社会の変化とともに、お墓のあり方も変わり続けている。かつては「家族が代々受け継ぐもの」として一般墓が主流だったが、ライフスタイルの変化や価値観の多様化により、個人単位で選ばれるお墓の比率が高まっているようだ。
こうした中、鎌倉新書が運営するお墓に関するポータルサイト「いいお墓」は、2026年1月に実施した「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」の調査結果を発表した。
調査対象者は、2025年1月~同年12月に同ポータルサイト経由にてお墓を購入した人で、有効回答数は1267件となる。
1. 購入したお墓の種類では「合祀墓・合葬墓」が「一般墓」「納骨堂」を上回る結果に
購入したお墓の種類について2025年と2026年の調査結果を比較すると、お墓の選択における「樹木葬」の定着とともに、供養形態の多様化が進んでいることがわかる。
樹木葬の割合は2025年の48.5%から2026年には47.4%となり、微減となったものの、依然として約半数に近い層に選ばれる主流の形態となっている。注目すべきはその他の形態の推移で、2026年には「合祀墓・合葬墓」が16.4%となり、伝統的な墓石を建てる「一般墓」の15.2%や「納骨堂」の15.5%を上回る結果となった。
これらの数値の推移から、供養の形が「家で代々引き継ぐもの」から「管理の負担を抑え、個人の志向に合わせるもの」へと変化している現状がうかがえる。特に、継承者を必要としない合祀墓や樹木葬、利便性の高い納骨堂が選ばれている背景には、将来的な墓守の負担を軽減したいという現代的なニーズが反映されている。
2. お墓の平均購入金額は、一般墓152.0万円、納骨堂81.5万円、樹木葬71.7万円
■一般墓
一般墓の平均購入金額は152.0万円で、前年(155.7万円)より3.7万円減少した。過去の推移を見ると、一般墓は2021年の169.0万円から緩やかな減少傾向にあり、今回もその流れを引き継ぐ形となった。このうち墓石代の平均が101.7万円、土地利用料の平均が46.5万円となり、一般墓の購入にかかる費用は主に「墓石代」「土地利用料」「その他諸経費」が合算されたものになる。
一般墓は、墓石の種類やデザイン、石材のランクによって価格が大きく変動する。区画が広いほど費用は高くなり、特に都市部では土地代(永代使用料)の影響で高価格帯を維持する傾向にあるが、近年はニーズに合わせた「区画の小型化」が進んでいることも平均金額の推移に影響を与えていると考えられる。
また、一般墓は他の形態と比較して初期費用は高額だが、家族単位での利用が前提となっている。そのため、長期的な視点で見れば、家族一人ひとりが個別に永代供養墓(樹木葬や納骨堂など)を購入するよりも、結果として一基あたりの総額を抑えられる場合があることも、根強い支持の理由といえる。
■納骨堂
納骨堂の平均購入金額は81.5万円で、前年(79.3万円)より2.2万円増加した。過去数年間の推移を見ても、納骨堂の価格は大きな変動は見られず安定している。
納骨堂は「ロッカー式」「仏壇式」「墓石式」「自動搬送式」などの種類があり、種類によって価格帯が大きく異なるのが特徴。例えば、墓石型の納骨堂では墓石代が発生するため価格が高くなる傾向にあるが、コンパクトなロッカー型は価格が抑えられるケースが多く、予算に合わせた選択が可能だ。
納骨堂は都市部を中心に人気が高く、近年では継承不要のプランが主流となっている。特に個人や夫婦単位での契約に適しており、家族単位でお墓を持つ一般墓とは異なる需要に対応している。また、屋内に設置されるため、天候に左右されずお参りできる利便性の高さも支持される理由となっている。
■樹木葬
樹木葬の平均購入金額は71.7万円で、前年(67.8万円)より3.9万円増加した。価格の推移を見ると、これまでは60万円台で安定していたが、今回は過去と比較しても高めの水準となっている。樹木葬は墓石を使用しないことが多く、一般墓と比べて低価格で購入できる点が特徴だが、近年は個別区画の充実や意匠性の高いプランが増えており、購入単価が底上げされている可能性がある。
樹木葬には「合同供養タイプ」「個別区画タイプ」といったバリエーションがあり、その選択によって費用が変動する。個別区画では永代供養料や専用プレートの設置費用などが加算されるため、価格が高くなるケースもあり、一方合同供養の場合は比較的安価に購入できる傾向が見られる。
また、樹木葬の大きな特徴として、維持費の負担が少ないことが挙げられる。一度購入すればその後の管理費が不要なプランが多いため、次世代に負担をかけたくない層に選ばれる大きな理由となっている。
3. お墓を購入する際に重視した点は「お墓の種類」が50.0%で最多、次いで「金額」43.9%、「継承者不要」38.8%、「お墓参りにアクセスのよいエリア」が38.4%と続く
お墓を購入する際に重視した点を分析すると、現代の消費者がお墓選びにおいて「お墓の種類」「金額」「継承者不要」「お墓参りにアクセスのよいエリア」の4点を特に重視していることがわかる。
最も回答が多かったのは「お墓の種類」で、半数にあたる50.0%の人が選択の基準として挙げている。次いで「金額」が43.9%と高い割合を占め、3番目には「継承者不要」が38.8%で続くことから、納得感のある供養の形を予算内で選びつつ、後の世代に負担を残さないことを強く意識している様子が見て取れる。また、僅差の38.4%で「お墓参りにアクセスのよいエリア」が4番目に入っており、現代のお墓選びにおける判断基準のひとつとなっている。
お墓を購入する際に重視した点を年代別に分析すると、世代によってお墓選びの優先順位が異なることがわかる。
39歳以下の若年層においては、全体平均で2位だった「金額(55.3%)」が1位となり、次いで「継承者不要(39.5%)」が2位にランクインするなど、予算面と将来の管理負担の有無を最優先に判断する、現実的な傾向が顕著だ。
これに対し、40~64歳の世代では「お墓の種類」が1位(51.2%)となり、自分たちの価値観に合う供養の形式を重視する姿勢が強まる。特に50代・60代では、1位のタイプに続いて「金額(46.1%)」、3位に「継承者不要(40.0%)」が続き、納得感のある形式を前提としつつ、コストや将来の墓守の負担を総合的に判断している。
また、65歳以上の層になると、「お墓参りにアクセスのよいエリア」や「園内の雰囲気」を重視する割合が他世代より高まる傾向にあり、実際に足を運ぶ際の利便性や、自分たちが眠る場所としての環境面をより見極める姿勢が見て取れる。
このように、若い世代が「コストと管理リスク」の合理性を突き詰めてお墓を選んでいるのに対し、年齢が上がるにつれて「次世代への負担軽減」と「現地での快適さ」のバランスを重視するようになるという、世代間での視点の違いが鮮明になった。
<調査概要>
調査名 :第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)
調査対象:2025年1月~同年12月にお墓に関するポータルサイト「いいお墓」経由でお墓を購入した方
調査期間:2026年1月16日(金)~1月30日(金)
調査方法:インターネット調査
有効回答数:1,267件
出典元:株式会社鎌倉新書
構成/こじへい







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