昨年に続き、廉価版のiPhoneが登場した。iPhone 17eがそれだ。同モデルは、iPhone 17シリーズでもっともリーズナブルな端末として投入されたスマートフォン。ベースモデルのiPhone 17に近い処理能力を持つ「A19」チップを採用しながら、価格は10万円を下回る9万9800円に抑えられている。初登場となった昨年のiPhone 16eも9万9800円だったため、価格は据え置きだ。
にも関わらず、A19以外にも、MagSafe対応やモデムの進化など、見どころは多い。また、昨年からストレージも倍増しており、実質的な値下げと見ることも可能だ。さらに、昨年は2色だったカラーバリエーションも、新色のソフトピンクが加わったことで3色になった。
アップルに加え、4キャリアで取り扱われているのはもちろん、UQ mobileやワイモバイルといったサブブランドで取り扱われている入手性の高さもポイントと言えそうだ。とはいえ、スペックや価格だけでは使用感までは分からない。2世代目となった“e”のつく廉価モデルの実力はどの程度のものか。発売前から実機に触り、その実力をチェックした。
デザイン変更はないがチップセットは刷新、耐久性も向上
まずはデザインから。2世代目となるiPhone 17eだが、一見した印象は先代のiPhone 16eから変わっていない。iPhone 14に近い筐体を採用しており、Face IDやセルフィーに使う内側カメラも、iPhone 17シリーズのダイナミックアイランドではなく、ディスプレイが凹んだ形のノッチとなる。アルミニウムのフレームも、iPhone 16eとの共通項だ。
ただし、ディスプレイには「Ceramic Shield 2」が採用されており、強度が上がっている。試用機のため、落下などはさせずに使っていることもあり、実際にどの程度の強度かまではテストできていないが、iPhone 17シリーズに採用されたそれと同じだとすれば、かなり傷はつきにくくなっている。
デザイン的には、カラーバリエーションに新色のソフトピンクが加わったことも新たなトピックと言えそうだ。ピンクと言っても“ソフト”とついているように、派手派手しい色ではなく、桜の花びらのような柔らかなトーン。サラッとしたガラスの背面とも相性がいい。白黒の2色展開だったiPhone 16eと比べ、選ぶ楽しみが増えたと言えそうだ。
処理能力は高く、アプリの起動やレスポンスは抜群に高い。A19は、ハイエンドモデルであるiPhone 17に搭載されているチップセットのため、当然と言えば当然だが、10万円を下回る端末としてはかなり優秀だ。実際、ベンチマークアプリで計測したスコアも、上位モデルとそん色ない数値が出ている。
また、メモリも8GB搭載されており、アプリの起動もスムーズ。このスペックなので、Apple Intelligenceにも対応しており、AIを使って文章を作成したり、画像を生成したりといったことが可能だ。メールを素早く処理したり、Genmojiを使って友だちに送ったりするのにもいい端末と言えるだろう。
ディスプレイとカメラが最大のトレードオフか
こうしたサクサク感がある一方、ディスプレイにはやや残像感がある。人によっては、動作が遅く、カクカクしていると感じてしまうかもしれない。これは、処理能力のせいではなく、リフレッシュレートが60Hzになっているためだ。素早く画面をスクロールさせると、特に残像感が目立つ。
元々iPhoneは、上位モデルとなるProシリーズのみ120Hzのリフレッシュレートに対応していたが、iPhone 17でベースモデルも120Hzになり、ラインナップから60Hzの端末がなくなっていた。この点は、上位モデルの優位性がある。iPhone 17より3万円安いトレードオフと言えるだろう。
もう1つの大きなトレードオフになるのが、カメラだ。ベースモデルのiPhone 17が超広角と広角のデュアルカメラなのに対し、iPhone 17eは広角のみのシングルカメラ。そのため、ダイナミックな風景写真を撮ることができない。建物などに近づいて全体を撮りたいときなどにも、超広角カメラがないと不便だ。もちろん、Proモデルにある望遠カメラにも非対応だ。
ただし、シングルカメラでも画素数は4800万と高く、ここから切り出しを行うことでの2倍ズームが可能。手元にある物や食事を撮る際に、少し離れてシャッターを切ると自分が影にならない。切り出しのため、画質の劣化は最小限に抑えられている。このモードにすると画素数は1200万画素になり、解像感がやや落ちるのはネックだが、ズームがまったくできないわけではない。
また、画質もぱっと見では上位モデルとそん色ないようなレベルに仕上がる。これは、センサー以上にA19に搭載されたISP(Image Signal Processor)による処理が優秀なためだ。画角の自由度は上位のモデルより劣るものの、カメラを起動し、サッと目の前のものを写すスナップ用途には十分だ。
同様に、A19のパワーで人物などを撮影すると自動的に深度が記録され、あとからポートレートモードにして背景をぼかすことが可能だ。この機能は、先代のiPhone 16eには搭載されていなかった。チップセットの進化によって搭載できた新機能と言える。
嬉しいストレージの倍増、MagSafe対応で拡張性もアップ
もう1つ大きな要素として挙げられるのが、ストレージの容量だ。iPhone 17eでは最低容量が256GBになっており、選択肢は256GBと512GBの2つになった。試用した実機は512GB版だったが、セットアップした段階でOSやApple IntelligenceのAIモデル、プリインストールアプリなどが30GBほど使っている。iPhone 16eの128GBだと、あまり写真や動画を残しておくことができない。
しかも、価格は256GB版が9万9800円、倍の512GBを選択しても13万4800円だ。いずれも、同価格のiPhone 16eから容量が倍増している。単純に価格を据え置きにしただけでなく、ストレージ容量が大きく増えているというわけだ。同じストレージ容量で価格を比べると、値下げになっており、コストパフォーマンスが高まった。
実用性を考えると、最低容量が256GBになったのは歓迎できる。容量を引き下げて見せかけの安さを追求するのではなく、きちんと長い間使えるよう設計していると言えるだろう。この点では、iPhone 16eのときよりも購入する価値が高まった格好だ。
同様に、MagSafeに対応したことで、ワイヤレス充電がより実用的になった。前作のiPhone 16eもワイヤレス充電自体には対応していたが、MagSafeは非搭載。そのため、単純に充電の位置を合わせづらかっただけでなく、ワイヤレス充電中に手に持って操作をするのが難しかった。MagSafeへの対応で、この不便が解消された格好だ。
こうした基本性能を上げつつも、先に述べたようにディスプレイやカメラではより上のモデルときちんと差別化されており、価格も標準モデルのiPhone 17より3万円安い。キャリアの残価設定型ローンだと、iPhone 17との価格差があまりなくなってしまうため少々選びづらいが、一括購入には向いた端末と言える。カメラなどの付加機能がそぎ落とされており、減価償却の必要もないため法人導入もしやすい。
“e”のつくiPhoneとしては2世代目になったiPhone 17eだが、先代モデルよりも買いやすくなった印象を受ける。iPhoneの核となるパフォーマンスの高さを求める人や、初めてiPhoneを持つ子どもなどにもお勧めできる1台に仕上がっていると言えるだろう。
文/石野純也







DIME MAGAZINE























