの人々に味わいを届けることを目指し、4月以降は一部値下げが予定されているという。

このリキュールの登場に、日本のバーシーンはいち早く反応している。これまでの「重くて甘い」リキュールとは一線を画すことから、ミクソロジー(最先端のテクノロジーや多様な素材を使ったカクテルづくり)の素材として極めて優秀だからだ。

東京・築地に居を構えるバー「Au Chalet(オ・シャレ)」は、このリキュールを上陸直後から仕入れ、オーナーが考案したオリジナルカクテルの提供を始めている。情報を聞きつけ、筆者も実際にバーへ足を運んでみた。

まずはトマト・スピリットを使った「TOMATO NEGRONI(トマト・ネグローニ)」(2月末時点で1500円)を注文。フランス料理のソースなどに使われるブーケガルニ(タイム、ローズマリー、ローリエなどのハーブを合わせたもの)を漬け込んだジンにトマト・スピリットを合わせることで、複雑なハーブとトマトの旨味を絡め合わせているという。

「トマト味のカクテルは飲みにくいのでは?」とおそるおそる飲んでみたが、青臭くも甘すぎもせず、食事に合う点が魅力的に感じた。

次に、ウヌ・マントを用いた「WARTY HOPPER(ワーティ・ホッパー)」(同1300円)に挑戦。バーで定番のカクテル「グラスホッパー」を新解釈したもので、ミントリキュールに、カカオリキュール、クリーム、バニラ、甘酒をかけ合わせている。デザートカクテルでありながら、さわやかなミントの香りがアクセントになっていて飲みやすい。

「ARTY SPIRITSは最低限の糖分しか含んでいないため健康的。しかも、カクテルを作る際に味の調整がしやすく、大変使い勝手が良い」。オ・シャレでオーナーを務めるミシェルさんはそう語る。

「リキュールは甘い」という固定観念を捨て去り、独自の蒸留技術と環境・社会への配慮によって生まれたARTY SPIRITS。カクテルとしてだけでなく、ストレートやオン・ザ・ロックでも楽しめる使い勝手の良さを武器に、日本の最先端のバーシーンで重宝されるリキュールになるかもしれない。

取材・文/田中節子

公務員として社会保障に携わった後、経済系媒体で記事執筆、編集を経験。手がける分野は食や嗜好品から教育、行政、マネーまで。留学経験などから、欧州の文化や社会動向にも親しみがある。

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