開始から2週間が経過したイラン攻撃だが、ホルムズ海峡の封鎖など地政学リスクが急上昇。世界的にリスクオフの動きが拡大して、3月13日のアメリカS&P500は週次1.60%安と下落した。
紛争の長期化に伴うさらなる原油高、そしてインフレも懸念される中、攻撃開始からの世界の金融市場の動きを分析したリポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏より届いたので概要をお伝えする。
イラン攻撃から2週間、商品市場では原油先物価格が大きく上昇した一方で金先物価格は下落
2026年2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始してから3月14日で2週間が経過した。空爆を受けるイランは徹底抗戦の構えを示し、イスラエルや湾岸諸国への攻撃を続けるなど、現時点で収束の気配はみられず、金融市場では紛争長期化への警戒が強まっている。
そこで、今回のレポートでは、イラン攻撃から2週間で世界の金融市場はどう動いたか、検証してみたい。
まず、商品市場では、原油価格が大きく上昇。WTI原油先物価格は2月27日から3月13日までの期間(以下、騰落率はこの期間で算出)、47.3%上昇した(図表)。これはホルムズ海峡の実質的な封鎖による供給懸念が主因と思われる。

一方、ニューヨークの金先物価格は3.5%下落した。後述する株安や金利上昇、ドル高の動きを受け、株式の損失補填の売りや、投資妙味の低下(金利がつかず取引はドル建て)を指摘する声も聞かれた。
■リスクオフの動きが強まり主要株価指数は下落、インフレへの懸念で日米欧の国債利回りは上昇
次に、株式市場では、イラン情勢の悪化を受けリスクオフ(回避)の動きが強まり、世界の主要株価指数の多くが下落した。
原油価格の上昇を受け、原油の輸入依存度が高い日本やアジア諸国などの株価指数は、相対的に大きく下げている様子が見られる。ただ、世界最大の産油国である米国の主要株価指数も、相対的な下落率は小さいものの、売りに押されている。
国債市場では、原油高によるインフレ圧力の強まりが意識され、日米欧で利回り上昇の動きがみられる。
米国ではフェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む年内25bpの利下げ回数は、2月27日時点の2.5回から3月13日時点で0.9回に低下して、利下げ観測が後退した。
なお、利回りの上昇幅は、日本と欧州でかなり差があるが、欧州の中央銀行は日銀よりも機動的に行動するとの見方もあり、この点が影響したとも考えられる。
■産油国が関係する地政学リスク発生時、市場は原油高、株安、債券安、米ドル高に振れやすい
為替市場に目を向けると、米ドルは主要33通貨のうち、31通貨に対して上昇、ほぼ全面高の展開となった。「有事のドル買い」といわれる通り、基軸通貨であり、流動性の高い米ドルは、イラン情勢の悪化に伴う退避マネーの受け皿となった。
一方、同じく流動性の高い日本円も、かつては「有事の円買い」といわれたが、原油高で貿易赤字が拡大するとの見方から、主要33通貨のうち、18通貨に対する上昇にとどまった。
以上、イラン攻撃から2週間が経過した世界の金融市場の動きを振り返ったが、「産油国が関係する地政学リスク」が発生した場合は、「原油高、株安、債券安、米ドル高」に振れやすいことが確認された。
つまり、産油国が関係する地政学リスクは、原油供給の不透明感が強まりやすく、市場の景気悪化懸念(金利低下方向の動き)よりも、まずインフレ懸念(金利上昇方向の動き)を高めると考えられる。
構成/清水眞希







DIME MAGAZINE












