花王が展開するスキンケアブランド「ビオレ」が、2026年春、洗顔市場に再び大きな一石を投じる。4年ぶりとなる大型新製品は、“黒ずみ毛穴の自己崩壊”というこれまでにないアプローチを掲げた「おうちdeエステ ディープクレイ洗顔」だ。
“クリーン領域”と“プロテクション領域” 二軸の事業を牽引
発表会に登壇した花王 スキンケア事業部の小林達郎氏は、「今高まる素肌美ニーズに対する、ビオレからの新提案」と切り出した。
1980年の洗顔フォーム発売以来、時代ごとの生活者ニーズに応じて革新を重ねてきたビオレ。近年は“環境ストレスから素肌を守る”をテーマに、紫外線や乾燥、生活習慣の乱れといった外的・内的要因に向き合ってきた。
その象徴が、今年2月に全国発売された新感覚UV「呼吸感UV」だ。発売1か月で90万本を出荷し、間もなく100万本を突破する見込みで好調な滑り出しを見せ、肌を守る=“プロテクション領域”を牽引している。
しかし、売上構成比の約7割を占めるのは未だ肌を洗う=“クリーン領域”。なかでも洗顔は、ビオレの原点とも言えるカテゴリーだ。
黒ずみの正体は“角栓”だった
発表会では、今あらためて毛穴に着目する理由が示された。背景にあるのは、いわゆる“地球沸騰化”による猛暑と強烈な紫外線。耐水性の高い日焼け止めや持続力の強いベースメイクの使用増加は、毛穴詰まりの一因となる。また、SNSや高解像度カメラの普及により、毛穴の目立ちが可視化されやすくなったことも意識の高まりにつながっている。
実際に、毛穴汚れが気になると答えた人は75%。洗顔で毛穴対策をする人は2018年比で1.5倍、メイク落としでの対策も1.6倍に増加している。市場全体で見ると、洗顔料は2019年比121%の成長だが、毛穴ケアに限れば171%と大きく伸長。ビオレの毛穴訴求製品も前年比127%と好調だ。
それでもなお、毛穴汚れ対策への満足度はわずか23%。とくに「黒ずみの奥が落ちない」という声が根強い。
この課題に対し、花王の研究陣は徹底的な解析を行った。141人・8万個以上の黒ずみ毛穴を分析した結果、黒ずみ毛穴の面積の8割以上を角栓が占めることを初めて解明。黒ずみの主因が角栓であることを突き止めた。
さらに角栓を詳細に解析すると、バターのような固体油とタンパク質が層状に重なった複雑な構造を持つことが判明。一般的な洗浄剤ではほとんど変化しないほど頑固な汚れである理由がここにあった。
開発に5年超・2000回の試行錯誤で突破
鍵となったのが「トロメタミン」という成分だ。従来はpH調整剤として用いられてきたが、花王は2017年、この成分が角栓を自発的に崩壊させることを発見。固体油を水になじみやすい状態へ変化させ、内部に水が入り込むことで角栓がもろく崩れる。これが独自の「角栓崩壊洗浄技術」である。
ただし、従来技術では毛穴の入口付近には作用するものの、奥深くの“隠れ角栓”までは届きにくかった。そこで開発陣は5年以上、2000回以上の検討を重ね、新たに「ミクロパウダー」に着目する。
単回洗顔試験では、わずか1回の使用で角栓量が顕著に減少。黒ずみの目立ちも改善が確認されたという。さらに3~4週間の連用で肌の水分量が上昇し、マイルド性も担保された。
そもそも隠れ角栓を取り除くメリットは?
質疑応答の時間において、筆者より「角栓を取りすぎると毛穴が開いたり、逆に角栓が増えたりしないか?」と質問を投げかけたところ、花王側は、角栓除去は「取りすぎ」が問題なのではなく、むしろ角栓が毛穴内部に詰まっていること自体が毛穴を押し広げ、目立ちの原因になり得るという回答を示した。
つまり、毛穴をきれいに見せたいなら、毛穴を開かせる要因となる角栓をきちんと落とすことが重要だ、という整理だ。
なかでも今回焦点となっている「隠れ角栓」は、毛穴の奥に残りやすく、表面から見ると黒ずみとして認識されやすい厄介な存在だという。
洗顔で表層の汚れが落ちても、奥に残った角栓が肌色と比較して影のように黒く見えてしまえば、本人は「結局落ちていない」「堂々巡りだ」と感じてしまう。
だからこそ、隠れ角栓まで取り除くメリットは大きい。
第一に、手触りの改善だけでなく、見た目の黒ずみまで変化を実感しやすくなる点。
第二に、黒ずみが薄くなることで毛穴の存在感そのものが軽く見え、肌印象が整いやすい点だ。
日焼け止めやベースメイクが高耐久化し、皮脂分泌も増えがちな地球沸騰化時代において、毛穴悩みの核心である奥の角栓にまでアプローチすることが、洗顔を「気休め」から「解決策」へ引き上げるはずだ。
取材・文/DIME編集部







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