銀行以外の金融機関として、様々な分野で融資業務を展開するノンバンク。消費者金融や信販会社、リース会社、フィンテック企業などが該当するが、貸出(信用供与)に特化しており、預金を取り扱わないことが銀行との違いとなっている。
そんな銀行以外の貸し手が提供する資金について、市場では懸念が生じているという。
三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から関連リポートが届いたので概要をお伝えする。
市場では最近、銀行以外の貸し手が提供する「プライベートクレジット」への警戒感が強まっている
「プライベートクレジット」とは、銀行以外の貸し手によって提供される融資形態のことだ。ファンドが貸し手となる「プライベートクレジットファンド」では、ファンドが中小企業に直接融資を行なう(図表1)。

融資に関する諸条件は個別交渉で決定され、金利は銀行の融資よりも高い金利となることがある。ファンドに融資の原資を提供するのは銀行や投資家で、ファンドからは相対的に高い利回りが期待される。
ただ、市場では最近、プライベートクレジットへの警戒感が強まっている。米大手投資ファンド、ブルー・アウル・キャピタルは2月18日、同社が運営する個人投資家向けプライベートクレジットファンドについて、解約請求を停止すると発表。
また、英住宅ローン会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)は2月25日に経営破綻を申告した。同社は銀行から資金調達し、個人の富裕層などに融資を行なっていた。
■米銀のノンバンク向け融資は1兆ドル超、ノンバンクに不安が広がれば、米銀に損失発生の恐れも
なお、ブルー・アウル・キャピタルのファンドの件は、四半期毎に可能だった解約請求を停止。今後は資産売却などで得た資金を定期的に個人投資家に返還するという計画的なファンドの縮小であり、個人投資家の解約が殺到した訳ではない。
ただ、市場ではここにきて、プライベートクレジットの規模や融資の仕組みについて、改めて注視する動きが出てきたように思われる。
米国の銀行による、預金業務を担っていない金融機関(ノンバンク)向け融資の残高は、2025年6月時点で約1.2兆ドルとなっている(図表2)。

一般に、ノンバンクの規制は銀行よりも緩く、融資先に関する開示情報も少ないといわれている。例えば、プライベートクレジットファンドにおいて、ファンドの融資先が破綻し、ファンドが閉鎖となれば、ファンドに資金を提供していた銀行に損失が発生する恐れがある。
■現時点で信用不安や金融危機の恐れは小さいが、引き続きプライベートクレジット動向は要注視
このような状況のなか、大手米銀各行は、銀行を監督する米連邦預金保険公社(FDIC)の要請に基づき、2025年1-3月期からノンバンク融資の中身を開示している。
最近のプライベートクレジットに関する報道は、基本的には個別のファンドや企業の話であり、現時点で直ちに信用不安や金融危機に発展する恐れは小さいと思われる。
しかし、米国の景気が大幅に減速したような場合には、ファンドの融資先の破綻リスクが懸念される。
三井住友DSアセットマネジメントでは米国経済について、2026年は個人消費を中心に民間最終需要が底堅く推移し、実質GDP成長率は前年比+2.5%を見込んでおり、2026年の政策金利は据え置きを予想している。
つまり、米国景気が急速に冷え込むような展開は想定しておらず、プライベートクレジットに起因して信用不安が広がるリスクは限定的とみているが、プライベートクレジットの動向は、引き続き注視する必要はあると考えている。
構成/清水眞希







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