人が感じる不安を軽減して人とロボットの協働に貢献
NECは、人の動きと心理状態を予測する独自の「世界モデル(注1、以下人間系世界モデル)」の活用により、人の不安の程度を定量的に推定した上で、不安を高めないように先回りしてロボットを制御するフィジカルAIを、世界で初めて開発した(注2)。
(注1)ロボットが自分で考えて、最適な行動を選択「世界モデル」を応用したロボット動作の学習技術 https://jpn.nec.com/rd/technologies/202210/index.html
「世界モデル」がさらに進化 環境に適応して精密な動きをするロボットAI技術 https://jpn.nec.com/rd/technologies/202316/index.html
(注2) NEC調べ
本技術は、ロボットと人の相対的な位置・姿勢から人の進行方向や人の不安の程度をリアルタイムで予測。これにより、ロボットが人の不安を軽減できるような経路や速度で自律走行することが可能になった。
<人間系世界モデルを活用した本技術について>

本技術の導入により、ロボット専用区画が未整備の環境や通路が狭い中小規模の物流倉庫や工場、小売店舗など、これまで心理的ハードルが高かった現場において、人とロボットを分離するレイアウト設計や、あらかじめ固定された走行コースの設計が不要となるため、より柔軟で効率的な運用が実現できる。
その結果、ロボット導入が促進され、人手不足の解消と生産性向上が期待される。同社では2027年度中に本技術の実用化を目指している。
開発の背景
労働力不足や危険作業への対応策として、フィジカルAIを活用したロボットへの期待が高まっている。併せて人とロボットが協働する現場では、衝突や接触を避ける身体的な安全性に加えて、人の不安を軽減する心理的な安全性も重要になる。
しかし、こうした心理的な安全性の確保には課題が多く、ロボットが人の動きや心理を正確に把握しながら、先を見越して走行を制御することは容易ではない。ロボットの挙動によっては、人が不安や緊張を感じ、円滑な協働が妨げられる場合も考えられる。
この心理的な安全性の課題は、ロボットが人の動きや心理を理解して、それに応じて行動するための技術的な課題と密接に関係している。人とロボットが不安なく協働できる環境を構築するには、こうした仕組みを技術的に実現することが不可欠だ。
NECは、これらの課題解決に向けて本技術を開発。これはロボット導入のさらなる促進と、人とロボットの協働環境の実現を通じて、現場の人手不足の解消と生産性向上に寄与するものだ。
また、同社はこれまでフィジカルAI分野で注目を集める世界モデルや、ロボット制御技術の研究開発にも取り組んできた実績を持つ(注3)。これらの取り組みで蓄積された知見やノウハウ、研究成果を融合することで、今回の技術開発が実現した。
(注3) NEC、不規則に配置された物品を自律的かつ高度にハンドリングできるロボットAI技術を開発(2024/2/19) https://jpn.nec.com/press/202402/20240219_02.html
NEC、倉庫での作業内容やレイアウト変化に柔軟に対応するロボット制御AIを開発(2023/3/3) https://jpn.nec.com/press/202303/20230303_01.html
本技術の特徴
本技術は、以下の2つの予測モデルを組み合わせて独自に開発した人間系世界モデルを活用している。これにより、ロボットがとある走行制御を実行した場合に将来の人の不安の程度を予測。
その結果、不要な減速や停止を抑えつつ、移動効率を維持しながら、人の不安の程度を最小限に抑える経路や速度での走行が可能になった。
■1:ロボットの挙動や物理的な周囲の状況によって変化する人の動きを予測
「人とロボットの挙動」や「人と物理的な周囲の状況」との関係を捉えることで、変化する人の動きを予測できる独自の予測モデルを構築した。
本予測モデルは、人の3D骨格情報を取り入れ、ロボットに搭載されたカメラ映像とロボットの制御情報をもとに、ロボットの挙動や周辺の環境情報を考慮しながら、映像に映る人の数秒後の3次元位置や姿勢を高精度に予測することができる。
<人の動きを予測するモデルについて>

■2: ロボットの接近によって変化する、人の不安の程度をリアルタイムかつ定量的に推定
ロボットを被験者の周囲に走らせ、不安の程度をアンケート調査した実験結果と、ロボットの走行データをAIに学習させることで、人とロボットの相対的な位置・姿勢・速度に基づき、人の不安の程度を定量的に推定する独自の予測モデルを構築した。
本モデルにより、ロボットが人に接近した際も、個々の状況に応じて人が感じる不安の程度をリアルタイムで推定することが可能となる。
<人の不安の程度を予測するモデルについて>

関連情報
https://jpn.nec.com/rd/technologies/202513/index.html
構成/清水眞希







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