■連載/阿部純子のトレンド探検隊
見ようとする対象との距離をセンサーで測定し、距離に応じてレンズ形状を瞬時に変化させ、自動でピント調整ができるオートフォーカスアイウェア「ViXion(ヴィクシオン)」。
視野面積を従来比で約2.4倍に拡大した新モデル「ViXion2(ヴィクシオンツー)」(税抜・100,000円)が4月17日から発売を開始する。また、下方作業に適した専門職向けモデル「ViXion2 Pro(ヴィクシオンツー プロ)」も同日より販売を開始する。
視野の狭さが課題だった前モデル比2.4倍のレンズを採用
「ViXion」シリーズを販売・開発するViXion株式会社は、HOYAから事業独立したベンチャー企業で、「テクノロジーで人生の選択肢を広げる」をパーパスとし、視覚・見え方の能力拡張領域における課題解決を掲げる。
同社はHOYA時代から視覚障害者向けの暗所視支援眼鏡「MW10 HIKARI」を取り扱っており、夜盲症や視野狭窄の症状を持つ人向けの機器を開発・販売している。
独立後の2024年に世界初の自動ピント調整機能付きアイウェア「ViXion01」シリーズを上市し、オートフォーカスアイウェア市場のパイオニアとして開拓してきた。(※下記画像は、ViXion01シリーズ開発当初のプロトタイプ)
2024年に登場した前モデル「ViXion01/01S」は、遠くから近くに切り替えるときも瞬時でオートフォーカスされることから、両手のふさがる細かい作業や、近くと遠くをメガネを変えずに見ることができると老視(老眼)の人にも評判を呼んだ。
その一方で「視野が狭い」「メガネ並みの視野があれば理想」といったユーザーの声も寄せられ、視野の狭さが最大の課題になっていた。
そこで、前モデルViXion01/01Sでは5.8mmだったレンズ径をViXion2では9mmに拡大。前モデル比2.4倍の視野を実現した。
機構やシステムはViXion01Sを踏襲し、アウターフレームのレンズ挿入、アウターフレーム自体の取り外し・交換といったカスタマイズ可能な仕組みを搭載している。
同時発売される、専門用途に特化したプロ向けモデル「ViXion2 Pro」は、ViXion2同じく9mm大口径レンズ搭載。下方作業に適したチルト機構搭載(0°~30°)、クリップ式LEDライト(市販)が取り付け可能、使い捨て飛沫防止アイガード(純正)が取り付け可能、耐アルコール素材を使用し消毒可能といった機能を有している。こちらのモデルは専門商流のみでの販売を予定しており、価格や機能の詳細、販売ルートについてはメーカーへの問い合わせで応じる。
両製品ともにViXion01Sのアプリ「ViXion Connect」での操作、設定保存を利用できる。アプリでは度数の推移の保存や、度数の設定や細かなカスタマイズをスマホ上から行える。
レンズの径をメガネ並みのサイズにできない理由として液体レンズの技術構造にあると、ViXion取締役CINOで開発責任者の内海俊晴氏は話す。
ViXionで使われている液体レンズの技術「エレクトロウェッティング」は、電気伝導性の液体(水)と非伝導電性の液体(油)をひとつの空間に閉じ込め、レンズに加える電圧を変えることでレンズの形状が凹凸に変化する、電気的制御原理を利用している。
「メガネは縦方向で使用するため重力の影響を強く受け、レンズ径の拡大に伴い重力起因の歪みが増大します。つまり、レンズのサイズが大きいほど、重力による歪みが大きくなってしまい、軽量化や安定化が難しくなる。それがレンズを簡単に大きくできない理由でもあります。
9mmレンズの開発期間は約1年半かかりました。課題解決にあたって、シミュレーションを重ね液体レンズの最大径を9mmに目標に設定しました。2.4倍と、ユーザーからの要望である、従来モデルの2~3倍の拡大を満たす数値です。
材料選定にあたっては、水と油の密度を同一化し重力影響を低減させました。さらに-10℃~-20℃でも凍結しない液体を選択、レンズ動作温度は-10℃~+45℃、保存温度は-20℃~+60℃に耐えられる仕様になっています。
しかし、現行のエレクトロウェッティング技術では、メガネ用途での径拡張は9mmが限界でして、メガネ並みの大きさのレンズにするためには異なる技術が必要となります。
昨年、ベンチャー支援のプログラム『NEDO』に採択されたので、次世代の大口径レンズ開発に着手し、将来的には『普通のメガネの大きさ』で『普通にかけられる』レンズの実装を目指していきます」(内海氏)
販売チャネルは、ViXion公式オンラインストア、ビックカメラ全国の21店舗、ヨドバシカメラ全国の22店舗、メガネのヨネザワ全店舗、メガネ一番の沖縄県内3店舗、ビックカメラ・ドットコム、ヨドバシ.comなど。詳細は公式サイトを参照のこと。
【AJの読み】視野は確かに広くなったがメガネと同じ感覚で使うのはまだ難しい
近眼に加え日に日に老眼が進んでいき、パソコン作業、テレビを見る、家事をするなど、対象物の距離によってメガネをかけ直さなくてはいけないわずらわしさがあったことから、
前モデル「ViXion01S」記事の取材で、利便性を実感し購入した。
近くも遠くも瞬時にピントを自動調節!ViXionからオートフォーカスアイウェアの最新モデル「ViXion01S」が登場
■連載/阿部純子のトレンド探検隊 近くも遠くも瞬時に自動ピント調節するアイウェアのアップデートモデル「ViXion01S」 ViXionの自動でピントを調整する…
自動的にピント調整ができる夢のような製品と期待していたが、生活の中で使ってみると、メガネと同じように見ることができないと実感した。
他のユーザーからの声にもあったようにレンズが小さいので視野が狭く、視線を下げるとレンズから離れてしまい裸眼状態に。結局、針仕事などピンポイントで見るときぐらいしか使わなくなり、これじゃルーペと同じだと(価格も価格なだけに)落胆が大きかった。
新製品は2.4倍にレンズが大きくなったので、確かに見える範囲は広くなった。ノートパソコンのモニター、新書サイズの本を見た感じでは前モデルより視野の広さを感じる。しかしレンズの周囲の黒枠や、視野の狭さは完全に払拭できていないので、やはりメガネと同じ感覚で使うことは難しいという印象を持った。
構造の違いもあり、旧タイプのViXionシリーズにViXion2の9mmレンズを単体交換することは不可とのこと。ただし、既存ユーザー向けに下取りや買い替えクーポンを提供する予定もあるとのことなので、買い替えを考える既存ユーザーはサービス提供を待った方がいいだろう。
取材・文/阿部純子







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