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なぜ、阪神ファンは幸せに見えるのか?「六甲おろし」に隠された幸福感に満たされるヒント

2026.03.20

マーケッターとして「おひとりさま」「草食系」など数々のトレンドワードを世に広め、テレビのコメンテーターとしても活躍中の牛窪恵さん。実は牛窪さんが熱狂的な阪神ファンだということをご存じでしょうか?

大学教授でMBAホルダーでもある著者が、推し活と行動経済学などの研究を経て導き出した「Well-being(幸福感)」に繋がるキーワード、それが「阪神ファンと熱狂」でした。毎年40試合前後を球場で観戦する著者だからこそ気づいた、彼らの体感的リアリティと行動心理の意外な関係をまとめた新著『「幸福感」に満たされたいなら阪神ファンを知りましょう マーケッターが気づいた「効果と法則」』から阪神ファン自身も気づいていない「幸福感」に繋がるヒントをピックアップして紹介していきます。

皆で歌う「六甲おろし」で感性・感情が研ぎ澄まされる

阪神ファンの応援で特徴的なのが、一糸 乱れぬ「歌声」です。

選手個々の応援歌や、チャンスの場面で歌う「チャンスマーチ」「チャンス襲来」「T −WAVE」などテーマ曲のバリエーションは、他のチームと大きくは違わないと思います。ただ、とくに甲子園でファンが歌う際の「一体感」には、多くの外国人(含・インバウンド)も驚くようで、各国のYouTubeでもたびたび紹介されています。

私がレギュラーコメンテーターとして出演する、関西の情報番組「よんチャンTV」(毎日放送)でもご紹介した、兵庫県在住のカナダ人男性(阪神ファン/甲南大学特任教員)も、海外向けに「虎情報」(英語版)を発信する一人。新聞紙上のインタビューでも、「カナダのスポーツでは、応援歌を一緒に歌ったりする文化はない」「日本のプロ野球を生で見て『合唱は子どもがするもの』っていう概念が壊された」と、驚きを語っていました(産経新聞/23年10月3日掲載)。

そもそも大声で歌うことは、先ほどの「叫び」と同様にストレスを解消し、幸福感を高めることが示唆されています。シニア世代が「カラオケ」で好きな歌を3曲歌っただけで、唾液中のストレスホルモン(コルチゾール)が減り、気分が明るくなり、抑うつなどネガティブな感情も改善した、との報告もあるほどです(Katsuhisa Sakano, et al., (2014)“, Possible benefits of singing to the mental and physical condition of the elderly”, Bio Psycho Social Medicine volume 8, 11)。

また当然ながら、球場にいる阪神ファンは、一人で歌ったり叫んだりするわけではありません。大前提は「皆で一緒に」。じつは、そうした他者との「共有体験」こそが、その人の感性や感情(感動)を顕著に高めるようです。

有名なのは、チョコレートを使った研究でしょう。実験では、被験者に指定した相手とペアを組ませ、「チョコレートを食べる」「アートの冊子を読む」という二つの課題を課したのですが、このとき、A「ペアの相手が、自分と『同じ課題』に取り組む」、B「ペアの相手が、自分と『別の課題』に取り組む」という、二つのチームに分けたといいます。

すると、自分もペアの相手も、どちらもチョコを食べていたとき(A=同行動)は、相手がアートの冊子を見ているとき(B=別行動)に比べて、チョコの好みや味のアンケート評価が、明らかに高くなっていました。すなわち、同じチョコを食べたにもかかわらず、「ペアの相手が何をしているか」によって評価が変わったのです(Boothby,E.J.,et al.,(2014)“, Shared experiences are amplified” ,Psychological science, 25(12),pp.2209-2216)。

なぜ、そんなことが起こったのでしょう。よく言われるのは、人は「仲間(ペアの相手)と同じ行動」をするとき、味や刺激を「楽しい」「美味しい」と感じるポジティブな感情が、何倍にも増幅されるのではないか、ということ。仲間と共通の体験をすることで、感性や感情が研ぎ澄まされるためだといわれ、これが共有体験効果と呼ばれるものです。

皆さんも、たとえばお気に入りのレストランに行ったとして、同じメニューを食べる際に、一人で食べるより仲間と食べたときのほうがなぜか「美味しい」と感じた経験があるのではないでしょうか。これもまた、共有体験効果。食品メーカーの味の素によれば、1週間に4日以上、誰かと夕食を共に食べている人は、まったく一緒に食べていない人より、幸せを実感する割合が「1.6倍」も高いといいます(「Forbes JAPAN」リンクタイズ/25年3月28日掲載)。

04年、拙著で「おひとりさま」を提唱した私としては、誰にも気兼ねせず一人で行動・体験する自由や楽しみを大切にしたい。ですが半面、同じ味や刺激であっても「皆で一緒に」の共有体験が喜びを増幅させるなら当然、そちらも重要ですよね。

阪神ファンが、タイガースの得点直後や勝利のシーンで歌う「六甲おろし」も、一人で歌うより同じ阪神ファン(仲間)と声を合わせて歌うほうが、きっと「楽しい」「心震える」というポジティブな感情が高まるはず。いまは頭に簡単なセンサーを装着することで、脳の活動や血流の変化を「見える化」することができます(脳科学ベンチャーカンパニー「NeU」ほか)。阪神ファンの皆さんと一緒に「六甲おろし」を歌ったら、どれほど脳が活発に動くのか、ぜひ試してみたいところです(笑)。

☆ ☆ ☆

いかがだったでしょうか?

なぜ甲子園で見ず知らずの人達とあれほどまでに連帯感をもって応援できるのか、道頓堀に飛び込んでもいいぐらいの気持ちになるのか、阪神ファンたちの行動がまさか幸福とこれほど結びついているとは!

間もなくプロ野球が開幕しますが、彼らの行動から学べることは多そうです。阪神ファンから学ぶウェルビーイングのヒントが詰まった一冊、ぜひ書店やオンラインでチェックしてみてくださいね。

「幸福感」に満たされたいなら阪神ファンを知りましょう
マーケッターが気づいた「効果と法則」
牛窪 恵(著) 集英社

https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-790234-1

牛窪 恵
世代・トレンド評論家/立教大学大学院客員教授/修士(MBA)
マーケティング会社インフィニティを20余年経営し、大手企業各社と数千人の消費者を取材。その知見から、財務省 財政制度等審議会専門委員や内閣府「経済財政諮問会議」政策コメンテーターなど、数多くの政府委員や研究会メンバーを歴任してきた。マーケティング関連の著書を通じて「おひとりさま」「草食系(男子)」「年の差婚」などの流行語を世に広める。近著は『Z世代の頭の中』(日経BP)。テレビ番組のコメンテーターとしても知られ、現在「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ系)、「所さん!事件ですよ」(NHK総合)、「よんチャンTV」(毎日放送)ほかに出演中。
阪神タイガースの大ファンで、毎年40 試合前後を現地(球場)にて観戦。阪神ファンへの取材経験も多い。推しは森下翔太選手。

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