黒歴史が加速する2000年代

また、平成のプリの醍醐味のひとつに、〝黒歴史〟の存在がある。2000年代初頭からプリに親しんできた人であれば、誰しも一度は思い返すと少し気恥ずかしくなるような一枚を撮った経験があるのではないだろうか。振り返れば思わず目をそらしたくなるようなプリも、令和の現在では、平成の空気感を色濃く映し出す記録として、どこか愛着をもって語られる〝酒の肴〟のような存在になっている。
本展では、そうした〝黒歴史〟に触れられるブースも用意されている。来場者は、当時の空気感とともに、思い出として残るプリの一端を垣間見ることができるだろう。かの有名な「チャリで来た」のプリが示すように、ユーモアと勢いが交差する一枚が広く共有されていった背景には、2003年以降、落書き機能の充実によって表現の自由度が大きく高まったことがある。
また当時は、現在のようにデジタルタトゥーを強く意識する感覚もまだ一般的ではなく、気軽に撮影し、気軽に共有する空気が自然に受け入れられていた時代でもあった。
その後、XやInstagramといったSNSの登場によって、情報発信に対する意識やリテラシーは大きく変化していくが、だからこそ当時のプリには、どこか無防備で、のびやかなコミュニケーションの痕跡が残っている。今あらためて見返すことで、SNS過渡期ならではの、あの時代特有の空気を感じ取ることができるのではないだろうか。

体験が思い出の価値になる

そして本展では、平成を代表する機種『美人-プレミアム-』が20年の時を経て復活し、当時の空気感を追体験できるスペースが設けられている。

ブース内では当時の体験をそのまま再現しており、画質やスタンプの質感、操作感に至るまで、あの頃のプリの雰囲気をそのまま味わうことができる。さらに、当時主流だったガラケーでの送信を起点に、現代のスマートフォンへとデータを転送できる仕組みも導入され、過去と現在を行き来するような体験が可能となっている。
20年前と聞くと遠い時代に感じられるかもしれないが、当時は業界初となる1200dpiの高性能プリンターを採用し、まつげの一本一本まで繊細に描写するなど、これまでにない〝盛り〟の表現で注目を集めた機種でもあった。
あわせて本展では、プリの歴史や流行の変遷をたどることができ、「プリ幕トンネル」のブースやプリ帳の再現を通して、時代ごとのコミュニケーションのあり方の変化を振り返ることができる構成となっている。
気づけば、スマートフォンで無限に写真を残せる時代になった。それでもなお、プリにはどこか特別な体験として記憶に残り続ける力がある。遊び心のあるスタンプ、少し盛りすぎた目、意味のない落書き——そこには、確かに〝あの頃の私たち〟が息づいている。
時代ごとの空気を体感できる『ウチらのプリ展 〜Dear令和 By平成〜』へ、ぜひ足を運んでみてほしい。きっと、忘れていた記憶がそっと呼び起こされるはずだ。
『ウチらのプリ展 〜Dear令和 By平成〜』


開催期間:2026年3月20日(金)~4月5日(日)
場所:OPENBASE渋谷
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町 14-13
宇田川町ビルディング B1F、1F
(アクセス:JR「渋谷駅」ハチ公口より徒歩8分)
営業時間:11:00~20:00(最終受付19:30)
主催:フリュー株式会社
入場料:無料公式サイトhttps://www.puri30th.furyu.jp/
取材・文/Tajimax
なぜ今、平成レトロが流行るのか?Z世代が熱狂する「エモ消費」の正体
ルーズソックス、ガラケー、プリクラ、フィルムカメラ。 度々、「懐かしい」と話題にあがる平成カルチャーが、最近では 〝エモい〟という感情価値をまとってきている。 …







DIME MAGAZINE













