2026年2月28日に開始されたアメリカとイスラエルによるイラン攻撃だが、終結時期が不透明な中でホルムズ海峡封鎖による原油不足の懸念が拡大。3月11日には価格安定のため、国際エネルギー機関(IEA)が過去最大の備蓄放出を決定したほか、高市早苗首相も日本単独での放出を表明した。
このように今回の事態は世界経済にも大きな影響を与えているが、その間の市場はどのように動いたのか。今後の展開も含め、三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から分析リポートが届いたので、概要をお伝えする。
◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
イラン攻撃後の日経平均の下げ幅は約4600円、アドバンテストなど「値がさ株」の影響が大きい
今回のレポートでは、米国とイスラエルがイランへの攻撃実施を発表した2月28日以降の日本株の動きを振り返ってみたい。
2月27日を基準日とし、3月10日までの騰落率をみると、日経平均株価は-7.8%、東証株価指数(TOPIX)は-7.0%となった。両指数とも、7営業日のうち4営業日は下落(3月2日から4日および9日)、3営業日は上昇(5日と6日および10日)と、かなり不安定な値動きとなっている。
この期間における日経平均の下げ幅は4601円88銭となり、マイナス寄与度の大きい上位10銘柄には、アドバンテスト、東京エレクトロン、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループなどの「値がさ株」が含まれている(図表)。
この10銘柄については、マイナス寄与度の合計が日経平均の下げ幅の約55%に達しており、イラン攻撃後の日経平均の下げを主導したことがわかる。

■業種別で鉱業や海運業が上昇、原油高や景気への懸念で空運業、金融、輸送用機器は下落
一方、日経平均構成銘柄のうち、上昇した銘柄に目を向けると、ロームやINPEXのほか、日本郵船、川崎汽船、商船三井の海運大手3社が上昇率の上位にランクインしている。
ロームはデンソーから買収提案を受けており、資源開発の国内最大手であるINPEXは、原油高が業績の追い風になるとの見方が多く、また、海運大手3社はホルムズ海峡の通航量減少による船舶運賃上昇が見込まれるなど、それぞれ固有の要因が株価の上昇につながったと推測される。
東証33業種指数の動きをみると、INPEXを含む「鉱業」が+4.9%、海運大手3社を含む「海運業」が+3.6%となり、この2業種のみ33業種のなかで上昇した。
下落率の大きい業種は、原油高による運航コストの増加などが懸念される「空運業」や、景気敏感な業種である「銀行業」などの金融だった。自動車を含む「輸送用機器」は、原油高による景気悪化で自動車需要の減少が警戒されたと考えられる。
■これらの動きは原油再上昇時の参考になるとみるが原油相場が落ち着けば流れが反転することも
サイズ別では、小型株(TOPIX SMALL指数)、大型株(TOPIX100指数)、中型株(TOPIX MID 400指数)というパフォーマンス順になり、スタイル別ではグロース株(TOPIXグロース指数)がバリュー株(TOPIXバリュー指数)を、また、日経平均内需株50指数は日経平均外需株50指数を、それぞれアウトパフォームした。
なお、小型、大型、グロース、内需の下落率は6%台で、日経平均とTOPIXよりも小さい下落率に留まっている。
イラン攻撃後、7営業日の日本株の動きを踏まえると、この先、イラン情勢がさらに悪化し、原油相場が再び上昇する場面では、今回のように、鉱業や海運業、景気変動の影響を受けにくい内需・ディフェンシブ、小型株が選好されやすいと思われる。
ただ、原油相場が次第に落ち着く展開となれば、これまでの流れが反転することも考えられ、引き続き値がさ株や業種別指数、サイズ別指数などの動きも注意してみておく必要がある。
◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
構成/清水眞希







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