風邪のひきはじめに「とりあえず市販薬で様子を見る」という人は多いだろう。しかし、手軽に使える総合感冒薬には使い方に注意すべき点があるという。
風邪の際に選ぶ市販薬のポイントなどについてもあわせて、ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也医師に教えてもらった。
そもそも風邪って何?「総合感冒薬」とは?

鼻水・鼻づまり、喉の痛み、せき、くしゃみ、軽い発熱などの症状が出た時に疑われるのが風邪だ。風邪はウイルスなどが鼻やのどに感染して起こる症状の総称として使われている。
「〝かぜ症候群〟とも呼ばれ、具体的な原因のウイルスを特定することはほとんどありません。類似の症状を起こす原因はさまざまあり、症状や検査結果から判断をして、急性上気道炎や副鼻腔炎、気管支炎や、咳喘息などの病名がつきます。特異的な所見がなければ、一般的には急性上気道炎という診断になることが多いですね」
■〝総合〟だからこその注意点
症状がそこまでひどくないケースや、医療機関の営業時間が過ぎている際に頼りになるのがドラッグストアなどで購入できる「総合感冒薬」。気軽に手に入ることがメリットのひとつだ。非常に便利な一方、注意点もあるという。
「総合という言葉がついているように、様々な症状に効く成分が入っています。それはメリットとも言えますが、裏を返すと、様々な症状に対する成分が入っているため、不要な成分まで摂取することになります。しかも、それが副作用として体に影響を及ぼす可能性もゼロではありません」
例えば、咳や熱だけ出ている人にとって、鼻に効く成分は本来摂取する必要はない成分だ。
「例えば、鼻に効く成分の中には、眠気を誘いやすいものがあります。それを知らずに服用して、運転中につい眠くなってしまった……となると、交通事故などに繋がりかねません。また、持病で治療中の人は、そもそも他の薬との飲み合わせに注意が必要です。総合感冒薬に入っているすべての成分の効果と副作用を把握している人はなかなかいないと思います。知らず知らずに、普段飲んでいる薬との相性が悪い成分を摂取してしまう可能性もある」
たとえば、すでに花粉症で薬を飲んでいる人が風邪を引いて総合感冒薬を飲むと、鼻炎などの症状を抑える、抗ヒスタミン成分が過剰になってしまうといったリスクがあるということだ。
■解熱鎮痛剤との併用は要注意!
「さらに、熱の症状を抑えるために、総合感冒薬と解熱鎮痛剤を合わせて服用する人もいると思いますが、これも注意が必要な行動のひとつです。総合感冒薬の中には解熱効果のある成分も含まれているため、成分を規定以上に多く摂取しすぎる可能性があります。ヘタをすると体に過度の負荷をかける行為になりますよ」
風邪をひいた時の市販薬の選び方

風邪かなと思った際には、どういうポイントを抑えて市販薬を選べばいいのだろうか。
「まずは自分の症状に特化した薬を選ぶことがおすすめです。熱や関節が辛ければ解熱鎮痛剤を。咳が気になるなら咳止めといった風に選びましょう。複数の症状が出ていて、やはり総合感冒薬がいいなと思った場合は、自分の症状の中で特に改善したい症状に特化した総合感冒薬を選びましょう。パッケージなどにどういう症状におすすめの商品かということが書かれているはずです」
風邪に特効薬はない。出ている症状を和らげつつ、自分の力で回復させていく病気だ。しっかり休息をとり、市販薬で体調が回復すれば問題ないが、症状が強い場合は医療機関を受診しよう。
「水分が取れない、食事が喉を通らない、39度や40度の高熱が続く、ぐったりしているなどの重篤感があれば、様子見をせずに受診してください。特に、小児や高齢者などは肺炎になるなど重症化リスクがあるので注意が必要です。ほか、持病がある方も医療機関へ。特にリウマチやがんで治療中の方、喘息や糖尿病などの持病がある人は受診したほうがいいでしょう」
もちろん軽い症状であっても、咳が長引く、微熱が続くなどであれば、医療機関を受診しよう。目安は、3、4日。3、4日様子を見ても、症状が改善しない、症状が悪化するようであれば、医療機関でしっかり診てもらおう。
取材協力
ナビタスクリニック川崎院長谷本 哲也さん
内科医。九州大学医学部卒。日本内科学会認定総合内科専門医・日本血液学会認定血液専門医・指導医。国立がんセンター中央病院などを経て現職。著書に『知ってはいけない薬のカラクリ』(小社刊)などがある。
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取材・文/田村菜津季







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