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【生成AIやってみた!Agent Builder編】自社のデータベースをAIを使って調べる方法

2026.03.09

2024年よりDIMEにて連載中の「マンガでわかる生成AI」の原作を担当している、アステリア株式会社、および生成AI協会(GAIS)のエバンジェリスト 森一弥です。本コラムは読者の皆さんにとって身近な生成AIツールや新機能を、実際に森が触ってみてご紹介するコーナー。今回は「ChatGPT」を提供していることでおなじみのOpenAIから出ている、意外と知られていない(!?)サービス「Agent Builder」のお話です。

OpenAI 「Agent Builder」とは

皆さんの会社では、生成AIの活用は始まっているでしょうか?

ChatGPTを全社に導入しているだけで「AIを活用できている」と考えていませんか?

もちろん、社員の業務上での活用を促進することで「調査や資料のたたき台がすぐにできる」や「要約や翻訳が便利」といった、一人ひとりの生産性はきっと上がっているはず。

一方で、より踏み込んでいくと「自社のデータベースをAIを使って調べたい」というような声も上がってくるのではないでしょうか?

例えば

 ・自社の製品マニュアルから機能の使い方を教えてほしい
 ・サポートの業務を自動化したい
 ・個別の案件の経費計算の方法、金額を知りたい

等など……。

こうしたシーンで活用できるのが、『マンガでわかる生成AI 第12話』でも登場した「RAG」(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)です。自社の資料を、あらかじめ保存してあるデータベースとチャットを組み合わせることで、自社オリジナルの精度の高い回答を行うようにする仕組みを指します。

「RAG」を実現する方法は色々とありますが、プログラムをゼロから作成するのではなく、画面操作などで手軽に作成できるノーコード/ノンプログラミングによる方法が以前より注目されています。

代表的なものには「Dify」や「n8n」といったサービスがありますが、今回ご紹介するのはChatGPTの開発元であるOpenAIから発表されている「Agent Builder」です。

「Agent Builder」の特徴としては、「OpenAIという有力企業が提供しているという安心感」はもちろんのこと、セキュリティや情報漏洩対策といった点があります。

具体的には「Guardrails」という機能があり、入力した内容に個人情報が入っていないか、また悪意のある入力内容になっていないか? などの項目をチェックする機能が備わっています。

先ほどご紹介した「Dify」や「n8n」はオープンソースではあるものの、LLMは自分で調達しなくてはなりません。そこでOpenAIのAPIを使うのもひとつの手段ですが、実はこのOpenAIのAPIを使うための課金の中に、「Agent Builder」の利用料も含まれているんです。これは使ってみない手はないですよね!

「Agent Builder」にログイン

実際に「Agent Builder」を使ってみるためには課金が必要です。といっても、月額料金ではなくチャージした金額を利用料に応じて消費していく方式ですので、知らないうちに毎月課金されていたというようなことはありません。なお、ChatGPTの有料版とは別のサービスなのでご注意ください。

では、早速アカウントを作成してログインしてみましょう。

「Agent Builder」は OpenAI のプラットフォームのいち機能なので、以下のURLにアクセスすることで誰でも利用できます。

https://platform.openai.com/agent-builder

すでにAPIを利用したことがあれば「Log in」、初めてであれば「Sign up」を押してください。

「Sign up」を選択すると、「アカウントの作成」画面に進みます。

無事にログインできると、「Agent Builder」の入口が表示されます。

これまで利用料をチャージしたことがなければ、左下の「Go to Billing」というボタンからチャージしてください。

ちょっと試す程度であれば、$10 以下で十分なはずです。

テンプレートから選ぶ

実際に自分用のエージェントを作成してみる前に、用意されているテンプレートをみてみましょう。

「Agent Builder」は「RAG」の仕組みを作る以外にも色々と用途があり、それっぽい例題をテンプレートから作成することができます。「Internal knowlege assistant」というテンプレートは名前からしてRAGの要素が入っていそうですよね。

試しに、こちらを選んでみます。

選んだテンプレートを元に新規のエージェントが作成されました。

左側の白い枠の中にあるアイコンは「追加できる要素(ノード)」のパレットになっています。メイン部分に表示されている要素の全体像から、それぞれのノードが何をしているか推測できるでしょうか?

ひとつずつ選択すると設定内容が見られるので、まずは確認してみましょう。

◆ 「Start」のノード

名前の通り始まりを表すノードで、ユーザーの入力したプロンプトが「input_as_text」という変数に入ってくることがわかります。

◆ 「Query rewrite」のノード

AIに対して指示を出します。「ユーザーの質問をナレッジベースに関連性のある内容に書き換えて」という指示は、いわゆる「システムプロンプト」にあたります。

その下の「User」には「ユーザープロンプト」としてオリジナルの内容が参照されているのがわかります。「{{ }}」で囲うことで、他で定義したものを参照できそうですね。実際の細かい書き方はツールの方で補助もしてくれますし、技術的な知識のある方であれば、リファレンスを見ればどんな種類があるか分かるはずです。

◆「Classify」のノード

ここでは、AIを利用して質問の内容を分類しています。前の内容を受けて分類するためのエージェントです。

「Q&A」なのか「ファクトチェック」なのかを判断するシステムプロンプトが書かれています。「Output format」部分が、先ほどの「Text」とは異なり「JSON」となっています。ここでは「q-and-a」「fact-finding」「other」の3つから出力を選ぶようです。「Edit schema」を選び、上部の「Simple」を選ぶと画面での設定で選択肢を変更したりもできそうです。

◆「If」ノード

プログラムを多少でもかじったことがあれば、これが「IF文」にあたるものだとすぐわかるかと思います。いわゆる、条件によって分岐するノードですね。

前のノードの内容によって行き先のノードが変わります。

例えば、次の分岐先のノードは3つありますが、テンプレートなので、中身は説明のみ書かれています。内容によってWeb検索をしたり、ファイルを使ったりして、AIに回答を出させることができるようになります。

◆「Internal Q&A」ノード

分岐した先の処理が書かれています。

ここでは「Tools」部分に「Web Search」や「File Search」など、必要に応じて追加して回答を出させる指示ができそうですね。

テンプレートをちょっと直せば色々できそう!

ざっと見ていきましたが、このようにあらかじめ用意されているテンプレートを、少しだけ直すことで社内ツールに使えそうなのはご理解いただけたでしょうか?

たとえば、「Start」のあとには、ユーザーの入力した値に個人情報が入っていないか/悪意がないかをチェックする「Guardrails」を入れてみたいですよね。また、最後の「Internal Q&A」部分には社内の規定ファイルなどを入れて、規定に関する質問に回答させたりできそうです。

このツールは説明やプロンプトなどすべて英語なので、若干不安を覚えた方もいるかも知れませんが、実際に入力するプロンプトは日本語でもしっかり動きます

この他のノードでも「MCP」を使うと外部のサービスとの連携も可能です。用意されているものだと、例えば「GMail」を使えばAIで処理した内容をメールすることもできそうです。

また「BOX」や「Dropbox」などのサービスを連携することで、ファイルを作成したり、格納されたファイルを読み込むこともできるでしょうし、「PayPal」を使って支払いを自動処理することもできそうですよね。

「User approval」ノードを使えば、処理の途中でユーザーに確認を求めてくるようにもできますので、アクセスを本当にさせていいのか? 支払いを本当にして良いのか? など、最終の判断をユーザーに促すこともできそうです。

一部難しい箇所もあるかと思いますが、ぜひ手軽に試してみてくださいね!

ツールを選ぶのではなく利用範囲を決めよう

今回のコラムは、これまでよりも若干難しい内容になりましたが、会社の組織内でのAI活用は、誰が使うか? どのツールを使うか? よりも、何の業務をAIに任せるか? の判断が重要です

今回説明した「Agent Builder」を使うにせよ、他の手段を使うにせよ、検索対象とするファイルが「RAG」には必要ですが、多くの企業がここで勘違いしがちなのは、RAGの難しさは、AIでもプログラム構築でもなく、ナレッジの管理だということ。実際に企業でRAGを試すと、技術的な問題よりも先に別の問題が出てきます。

・同じ内容の資料が部署ごとに違う
・古いマニュアルが残っている
・例外運用が文書化されていない
・担当者しか知らない“暗黙知”が多い

つまりAIが使えないのではなく、会社のナレッジが整理されていないことが露呈するんですね。

社内のドキュメントはすべてファイルサーバーにあるはずだから、それを元にAIでステキエージェントを作ろう!情報システム部門よろしく~♪ ……なんて、ざっくりとした考えだとうまく進みません。

生成AIを活用するためにも、まずは対象の部署や業務、文書を選定することから着手しませんか?

多くの企業が、ツールを導入したあとに「使われないAI」を抱えることになりますが、この原因はAIの性能ではなく、任せる仕事を決めないまま導入してしまうことにあります。

生成AIは多くの人に配れば広がるものではありません。

一つの仕事を任せてみて初めて、組織の中に居場所ができます。ツールの性能ではなく、ぜひ「何を任せるか?」から考えてみてくださいね。

森 一弥(もり かずや) https://twitter.com/dekiruco
アステリア株式会社 ノーコード変革推進室 エバンジェリスト。 テレワーク推進の波に乗り、某有名SFアニメの聖地である箱根に移住。アニメや漫画、甘いものとかっこいいクルマをこよなく愛す、気ままな技術系エバンジェリスト。 AIやブロックチェーンなど先端技術とのデータ連携を得意とし、実証実験やコンサルティングの実績も多数。見聞きしたことは自分でプログラミングして確かめた上でわかりやすく解説することが信条。 現在は AI や IoTなどの普及啓発に努め、生成AI協会(GAIS)のエバンジェリストとしても活動中。

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