今年2月19日に新刊『世界の空を飛んでわかった 人生に効く旅学』を上梓し、チャンネル登録者数は34万人を超え、大注目の外資系国際線CA・Ryucrewさん。日本を代表するトップYouTuberの一人である。「旅は人生に新しいモノサシを与えてくれる」と主張するRyucrewさんに、”人生に効く旅学”の真意を聞いてみた。
ネガティブな気持ちにならない動画づくりを意識
――現在、カナダを拠点としてカナダの航空会社のCAとして活躍されながら配信しているYouTubeチャンネル「関西弁CA/Ryucrew」が大人気です。現在のチャンネル登録数は34.3万人。663本の動画が楽しめます。動画配信ではどんな点を心がけていますか?
Ryucrewさん 皆さん日々お忙しい中、時間を縫ってわざわざ動画を見てくださっていると思います。日常ではストレスが溜まったりネガティブな感情になることも多いと思いますが、せっかく動画を見てくれている時間くらいは、ホッと気晴らしになるような時間にしたいと心がけています 。
ためになる情報というよりは、何も考えずにボーッとしてもらえるような、ネガティブな気持ちにならない動画づくりを意識しています。
――一番新しい番組では、在日カナダ大使館を紹介されていましたね。
Ryucrewさん 実は、大使館に自分の本を寄贈させていただきました。大使館の中には、身分証明書があれば関係者以外でも無料で入れる図書館があるんです。東京にありながら、雰囲気も匂いもカナダの図書館に瓜二つで、英語・フランス語・日本語の本が揃っています。普通の図書館より空いているので、普段と違う休日を過ごしたい時などにすごくおすすめです 。
また、視聴者の方で大使館にお勤めの方がいらっしゃって、気楽な感じで撮影に行ったら大歓迎していただいて、とてもびっくりしたという嬉しいエピソードもありました。
――今、動画配信を振り返って、改めて支持されている理由は何だとご自身で分析されていますか?
Ryucrewさん あえて言うなら、「ありのままを映している」ことかなと思います。
コロナ禍、フライト欠航が相次いでレイオフとなったときに、空いた時間を埋める趣味のつもりでYouTubeをはじめました。最初は、ちょっとかっこつけてあまり関西弁が強くならないように標準語に寄せて喋ろうとしていたんですが、なかなか自分らしくできなくて。やっぱりそのままの自分で、関西弁でやろうと開き直ったんです。
そうしたら、意外にも「関西弁が親しみやすい」「ホッとする」と言っていただけて。それからは、朝起きたての寝癖ボサボサのままで配信したり、家族が登場したり、「ありのまますぎる」感じでやってます(笑)。ターゲットとかまったく考えていなかったので、予想外で嬉しかったです。
――そうした番組作成のスタイルは、今後もずっと続けていく予定ですか?
Ryucrewさん チャンネルの軸として「皆さんにホッとしてもらう」ということは忘れずに続けていきたいです 。ただ、自分の興味や感情に左右される部分もあり、スタイルは結構流動的です。
何より、自分自身が楽しくないと皆さんにも楽しさや前向きさが伝わらないと思うので、「自分が楽しむこと」も忘れずに続けていくつもりです。
体験するからこそ、世界の見え方が鮮明になる
――Ryucrewさんの人生の重要なテーマが「旅」。楽しい海外旅行の紹介や、飛行機で快適な席など、旅の楽しさを盛り上げてくれています。バーチャルが発達した今、アナログの旅を勧める理由は何ですか?
Ryucrewさん 今の時代、わざわざ遠くに行かなくてもスマホひとつあれば、世界の絶景を高画質で見る事ができますし、歴史や文化を知りたければ、ネット検索やAIが完璧な答えを教えてくれます。タイパ、コスパで考えたら、旅は「効率的」とは言えないかもしれません。
それでも、旅を終えて家に帰り、自分の布団に入った時の「ああ、やっぱり日常ってありがたいな」「自分の居場所はここなんだな」という安心感は、実際に移動しないと得られないと実感しています。
また、訪れる場所が増えると、興味の幅が広がり、世界の見え方の解像度が上がります。たとえば、私は今年2月末にUAEのドバイを訪れていたのですが、滞在中に中東情勢が変わり、ギリギリ帰国の便に乗った後にドバイ国際空港も被害を受けて完全停止になってしまって……。空港で被害を受けた場所は私が乗った便のゲートと目と鼻の先でしたので、数時間前に言葉を交わした方々を鮮明に思い出して、リアルに胸が締め付けられる思いになりました。
情報だけではどこか他人事と捉えてしまうようなことも、実際に体験することで点と点が繋がり世界の見え方が鮮明になるのだと思います。
人生という旅では「そこでどう生きるか」が一番大切
――新刊「世界の空を飛んでわかった 人生に効く旅学」は発売前に増刷が決まりました。一番読んで欲しい部分について教えてください。
Ryucrewさん 第6章の「大切なのは『どこに行くか』より、『そこでどう生きるか』」という部分です。何度も書き直して、言語化するのが一番難しかった箇所です。
「英語で仕事するなんてすごい」「異国の地で10年以上頑張っていてえらい」と言ってもらえることがありまして、そう言っていただけるのは嬉しいですが、なんとなく違和感を覚えているのもこれまた事実です。
私としては、どこに行こうが行くまいが、自分の任された仕事や自分の選んだ人生をコツコツと深みのあるものにしていくことができる人こそが尊敬できると考えているからです。身内を出して恐縮ですが、うちのオカンはそのタイプの人間です。オカンの例をあげて、人生という旅では「そこでどう生きるか」が一番大切という思いを書かせていただきました。
――新刊書は旅がテーマですが、実はとてもマネジメントに役立つ内容でした。特に「自分と同じ方向を向いてもらう交渉術」は普段の仕事にもつかえるノウハウです。日系企業であっても、外国人が職場に増えてくることは必須なので、誤解を生まないコミュニケーション術があればアドバイスをお願いします。
Ryucrewさん 「郷に入っては郷に従え」は基本ですが、日本人同士のような阿吽の呼吸はとても特別なものです。生まれ育ちが異なる方とのコミュニケーションでは言語化しないと誤解が生じます。
日本人が当たり前と思っている「察する」文化や習慣を相手に期待せずに、「なぜそうするのか?」という理由を論理的に伝えることが求められます。また、違いをただ指摘して批判するのではなく、同じチームとして「一緒に現場をより良くしていこう」というポジティブな気持ちで同じ方向を向いてもらうことが大切だと心がけています。
そのためにも、自分の文化について深く知ること、自分のアイデンティティをしっかりと確立しておくことが大切なのではないかとも感じています。
自分の直感を信じて行動すること
――今後の活動について伺います。外資系CAには停年が無く、何歳でも働けるとのことですが、Ryucrewさんは今後、どのような人生設計を考えていますか?
Ryucrewさん 在職の航空会社はライフステージに応じて柔軟に無給のお休みが取れる制度があるため、それを活用して、YouTubeをはじめる前からの夢だった「カフェ」を今年GWにオープンする予定です。
ありがたいことに、YouTubeを通じていろいろなご縁も繋がりましたし、自分自身の熱量が高い「今だ!」というタイミングなので、挑戦することに決めました。
――カフェのオープンが楽しみです!最後に@DIME読者のみなさんへ、メッセージをいただけたら幸いです。
Ryucrewさん 私自身も30代ですが、周りがキャリアを固めていき、人生の目標地点を決めないといけないと焦ったり、人と比べたりすることも増える年代だと思います 。でも、世界情勢を見てもわかる通り、明日何が起こるか本当にわからない時代です 。
年齢という数字にとらわれるのではなく、自分の直感で「やりたい!」というタイミングを優先するのがベストだと実感しています。私も手探りで不安はもちろんありますが、それ以上にワクワクが勝つからカフェに挑戦します。もしもうまくいかなかったとしても、挑戦した自分とそうでない自分なら、前者でありたいと思うからです。
――ありがとうございました!
「旅に出ることで、なんとかなる実感が未来を拓く」という言葉が印象的な新刊書。現在、特設サイト「RALエディターズ倶楽部」がオープンしているので、ぜひ訪れてみて。
Ryucrewさん
1992年生まれ、大阪なにわ育ち、カナダバンクーバーを拠点とするエアラインの現役CA(キャビンアテンダント)。欠航が相次ぐコロナ禍に開設したYouTubeチャンネル【関西弁CA / Ryucrew】は、チャンネル登録者数34万人超(2026年3月時点)。日本テレビ「マツコ会議」ほか、メディアに出演。著書『国際線外資系CAが伝えたい自由へ飛び立つ翼の育て方 当機は”自分らしい生き方”へのノンストップ直行便です』『国際線外資系CAがシェアしたい 自分らしく生きるための人生の羅針盤』(ともにKADOKAWA)。
YouTube:@ryucrew
Instagram:@ryucrew_vancouver
X:@Ryucrew_MaleCA
文/柿川鮎子







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