2026年3月23日の日経平均株価の終値は5万1515円と、前日比1857円の値下がりを記録。イラン情勢に対する不安感から、一時下げ幅は2600円台に達するなど、1月9日以来の5万1000円台で取引を終えた。
そんな中、イギリスのロイズリスト社がイラン革命防衛隊がホルムズ海峡に「安全回廊」を設置したと発表。彼らは航行する船舶を目視で監視しているという。ちなみに通行料は200万ドル、約3億円とのことだ。
このような中東情勢による原油高に端を発した金利高・株安の連鎖が続く状況にあって、今後の市場動向を分析したリポートが三井住友DSアセットマネジメント シニアマーケットストラテジスト・久髙一也(ひさたか かずや)氏から届いているので概要をお伝えする
1:中東情勢の悪化を受け、原油高・金利高・株安の連鎖が続く
3月20日の米国株式市場では、S&P500種株価指数が6,506.48ポイント(前日比▲1.5%)となり、2025年9月以来の安値水準で取引を終えた。
ナスダック総合指数も21,647.61ポイント(同▲2.0%)となり、昨年10月に付けた過去最高値から約10%下回る水準へ下落。米国債市場では、米10年国債利回りが前日比0.13%高い4.38%となり、昨年7月以来の高水準へ上昇した。
中東情勢緊迫化による原油高がインフレ圧力を一段と強め、米国の利下げが一段と遠のくとの見方から金利が大きく上昇したことが、米国株の下落につながったとみられる。
■日経平均株価が年初来安値を更新、FOMCでは政策金利の据え置きを決定
日本の三連休明けとなる3月23日、前日までの原油高と米国株安を嫌気し、日本株は取引開始直後から大きく続落。日経平均株価は一時5万1,000円を下回り、年初来安値を更新した。
3月17日、18日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では政策金利が据え置かれ、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、原油高が短期的に総合インフレを押し上げる可能性がある一方、その影響の大きさや持続性については、なお不確実であるとの認識を示した。
一方、前回利下げを主張したウォラーFRB理事は、原油高によるインフレ持続リスクを踏まえ、今回は据え置き支持に回ったと報じられている。
こうした中で、金融市場では米国の利下げ観測が後退し、一部では年末にかけて利上げの可能性も意識されるようになったことが、原油高から米国株安につながる経路を強めたと考えられる(図表1)。

足元の原油高は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が長期化するとの懸念に加え、イランによる報復がカタールなど中東周辺国のエネルギー施設にもおよび、供給不安が現実のものとして意識されている可能性が織り込まれつつあると思われる。
2:原油高が続くも、落ち着きどころを探る局面に
3月21日(日本時間22日午前)には、トランプ米大統領が、48時間以内にイランがホルムズ海峡の通航を全面的に再開しなければ、米国がイランの発電インフラを攻撃するとの強い警告を発した。これに対し、イランは対抗姿勢を示すなど、中東情勢は不確実性の高い状況が続いている。
一方で、イランは「敵対国」に結び付く船舶を除き、ホルムズ海峡の通航を認める姿勢も示しており、事実上の海峡封鎖が解除される可能性も残されているとみられる。
また、米国側にも、原油高やインフレ再燃を通じた自国経済への悪影響を抑えたい思惑があると考えられる。
トランプ米大統領は11月の中間選挙を控え、ガソリン価格の高騰が共和党政権への逆風となることを警戒し、戦争の長期化を必ずしも望んでいないとも考えられる。
こうした点を踏まえると、中東情勢の先行きは予断を許さないものの、事態が徐々に収束へ向かう可能性はなお残されていると視察される。

【今後の展開】短期的には不安定な展開が続くも、収束シナリオはなお残る
当面の世界の株式市場は、中東情勢をめぐる地政学リスクが一段と高まることで、原油高を通じた世界的なインフレ再燃や、各国中銀による金融引き締めへの警戒感が強まり、株価のボラティリティ(変動率)の高い展開が続くと想定できる。
特に、中東産原油の価格が高騰する局面では、エネルギーの中東依存度が高いアジア地域において、企業業績や個人消費などへの悪影響が意識されやすく、日本株の重石になりやすい。
一方で、イランが一部の国に通航を認める姿勢を示していることや、米国もエネルギー価格高騰の長期化を望んでいないとみられることを踏まえると、最終的に事態が徐々に収束へ向かう可能性は残されていると考えられる。
金融市場が落ち着きを取り戻すためには、
(1)ホルムズ海峡の事実上封鎖の解除、
(2)中東周辺国のエネルギー施設への攻撃停止、などを通じて、
原油価格が100ドル/バレルを下回る水準で落ち着くことを確認できるかがポイントとなるだろう。
なお、中東情勢が沈静化に向かえば、「賃金と物価の好循環」や「企業統治改革」といった日本固有の前向きな変化が改めて注目を集め、日本株は再評価の動きが強まると見込まれる。
構成/清水眞希







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